発熱体とドットピッチ(用語解説)
サーマルプリントヘッド用語解説
「発熱体」や「ドットピッチ」など、サーマルプリントヘッドでよく使用される用語について、簡単な解説をします。
発熱体
実際に印字の際の熱源となる抵抗体です。用途や条件により発熱体サイズや構成を考慮する必要が有ります。また、厚膜方式と薄膜方式でも特性に違いを持っています。
ドットピッチ
隣接する発熱体の中心間距離を示します。
ドット密度(Dots / mm , DPI)
発熱体の解像度は、mm 当たりのドット数で表現 (Dots/mm)される場合と、インチ当たりのドット数で表現(Dots/inch ,DPI)される場合の2通りがあります。1inch = 25.4mmですので、両者の間には以下の関係が成立します
[Dots/mm]=[DPI]/25.4
印字速度(IPS)
印字速度とは、実際に感熱紙等に印字される速度を示します。その単位のIPSとは、Inch Per Second の頭文字をとったもので、1秒当たりに印字される距離をインチで表現したものです。
印字周期(SLT)
SLT(印字周期)とは、Scanning Line Time の頭文字をとったものであり、発熱体を駆動する周期を示します。SLTと実際の印字される速度(印字速度、IPS)、ドット密度(DPI)との間には、以下の関係式が成立します。
SLT =1 / (DPI x IPS)
印加エネルギー(Eo , mJ / Dot)
印加エネルギーとは、発熱体を印字に必要な温度にまで上昇させるために与えるエネルギー(電力と時間の積)を言います。データシート(仕様書)に記載している印加エネルギーは、発熱体で消費(必要と)されるエネルギーを示しており、実際にサーマルプリントヘッドに与えなければならないエネルギーの総量は、上記エネルギーと駆動回路やその他の電極で消費される無効エネルギーの和で考慮されなければなりません。これらの算出条件は、各仕様書に規定されています。印加エネルギーによりサーマルプリントヘッドの寿命が決定します。各ヘッドの仕様書の最大印加エネルギー値(個別データシートに示すエネルギー限界カーブ)を超えないように注意が必要です。
印字電源電圧(VH)
発熱体にエネルギーを与えるための電源電圧です。使用する印字電源電圧のレベルにより、サーマルプリントヘッドの発熱体抵抗値の値を選択する必要が有ります。通常は5V系、12V系、24V系に大別されます。また、サーマルプリントヘッドには、この印字電源電圧の他に、駆動用ICに与えるロジック電源電圧(+3.3Vもしくは+5V)が必要になります。
クロック (CLK)
ドライバICにシリアル信号を入力するための信号。DI信号の電圧がHighの時にCLK信号をLowからHighへ入力すると、サーマルプリントヘッドにHighのデータが入力されます。反対にDI信号の電圧がLowの時にCLK信号を入力させると、サーマルプリントヘッドにLowのデータが入力されます。
データイン (DI)
印字パターンのシリアル(直列)データ入力信号。
ラッチ (LA , LAT)
ドライバICのファンクションの一つで、外部から与えられる印字データをシフトレジスタから一時的にデータを保持するレジスタへの制御信号を示します。
ストローブ (STB)
サーマルプリントヘッドに入力された信号(LAT信号でホールドされた信号)に対応する発熱体に電流を流すための信号。本信号のパルス幅で、発熱体への通電時間が決定されますので、印加エネルギーを制御することが可能です。STB信号はヘッドによって正論理もしくは負論理が設定されております。
印字寿命
サーマルプリントヘッドの寿命は、発熱体抵抗値が初期値に対して15%以上変化した時点をもって定義されます。また、寿命は、通常、以下の二つの方法で規定しています。
・パルス寿命:標準印字条件に規定された条件で印加されるパルスの数
・走行寿命:標準印字条件に規定された条件で感熱紙を走行させた時の寿命
印字分割
ライン型のサーマルプリントヘッドには、多くの発熱体が含まれています。これらの発熱体を同時に印加すると、その消費電流が非常に大きな値となるため、電源負担やヘッド内部での電圧降下を軽減するため、通常は、印字分割をして駆動します。印字分割は、ストローブ信号により行います。
サーミスタ
サーマルプリントヘッドの温度を監視する為に、独立したサーミスタを実装しています。そのサーミスタの検出温度を参照してサーマルプリントヘッドの基板温度が規定以上に上昇しないように制御する必要が有ります。