1. Home>
  2. エレクトロニクス豆知識>
  3. 抵抗器とは?>
  4. 抵抗温度係数とは②

抵抗温度係数とは②

抵抗温度係数の値が正負で規定されている理由

チップ抵抗器の多くが、±100ppm/℃や±200ppm/℃のように正負の両方の値で規定されいています。
これは温度変化によって、抵抗値がどちらにも変化する可能性があることを示しています。
その理由を、厚膜チップ抵抗器を例に下記で説明します。

厚膜チップ抵抗器は温度特性がリニア変化ではなく、横軸を温度、縦軸を抵抗値とした場合、
下図のように下に凸の曲線を描く変化をします。
この変化の挙動は、厚膜チップ抵抗器に使用されている材料の温度特性によるものです。

一般的な厚膜チップ抵抗器の抵抗値変化挙動

一般的な厚膜チップ抵抗器の抵抗値変化挙動

上図の横軸と縦軸の交点部が基準温度であり、常温である25℃(または20℃)を示しています。
上図の青い曲線の場合、この基準温度を中心にしてちょうど正負の傾きが入れ替わる為、基準温度以下の領域では、温度上昇と共に抵抗値が低下する負の傾き、基準温度以上の領域では、温度上昇と共に抵抗値が上昇する正の傾きとなります。

ところが、実際の抵抗体材料の温度と抵抗値の関係のグラフの頂点にはバラつきが生じます。
下図の①~③を例として説明します。

下図の①~③は、同じ材料の温度と抵抗値の関係のグラフですが、材料の製造ロットによって抵抗温度係数が異なるため、グラフの頂点の位置も異なってきます。
その結果、製品のロット毎にも抵抗温度係数のバラつきが発⽣し、同じ温度範囲で抵抗器を使用しても抵抗値変化の正負の挙動が製品毎に異なる温度範囲が存在します。

[例]
・グラフの頂点がそれぞれ①-80℃、②±0℃、③+100℃の場合で比較
→①~③それぞれについて、-80℃~±0℃、±0℃~+100℃でどのような抵抗値変化の挙動を示すか

抵抗値変化挙動のロット差

抵抗値変化挙動のロット差

  -80℃から±0℃の領域[COLD] ±0℃から+100℃の領域[HOT]
ロット① 温度上昇と共に抵抗値が上昇する正の傾き 温度上昇と共に抵抗値が上昇する正の傾き
ロット② 温度上昇と共に抵抗値が低下する負の傾き 温度上昇と共に抵抗値が上昇する正の傾き
ロット③ 温度上昇と共に抵抗値が低下する負の傾き 温度上昇と共に抵抗値が低下する負の傾き

上記より、同じ製品・同じ温度領域でも製品によって挙動が変わってしまうため、抵抗温度係数は正負のどちらにも変化する可能性があることを示すような規定となっています。

厚膜チップ抵抗器と金属板チップ抵抗器の抵抗温度係数の違い

ここまで厚膜チップ抵抗器の抵抗温度係数について述べましたが、抵抗器には金属板チップ抵抗器も存在しています。
金属板チップ抵抗器の製品は、基本的に厚膜チップ抵抗器と比較すると抵抗温度係数が小さくなります。

厚膜チップ抵抗器は電極材料に主に銀を用いておりますが、この銀の抵抗温度係数が非常に高い材料となっております。
それに加え、厚膜チップ抵抗器の場合は抵抗値が低い製品ほど、抵抗体材料にも銀が用いられます。
したがって銀成分の割合が多くなり、厚膜チップ抵抗器では低い抵抗値ほど抵抗温度係数が高い傾向にあります。

それに対し、金属板チップ抵抗器は電極材料には主に銅もしくは銅メッキが用いられております。
銅も抵抗温度係数が非常に高い材料ですが、大きく異なるのは抵抗体材料になります。
金属板チップ抵抗器に用いられている抵抗体材料は、複数の金属を配合させた特殊な合金となっています。
この合金は抵抗温度係数が小さい材料となっており、抵抗体材料の抵抗温度係数の差が厚膜チップ抵抗器と金属板チップ抵抗器の差の要因となっております。

厚膜チップ抵抗器の例(MCRシリーズ)の断面イメージ図

厚膜チップ抵抗器の例(MCRシリーズ)の断面イメージ図

金属板チップ抵抗器の例(PMRシリーズ[左]、PSRシリーズ[右])の断面イメージ図

金属板チップ抵抗器の例(PMRシリーズ[左]、PSRシリーズ[右])の断面イメージ図

抵抗温度係数(TCR)計算ツール

次ページは、抵抗温度係数(TCR)計算ツールの使い方についてについて簡単に説明しています。

エレクトロニクス豆知識

半導体スイッチ(IPD)とは?