LED : 注意が必要な特性
1. 温度に対する特性の変化<光度・波長・順方向電圧(VF)>
LEDの特性は、周囲温度およびLEDの発熱を含めたチップの温度(Tj:発光部であるジャンクションの温度)により、特性が変化します。
以下に代表的な特性変化について説明します。
光度
LEDは、Tjが上昇すると光量が低下します。
これは、発光に寄与しない電子とホールの再結合が増加するためです。
波長
光度変化と同じように温度の変化によって発光波長も変化します。
主に、温度が変化することにより半導体の禁止帯幅が変化するため、波長変化が生じるものです。
波長変化量は材料により異なりますが、InGaAlP系LEDでは、温度上昇によりλdが0.1nm/°C程度、長波長側に変化します。
厳しい波長規格の用途では、セットの動作保証の温度範囲における波長変化の検討が必要です。
順方向電圧(VF)
VFの変化は特殊な場合を除いて、発光波長と同様に半導体の禁止帯幅が変化するために生じるものです。
温度上昇に伴い、VFは2mV/°C程の割合で低下します。
VFの変化は回路設計上、重要な要素となります。
LEDの動作が定電流の場合には、VFの変化は回路定数としては深刻な問題になりませんが、LEDの動作が定電圧の場合、またはそれに近い場合には、温度上昇によりVFが低下し電流が増加します。
電流が増加すると、更にTjが高くなり、さらにVFが下がり、平衡状態になるまで電流が増加してしまいます。
また、逆に低温になるとVFが高くなり電流が減少し、定電圧動作では必要光度が得られない場合があります。
2. 特性のバラツキ
LEDは製造段階で特性値の分布、いわゆるバラツキを持っています。
このため、光度ランクや電気的特性でも最小値などを規定しています。
従って光学設計・回路設計においては、バラツキを考慮した設計が必要になります。
例えば、VFは温度によって変化する以前に、ある分布でバラツキを有しています。
従って設計マージンが無い場合は、VFバラツキの大きな製品があった場合、温度が変化しても所望の特性が得られるかを検討することが必要です。
回路特性やセットの特性によっては、LED特性値のバラツキ幅を狭くすることが必要になる場合があります。
この場合は、特別規格導入の検討とその対応が可能かの判断をする必要があります。