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利得帯域幅積トランジスタを理解する

トランジスタONの時の逆方向電流について

NPNトランジスタにおいて、ベース (B) がプラス、コレクタ (C) がマイナスに バイアスされて、エミッタ (E) からCへ逆電流が流れます。 使用上、問題ないか検討していきます。

トランジスタONの時の逆方向電流について

1. NPN-Trの場合Bを対称にC、E共にN型です。

2. 劣化及び破壊の心配はなく、使用上問題ないと判断します。
従って、C、Eを逆接続してもトランジスタとして使えます。すなわち E→Cへ電流が流れます。

通常動作 / 逆方向動作

3. 逆方向トランジスタの特長として、以下の通りです。

  • hFEが低い。(順方向の10%程度以下)
  • 耐圧が低い。(7~8V程度でありVEBOと同じくらい低い)
    ↑汎用TRの場合、それ以外は、5V以下になるものもあります。
    (この耐圧を超えてブレークダウンさせるとhFEの低下などの特性劣化を生ずるので、ご注意ください。)
  • VCE(sat) 及びVBE(ON) の特性はあまり変わらない。

パッケージパワー許容損失について

定義: トランジスタに印加されている電圧、電流による電力損失によって素子が発熱したとき、そのジャンクション温度:Tjが絶対最大定格に規定された温度(Tj=150℃)になったときの電力を許容損失といいます。

計算方法:Pxの電力を印加したときの温度上昇を△Txとすると

計算方法

ここに Pc、Ta、△Tx、Pxは、それぞれ測定時の設定値もしくは測定結果から直接求めることができますが、Tjのみ直接求めることができません。従って、以下にVBEを用いた測定方法を示します。

VBE測定法 シリコントランジスタの場合 ベース-エミッタ間電圧:VBEが温度によって変化します。

このことから VBEを測定することより、ジャンクション温度を推測することができます。 図1の測定回路により トランジスタにパッケージパワー:PC (max) を印加します。(仮に、1Wの トランジスタの場合、VCB=10V IE=100mAの条件で印加します。)

図1 熱抵抗測定回路
図1. 熱抵抗測定回路

図2のように

  • VBEのイニシャル値としてVBE1を測定します。
  • トランジスタに電力を印加してジャンクションを熱飽和させます。
  • VBEのアフター値:VBE22を測定します。

この結果から△VBE=VBE2-VBE1を求めます。

ここで シリコントランジスタは温度によって一定の温度係数を持ちます。これは、約-2mV/℃(IM=1mA)となります。従いまして、印加電力から△VBEを求めることにより以下の式よりジャンクション温度の上昇を求めることができます。

図2 タイムチャート

fT:利得帯域幅積、遮断周波数について

fT:利得帯域幅積とは、トランジスタが動作できる限界の周波数を言います。
限界とは、ベース電流に対してコレクター電流の比が1 (つまりhFE=1) となる時とします。

周波数特性

ベース入力周波数(動作周波数)を高くしていくと、hFEは低くなっていきます。そのとき、hFEが1となるときの周波数をfT:(利得帯域幅積)といいます。fTとは、その周波数で動作できる限界の値を言います。ただし、実際の使用として動作出来るのはfT値の1/5~1/10程度です。

測定のコンディションは以下の通りです。
f:測定装置によって決まります。測定するための基準周波数です。
VCE:任意に設定します。弊社では一般的な値としています。
IC:任意に設定します。弊社では一般的な値としています。

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