オペアンプとは? スルーレート
スルーレートSR (Slew Rate)
スルーレートとはオペアンプの動作速度を表すパラメータです。
出力電圧が規定した単位時間当りに変化できる割合を表しています。
例としては、1[V/µs]は1[µs]で1[V]電圧を変動させることができるという意味です。
理想的なオペアンプはどのような入力信号に対しても忠実に出力信号を出力可能ですが、実際にはスルーレートという制限が存在します。
入力に立上り、立下りが急峻な方形波パルスを印加した際に、出力電圧が単位時間当りにどの程度変化可能であるかを示しています。下図はスルーレートの定義を示します。
立上りと立下りのスルーレートは次式で計算されます。
スルーレートの規定は「立上り」もしくは「立下り」の遅い方を基準に規定されています。
よって、オペアンプ出力信号の傾きの最大値を意味します。
それ以上急峻な変化を持つ信号に対しては出力波形は追従できずに歪むこととなります。増幅回路を構成した際も、スルーレートは出力変化の割合であるため変わることはありません。
オペアンプは直流/交流、両方の信号増幅に用いられます。
オペアンプには応答速度の限界があり、どのような信号でも扱えるわけではありません。
上図 に示されるボルテージフォロア構成において、直流電圧入力では入力電圧範囲、出力電圧範囲に制限をうけます。
さらに、周波数を持った交流信号については利得帯域幅積及びスルーレートの制約が加わります。
ここでは、振幅と周波数の関係つまりスルーレートについて考えます。
オペアンプが出力可能な最大周波数を求めます。
上図に示すような波形を出力するのに必要なスルーレートを求めます。
y=Asinωt
スルーレートはsin波の接線の傾きなので上式を微分します。

スルーレートは
SR=Aω ω=2πf
さらにサイン波の振幅はPeak to PeakでVPP=2Aとなるので、以下のように変形できます。

この周波数fをフルパワーバンド幅といいます。
これらは、オペアンプに増幅率を設定していない状態つまり、ボルテージフォロアにおけるオペアンプの出力可能な振幅(出力電圧範囲内において)と周波数の関係となります。
振幅一定のままで上記で求めた周波数を超えると波形はスルーレートに制限されサイン波は三角波となり歪を生じます。