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リスクマネジメント事業活動の基盤

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リスク管理・事業継続方針

「企業目的」「経営基本方針」などの目的・方針を実践し、ロームグループにおけるリスク管理と事業継続マネジメントを推進するため、以下の通り定める。

リスク管理

  • ・グループ一体となったグローバルなリスク管理を推進する。
  • ・重要リスクを特定・評価するとともに、損失を最小限に抑えるための対策を行う。
  • ・重要リスクの評価や対応状況を定期的に見直し、経営陣と共有する。
  • ・事案発生時には速やかに情報収集・報告を行い、適宜、事業継続・復旧計画に移行する。

事業継続

  • ・社員及び関係者の安全確保・安否確認を最優先事項とし、火災や環境汚染などの二次災害の発生防止に努める。
  • ・サプライチェーンを維持するため、迅速な生産復旧・事業復旧を図る。
  • ・会社として求められる社会的責務の遂行を図る。
  • ・事業継続マネジメントの推進及び復旧活動は、経営陣の指揮のもと全社一丸となって取り組む。
  • ・事業継続計画を事業環境の変化に応じて定期的に見直し、事業継続マネジメントシステムの継続的な改善に努める。

全社リスクマネジメント推進体制

事業活動を進めていく上で、様々なリスクが財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性が考えられます。ロームグループではこうしたリスクを回避、あるいはその影響を最小限に食い止めるため、全社リスクマネジメント(Enterprise Risk Management)の強化に取り組んでおります。取締役会、および全社のマネジメントシステムを統括する「EHSS統括委員会」の下、「リスク管理・BCM委員会」(年4回開催)を組織しており、グループにおいて発生する可能性のある重要リスクを抽出した上で、発生頻度と事業に与える影響度の側面からリスクマップにて評価し、対策を管理・推進しております。また、各マネジメントシステムと連携し、半期に1回、全社リスクマネジメントの活動状況やリスク評価・管理指標について、EHSS統括委員会へ報告するとともに、社外に開示する重要リスクについては取締役会への報告・承認を得ています。
尚、リスク管理・BCM委員会の委員長は執行役員である経営戦略本部長が務めるとともに、委員会及びその事務局部門は事業部門から独立した組織となっております。

EHSS(Environment、Health and Safety、Sustainability)統括委員会:8つの下部マネジメントシステム(環境、安全衛生、労働、倫理、情報、サプライチェーン、品質、リスク管理BCM)を司り、それぞれのPDCAが適切に回っているかを確認する経営の執行責任者により構成された会議体。社内取締役・執行役員が委員長を務める。(社外取締役である監査等委員も含む)

内部・外部監査

リスク管理・BCM委員会ではマネジメントシステムのPDCAサイクルの中で毎年内部チェックを行い、その有効性を確認しております。
また、独立した社長直轄組織である内部監査部はグループにおける事業・コンプライアンスリスクに対する内部統制監査を行うとともに、重点的な内容はアシュアランスマップとしてまとめ、リスク管理・BCM委員会を通じて各マネジメントシステムに共有・連携しています。
年4回のリスク管理・BCM委員会では、各マネジメントシステムの代表委員だけでなく、社外を含む取締役・常勤監査等委員、内部監査部門長も参加しており、リスクマネジメントが有効に働いているかを監視・監督しています。社外取締役は過去に金融企業でのリスク管理・内部統制経験も有しており、専門的な知見からロームのリスクマネジメントに対し助言・監督いただいています。
各マネジメントシステムは、RBA Validated Audit ProcessやISO等の外部監査を定期的に受審し、リスクマネジメントを含む管理体制が有効であるかを外部の目線からも確認しています。

リスク管理指標と報告体制

リスク管理・BCM委員会では、経営・事業・コンプライアンス・サステナビリティなどの重要リスクに対し、影響度と頻度から分析・評価を行い、年4回の委員会で見直しをし、リスクマップとして一覧化しています。また、全社リスクマネジメントを有効にモニタリングするために、財務・非財務すべての重要リスクに対して予兆や対策推進状況を測る管理指標(Key Risk Indicator)を設けています。感応度分析などを通じ可能な限り定量的な指標を設けることで、リスクの発生の兆しや、影響、対応状況を見える化し、それをいち早く経営に反映することが可能になります。
また、リスク事象が発生した際は、迅速に社内のしかるべき関係者・経営層(取締役)に通知し対応する文化・体制を構築・推進しており、発生した場合はそれがどこの国・拠点であっても、予め用意した社内の緊急通報体制コミュニケーションツールを通じて報告される仕組みを構築しています。
コンプライアンスリスクについては、社員向けサプライヤー向けホットラインを設置しており、また品質リスクに関する社内ホットラインも設置しております。

基本的な考え方と推進体制

リスクマネジメント体制

リスクマネジメント体制

リスクマネジメントの活動サイクル

リスクマネジメントの活動サイクル リスクマネジメントの活動サイクル

PLAN

重要リスクの洗い出し
  • 「リスク管理・BCM委員会」にて、企業を取り巻く様々なリスクを想定。
  • 各マネジメントシステム・部署を通じてグループにおける重要リスクを抽出。
主管マネジメントシステム・部署の決定
  • リスク予防及び発生時の主管となるマネジメントシステム・部署を明確化。

DO

リスク対応
  • 主管マネジメントシステム・部署にてリスクを分析・評価の上、対応方針を決定。
  • 当該対応方針に基づき対応。

CHECK

リスク管理体制の確認・評価
  • 「リスク管理・BCM委員会」にて、主管マネジメントシステム・部署のリスク管理体制の状況を確認・評価。

ACTION

リスク管理体制の是正
  • リスク発生の可能性が高い場合、必要に応じて主管マネジメントシステム・部署に指示の上、是正。
啓発
  • リスク情報提供等、ロームグループ内への周知。
レビュー
  • EHSS統括委員会へ報告。

中期目標と実績

ロームは、2021年に指導した中期経営計画を達成する上で、重要な課題として「リスクマネジメント」を挙げると共に、2025年度の達成目標を策定しました。社会とロームの持続成長を目指し、取り組みを進めてまいります。

リスクマネジメント
【取り組み意義・背景】
経済のグローバル化や社会の変化とともに、企業を取り巻くリスクが多様化する中、事業に関する社内外の様々な不確実性を適切に管理することは、経営戦略や事業目的を遂行していく上で欠かせません。大規模な自然災害や事故、感染症等の流行等で被害を受けたとしても、重要業務が中断されないこと、また万が一中断しても可能な限り短い期間で復旧・再稼働することは、企業としての重要な責任です。当社グループは、「リスクマネジメント」を事業基盤の重要な経営課題と位置付け、業務及び業績に支障をきたすおそれのある事象を「リスク」として捉え、その発生を最小限に止めるとともに、事象が発生した場合でも円滑に事業継続・復旧を行うための対策に取り組みます。
テーマ 達成目標(2025年度) 2023年度目標 2023年度実績 2024年度目標
リスクマネジメント・BCM体制の強化 全社的なリスクマネジメントを通じてBCM体制を強化を図る
  • ・2022年度に実施した活動の継続
  • ・EHSS統括委員会の各マネジメントシステムとの連携による、より強固なリスクマネジメント体制の構築
  • ・従業員一人ひとりの防火・防災意識を向上するための取り組みを実施
  • ・火災の未然防止を目的とした火災リスクアセスメント体制の構築
  • ・4半期毎開催のリスク管理・BCM委員会にてグループのリスクの洗い出し・評価・対策状況の確認を実施の上、主要なリスクについて半期のEHSS統括委員会へ報告
  • ・リスク発生の予兆や対策の進捗状況をモニタリング
  • ・南海トラフ想定のBCM訓練を実施、被災時の課題を洗い出しBCP更新へつなげる
  • ・火災・水災に特化したリモートリスクサーベイを国内・海外主要生産拠点にて実施し、火災・水災リスクへの対応状況を確認
  • ・国内海外グループ会社に赴き、防火・防災内部監査を実施
  • ・生産装置に対する火災未然防止活動強化のために策定した「クリーンルーム火災リスクアセスメント」をグループ国内外生産拠点に展開し、運用を開始
  • ・地政学上のリスク高まりに対応するため、情報収集、モニタリング、対策を実施
  • ・2023年度に実施した活動の継続
  • ・グループのリスクマネジメントに関する規定を最新の状況に更新
  • ・国内グループにて南海トラフ地震想定の訓練を実施
  • ・生産装置だけでなく、生産エリア・付帯エリア・その他職場内の主な電気設備・高温設備に対する火災未然防止活動強化のためのグループ共通ツールとして「3つの火災リスクアセスメント」を作成・展開

【関連する取り組み】

リスクマネジメント

事業におけるリスク

ロームグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。各リスクについて、影響度と発生頻度を「大」「中」「小」の3段階で評価しております。影響度については、社内で定めた指標に基づき、財務、事業中断、評判・イメージ、安全・人命のいずれかの観点から評価しております。ただし、以下は全てのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、2023年6月末時点においてロームグループが判断したものです。

(1) 事業戦略・市場変動に関するリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロームグループは注力市場として「自動車関連分野」、「産業機器関連分野」、「海外市場」を、また注力商品として「パワー」、「アナログ」を掲げるなど、より成長が見込める市場、あるいはロームグループの強みを発揮できる市場や技術に、重点を置いております。こうした重点分野においては、今後グローバルな競争がより激化する可能性があり、コストダウンの限界を超えた価格競争や熾烈な開発競争に巻き込まれる可能性があります。
また、社会ニーズの様々な変化や各国の政策・規制等により市場成長の鈍化や市場の縮小が起こる可能性があります。例えば、電気自動車の市場成長の鈍化は、それらに採用が進むパワーデバイスを製造するロームにおいてリスクと成り得ます。
こうした市場の動向や競争環境の変化により、ロームグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
主な対策 このようなリスクに対し、製品ラインアップを強化し、顧客ニーズを先取りする提案型の営業体制への見直しを進めております。また、ロームグループが強みを持つ技術領域を中心とした新製品・新技術の開発を進め競争力を高めております。
具体的には、ロームのProduct Marketing Engineer(PME)はグローバルで市場要求性能や機能を調査し、商品企画を絞り込む活動を行っております。顧客開発動向などの技術情報を熟知したField Application Engineer(FAE)は顧客が求める最適なソリューションの提案と、きめ細かな技術サポートを担当し、PMEとFAEの両輪でグローバルなソリューション提案力の強化を進めています。
特に昨今、環境変化が激しい自動車市場においては、変化をタイムリーに察知するために、グローバルでのFAE活動を担当するシステムソリューションエンジニアリング本部に「グローバル車載拡販プロジェクト」を組織しました。これは、世界中の完成車メーカーおよび、そのサプライヤーへの拡販を通じて、市場の動向を漏れなく各事業戦略へ反映させるものです。
また、国外8か所に設置しておりますFAE部門「テクニカルセンター」も欧米・中国を軸に人員や設備の増強を進めております。
自動車産業以外の分野強化として、産業機器分野の市場のすそ野までのサポート強化を目的とした、「産業機器ロングテールプロジェクト」もその活動をさらに活発化し、特定の市場に偏るリスク低減を進めております。
(2) M&Aリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロームグループでは企業価値の向上を目的として、将来的な事業展望を見据えた既存事業の拡大や、既存技術を元にした新規分野への進出、及び新規技術の獲得や有望な人財の確保を視野に入れたM&Aをワールドワイドに検討・実施していく必要性があると考えております。一方、買収前のデューデリジェンスで検証すべきガバナンス・マネジメントの仕組みや体制、業務体制、シナジー仮説などの検証が不十分であると、買収見積額が実際の価値を上回ってしまい、結果的に損失を被る事態にもなりかねません。
買収後においてもPost Merger Integration(PMI)が適切に行われず、想定外の事態の発生や市場動向の著変等が原因で、買収事業が所期の目標通りに推移せず、場合によっては損失を生む可能性があります。
主な対策 M&Aに当たっては、自社の事業戦略に沿った買収候補企業の探索を事前に行います。
実行段階においては、社内に専門のプロジェクトチームを組成するとともに外部アドバイザーを起用して第三者視点を織り込んで十分に調査・検討を行った上、多段階の審議を通じて決定プロセスの適正性を確保しております。
また、買収後のPMIを有効なものとするためにも、買収の実行段階からPMIの視点を入れ計画を策定、実行するとともに、買収事業の目標達成状況をモニタリングし、事業環境の変化等には戦略の見直しを行うなど適時に対応することとしております。
(3) 為替リスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロームグループは開発・製造・販売の拠点を世界各地に展開しており、多通貨での収益・費用及び資産・負債が発生しております。各拠点の会社通貨の財務諸表への換算、連結財務諸表への円換算は為替レートにより変動し、業績及び財政状態に影響を与えます。
また、ロームグループは日本、アジア及びヨーロッパにて生産活動を行うとともに、世界市場において販売活動を行っております。このため、生産拠点と販売拠点の取引通貨が異なり、常に為替レート変動の影響を受けております。概して言えば、円高の場合は業績にマイナスに、円安の場合にはプラスに作用します。
主な対策 為替変動リスクを軽減するため、外貨建ての営業債権に対して、一定程度の為替予約を行っております。
(4) 税務リスク 発生頻度:中 影響度:中
内容 ロームグループは開発・製造・販売の拠点を世界各地に展開しており、各国税務当局から追徴課税を課されるリスク、移転価格税制による二重課税リスク、それらの発生に伴い、企業の信用が毀損するリスクがあります。
主な対策

ロームグループ税務方針を制定し、本社ならびにグループ各社・関連部門が連携し、各国・地域の税関係法令を遵守し適正な納税に取組んでいます。税務リスクを認識した場合は必要に応じて外部専門家への助言を求めるとともに、各国・地域の税務当局との信頼構築と良好な関係の維持に努めています。移転価格税制に対しては各社の機能・リスク及び資産に応じた利益配分によって独立企業間価格を算定し、適正な国際間取引を行うことに努めております。

(5) 金融市場変動リスク 発生頻度:中 影響度:中
内容 ロームグループでは、金融市場の様々な変動リスクにより、金融資産の減少や資金調達コストの増加が生じる可能性があります。
主な対策

主要な金融資産である預金は高格付金融機関への預け入れを原則とし、債券等も含めて安全性の高い金融商品を保有しております。資金調達に際しては調達コストの低減に努め、銀行借入や社債発行など金融市場の状況に応じた調達を実施しております。

(6) 自然災害・感染症に関するリスク 発生頻度:小 影響度:大
内容 ロームグループは日本のみならず世界各地で開発・製造・販売活動を行っており、地震や洪水等の自然災害の発生や感染症の蔓延による稼働率の低下など、当該地域の生産や営業拠点が損害を受ける可能性があります。また、これらのリスクが複数の地域で同時に発生する可能性があり、ロームグループのみならず、顧客やサプライヤーなども含めたサプライチェーン全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。
主な対策 ロームグループでは、リスク分散のために生産ラインを世界の複数拠点に配置するなどの対策をとっております。また、リスク管理・事業継続方針の下、各拠点で活動しており、中でも生産機能を持つ国内外の主要拠点では、外部専門機関と協力し、自然災害、感染症、安全、操業・経済・政治リスクの観点からリスクアセスメントを行い、工場ごとにトップリスクを特定・分析・評価しております。その上で、対策委員会等を組織し、事業継続計画の立案や、それに基づく訓練など、有事に備えた様々な取り組みを行っております。
また、感染症については、社員、顧客及びサプライヤーの安全を第一に考え、感染リスクの継続的な低減のために、在宅勤務などフレキシブルな働き方の実施とそれを可能とするITツールの導入と活用の促進など種々の対策を実施しております。
顧客に対する供給維持対策としましては、稼働縮小や一時停止に対応するため、一部の機種をロームグループ他拠点及びOSAT(※)への移管を進め、更にフレキシブル生産ラインや省人化ラインの開発など、起こりうるリスクの低減に向けて長期視点で対策に取り組んでおります。

OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)
半導体製造における後工程である組み立てとテストを請け負う製造業者のこと。

(7) 気候変動に関するリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 世界的な気候変動により、過去に例のない異常気象による被害、炭素税の導入やステークホルダーからの要請への対応に伴う想定を超える費用の発生、また、リスクの顕在化に伴うブランド価値の低下等、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
主な対策 環境課題について、2021年4月に「ロームグループ環境ビジョン2050」を策定し、「気候変動対策」、「資源循環型社会の実現」、「自然サイクルと事業活動の調和」を目標として設定し、取り組みを進めております。ロームグループでは、気候変動対策に関して、継続的な省エネ施策に取り組むことによる温室効果ガス排出量の抑制に努め、更に太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの導入に取り組むなど、グループ全体において気候変動対策を推進しております。
2021年9月に脱炭素社会実現に向けた「2030年中期環境目標」を改定しました。同時に、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)の提言に賛同し、TCFD提言に沿った情報開示を行っております。
また、2022年4月には事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際企業イニシアティブ「RE100」に加盟しました。

気候変動に関するリスクや対応の詳細は、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動」をご参照下さい。

(8) 地政学リスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロシア・ウクライナ問題の長期化、台湾海峡や南シナ海、中東における軍事的緊張の高まり、米国・中国の二国間関係など、各国・地域の国際関係は不確実性を増しております。グローバルで事業を行うロームグループにとって地政学リスクは事業撤退や操業停止など直接的な生産・営業活動への影響だけでなく、材料調達や顧客との取引などサプライチェーン全体に影響をもたらす可能性があります。
また、あらゆる産業の製品に使用される半導体をめぐっては各国・地域が経済安全保障上の重要物資として保護主義的な政策を進めるとともに輸出等の規制を拡大しており、それらに適切に対応できなければ、事業競争力の喪失のみならず行政罰や法的制裁によりロームグループの事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに昨今は先端半導体に加えて「レガシー半導体」と呼ばれる成熟した製品分野においても各国による規制や支援の検討が進められており、ロームの半導体製品が影響を受ける可能性が高まっております。
主な対策 ロームグループでは、グローバルな地政学リスクの高まりに対応するため、2023年12月に専門部署として「経済安全保障室」を設置し、当該部署とリスク管理・BCM委員会を中心に経営に影響を及ぼす可能性のある地政学リスクについて情報収集やモニタリング、対策を実施しております。
各地域の事業拠点においてもリスクの特定からリスク管理対策や事業継続計画の策定・推進を進めており、社員の安全を確保しながら事業への影響を最小限に抑えるための活動に取り組んでおります。
また、半導体関連製品の輸出規制に関しては、全社の関連部署からなる輸出管理専門部会が弁護士と連携しながら適正な安全保障輸出管理を実施しております。
(9) コンプライアンスリスク 発生頻度:小 影響度:大
内容 ロームグループでは、日本のみならず世界各地で開発・製造・販売活動を行っており、世界各地において適用される競争法、腐敗行為防止法制及び個人情報保護法制等の法規制を遵守する必要があります。
これらの法規制に違反した場合、課徴金の支払い、事業活動の中断、ブランドイメージの毀損等により、ロームグループの事業や業績に重大な悪影響を及ぼすおそれがあります。
主な対策 ロームグループでは、「EHSS統括委員会」の傘下にある「コンプライアンス委員会」が主体となって倫理マネジメントシステムを構築・運用することにより、ロームグループにおけるコンプライアンス違反のリスクを管理するとともに、その防止を図るために、主要なものとして以下の施策を実施しております。
① 社内規定の整備・運用
ロームグループでは、法令を遵守するために各種社内規定を整備し、運用しています。また、法令の領域ごとに主管する部門を定め、定期的に法令の制定及び改正の情報を収集、調査のうえ、これら社内規定の見直し等を適宜行うことにより、法令違反の防止を図っております。
なお、ロームグループにおいては、日々の事業活動のなかで遵守すべき倫理上の基本的なルールを明らかにした「ロームグループ行動指針」をロームグループ全体に展開し、法令のみならず、倫理に違反した行為の未然防止にも努めております。
② 教育・啓発活動の実施
ロームグループでは、ロームグループの役員及び社員のコンプライアンス意識の啓発のための施策として、全社員向けコンプライアンス教育、役員向けリーガルセミナー及び階層別コンプライアンス教育を年に1回実施するほか、必要に応じ各種個別法令別の教育を実施しております。
③ 内部通報制度の整備・運用
ロームグループでは、コンプライアンス体制の実効性を確保するため、内部通報制度として外部の法律事務所を窓口としたコンプライアンス・ホットラインを設置し、国内のロームグループの全社員からコンプライアンス違反に関する通報・相談を受け付けております。また、海外のロームグループにおいても、各社にコンプライアンス・ホットラインに加え、各社の役員の不正行為またはそのおそれがある場合に、その内容をロームに通報できるグローバル コンプライアンス・ホットラインを設置しております。
(10) 知的財産に関するリスク 発生頻度:中 影響度:中
内容 ロームグループでは、他社製品と差別化できる製品を製造するために様々な新技術やノウハウを開発しており、こうした独自の技術を背景に世界中で製品の製造・販売を行っております。そのためロームグループで保有する知的財産権の保護並びに他社との紛争の回避が必要不可欠になってまいります。
主な対策

ロームグループが使用している技術やノウハウは、知的財産権等で保護し自社技術を守りつつ事業競争力を高めるとともに、他社の保有する知的財産権を侵害しないように社内調査や、製品開発時のチェックなどを通じて厳重に管理しております。

(11) 環境規制リスク 発生頻度:中 影響度:中
内容 ロームグループが事業を行うあらゆる領域において、排気、排水、有害物質の使用及び取扱い、製品含有化学物質の管理、廃棄物処理、土壌・地下水汚染等の調査並びに環境、健康、安全等を確保するためのあらゆる法律・規制を遵守しております。しかしながら、事前に予期し得なかった事態の発生などにより何らかの法的責任を負う場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
主な対策

ロームグループでは、環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001に準拠した環境マネジメントシステムをグループ全体で構築し、運用することで環境負荷削減をはじめとする環境保全に向けた継続的な環境改善を進めております。取り組みに当たっては、ロームに設置した「環境保全対策委員会」が中心となり、法令や規制等に基づく生産や各拠点における活動・サービスに起因する環境影響を管理し、拠点ごとの内部監査で明らかになった改善点などをグループ各社に水平展開を行っております。

(12) 人財確保に関するリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロームグループは、設計技術、製造技術、品質保証技術、ソリューション提案能力を積み重ね、事業を拡大してきました。近年、その事業活動を支える人財の確保がますます重要視されております。
国内では、雇用環境の変化や少子高齢化による生産年齢人口の減少に直面しており、特にロームの注力事業領域である九州地区の生産工場では、高度専門人財の獲得競争が激化しています。
今後、高度専門人財の長期的な育成及び確保が課題であり、社員のエンゲージメントと生産性の向上が不可欠です。そのためには、一人一人の能力が最大限に発揮できる魅力的な職場環境の提供が必要です。
主な対策

ロームグループでは、事業活動を支える人財を確保するため、国内で約300名の新卒採用に加え、200名近くのキャリア採用を進めており、多様なバックグラウンドを持つ人財を積極的に採用することで人財確保を図っております。
また、これらの人財が長期的に活躍できるよう、自身の個性を活かしたキャリアパスを描き、実現できる体制を推進しています。ロームでは、高度な専門スキルを以て会社に貢献する社員をその道の第一人者として認定する「スペシャリスト職制度」や、自発的な異動を促進する「ジョブポスティング制度」を通じて、キャリアを支援する体制を構築しております。
さらに、それぞれのライフスタイルやライフステージに合わせて柔軟に働けるよう、様々な制度の導入を通じて生産性を高め、健康で安心して働き続けることができる環境づくりにも力を入れております。
このような取り組みを通じて、社員が会社の成長に貢献することで自己実現を実感し、さらにその成果や貢献を認められることが、エンゲージメントを高め、人財の確保に繋がると考えております。

(13) 情報セキュリティに関するリスク 発生頻度:中 影響度:大
内容 ロームグループでは、事業活動において、ロームグループが保有するもののみならず、ステークホルダーの機密情報及び個人情報を保有しこれを利用しております。また、昨今のロームグループにおける事業領域の拡大やDXツールの利用推進、働き方の多様化(リモートワーク)によって、役員・社員がこれらの情報を遠隔で利活用する機会が増加しております。
一方で、企業を標的にしたサイバー攻撃や、退職者による機密情報の持ち出し・不正利用、国外への技術流出といった情報セキュリティリスクは日々高まっています。また、近年ではプライバシー保護および経済安全保障の観点から、各国における個人情報保護法令やデータ保護規制の制改定や運用強化、セキュリティ・クリアランス(適格性評価)制度の検討も進んでおり、企業にはますます高度な情報管理能力が求められております。
情報は企業経営の源泉であり、ステークホルダーからの信頼獲得およびロームグループの持続的成長を実現するためには、社員一人ひとりの情報リテラシーの向上のみならず、技術的・物理的なセキュリティ対策を多重的かつ網羅的に実行することが急務となっております。
これらの対策が不十分であった場合、情報の漏えい・不正利用、システムダウンによる事業停止、法令違反といった重大事故が発生する可能性があります。また、これらの事故により、ロームグループのブランドイメージの毀損、社会からの信用失墜、民事上・刑事上の責任および行政罰による多額の費用負担および事業活動の差止めなど、ロームグループの事業、業績、財政状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
主な対策 ロームグループでは、事業活動のなかで取り扱うロームグループおよびステークホルダーの機密情報や個人情報について、全社的に情報マネジメントシステム(情報管理のPDCAサイクル)を構築し、統括組織である情報管理委員会によって定期的に当該システムの運用状況をモニタリングし、情報セキュリティリスクの把握および改善活動を行っております。また、ロームグループでは、情報管理委員会の定める目標・方針に従い、組織的・人的・技術的・物理的の4つの側面から、網羅的に情報セキュリティを確保しております。
まず、「組織的施策」として、情報管理にかかる全社方針および社内規定(情報管理方針、サイバーセキュリティ管理規定、機密情報管理規定、プライバシーポリシー、個人情報保護規定等)を制定しております。これらのルールに従い、グループ各社において情報管理責任者や具体的な情報管理方法を決定・運用し、定期的に内部監査で活動評価を行うことにより、グループ全体で情報管理水準の標準化および向上を図っております。また、本社および国内外の事業上重要な拠点を中心に、情報管理の国際標準であるISO27001やドイツ自動車工業会による情報セキュリティ評価「TISAX (Trusted Information Security Assessment Exchange)」の認証取得・認証範囲の拡大に継続的に取り組んでおります。
次に、「人的施策」として、年次教育や階層・役割別研修、フィッシングメール訓練等の活動を定期的に実施することで、役員・社員の情報リテラシーの維持・向上に努めております。
また、「技術的施策」として、外部専門機関による24時間365日体制で情報端末の監視およびアクセスログの収集や、脆弱性診断・是正対応、マルウェア対策、仮想事例を用いたインシデント対応訓練等を実施し、サイバー攻撃や内部不正による情報漏えいの予兆を早期に発見・対処する体制を整備しております。
そして、「物理的施策」として、IDカードや監視カメラ、セキュリティゲート等によるローム構内、及び入場制限エリアへの入退出管理、施設内のゾーニング、機密情報・個人情報を含む各種媒体に関するアクセスコントロールを多重的に実施することにより、社外の第三者はもちろんのこと、社内の業務上知る必要のない者(Need-not-to-know)による機密情報、及び個人情報の持ち出し・混入、不正利用を防止しております。
(14) 人権リスク 発生頻度:小 影響度:大
内容 世界的な人権配慮の高まりにより、自社だけでなく調達先から顧客までのサプライチェーン全体で人権配慮が求められております。特に開発途上国における強制労働や児童労働、低賃金、職場や地域における安全衛生配慮などが不十分な場合、社会的な信頼の損失につながる可能性があります。
また各国や国際団体等で人権関連のガイドラインや法規制の制定や執行が進む中、サプライチェーンを含めた自社の人権に関するリスクを特定し対応しなければグローバルで事業を行えなくなる可能性があります。
主な対策

ロームグループはグローバルに事業を展開する企業として、人権が尊重された持続可能な社会の構築が重要との認識のもと、国連グローバル・コンパクトなどの国際原則・規範を支持・準拠し、尊重しております。また、ロームグループ人権方針を定め人権尊重への取り組みやデューデリジェンスに取り組むことを宣言しております。具体的には社員やサプライヤーを対象としたホットラインの整備、英国現代奴隷法に関する声明の発行等が挙げられます。ホットラインの周知や人権に関する基礎的な理解の促進に向けては、全社員を対象としたe-learningによる啓発活動を実施しております。
また自社だけでなくサプライチェーン全体でその取り組みを進めており、RBA(※)行動規範などの国際規範に基づき自社やサプライヤーの労働状況や取り組みに問題がないことを監査や調査票を通じて確認し、必要に応じて改善を要請しております。また、販売代理店を通じた販売等においても、その供給先が各種法令のみならず、人権に関する準則等に違反しないことを誓約いただくなど供給先においても人権侵害が生じないように取り組んでおります。
<ロームグループが支持する国際原則・規範等>
国連グローバル・コンパクトの10原則
世界人権宣言
国際労働機関(ILO)「労働における基本原則及び権利」
国連ビジネスと人権に関する指導原則
OECD多国籍企業行動指針
ISO26000
RBA(Responsible Business Alliance)行動規範
責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン

RBA
電気・電子機器(エレクトロニクス)産業又はそれらを主部品とする産業のサプライチェーンにおいてCSRを推進するアライアンス。労働、安全衛生、環境、倫理、管理システムの分野について行動規範を定めている。

(15) 研究開発活動リスク 発生頻度:小 影響度:大
内容 エレクトロニクス分野における研究開発は激しいグローバル競争の中にあり、新製品等の開発の遅れは競争力の低下に直結し、新市場を失うリスクにつながります。
研究開発の遅れを招く要因として、人財の散逸や好適人財の獲得不足による停滞、人財の画一性による視野狭窄、技術の陳腐化による劣敗、規制逸脱やコンプライアンス違反がもたらす活動停止といった具体的なリスクが想定されます。いずれのリスクも、将来の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
主な対策

ロームでは、5年程度先を見据えたリソースの重点配分に留まらず、長期的ビジョンに基づく新規分野へのリソース配分を担保し、シームレスな持続的成長につながる研究開発活動の実現を目指しております。多様な人財を獲得しつつエンゲージメントを高め、社内外の有機的な連携や不断のテーマ見直しを行うことで、時代とニーズを先取りするアクティブな研究開発を展開します。加えて、適法かつ公正な研究開発体制を維持することで、インシデントリスクを未然に回避する研究開発を継続します。
また、10年後あるいはそれ以上先の将来に関しては、国内外の多くの大学との共同研究など、外部との連携を強化しております。更に、オープンイノベーションの取り組みとしてCVC(Corporate Venture Capital)を実施しております。

(16) 製品の欠陥リスク 発生頻度:中 影響度:中
内容 ロームグループでは、企業目的で「われわれは、つねに品質を第一とする」を基本理念に掲げており、厳しい品質管理のもとに生産を行っておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来において販売先からの製品の欠陥に起因する損害賠償請求等が発生しないという保証はありません。万一、損害賠償請求があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
主な対策

ロームグループでは、各事業本部の品質部門が設計品質を保証し、各生産本部の品質部門がつくり込み品質を保証しております。
なお、社長直轄部門の一つである品質本部は、事業本部、生産本部の枠を超えた全社の品質保証システムの構築や情報展開及び各事業・生産本部の業務監視を行っております。また、社外で頻発している品質コンプライアンス違反に対するリスク低減を目的に、品質保証部に「品質監査室」を設置し、各生産拠点でも専門部会による活動を進めております。
事業本部、生産本部における新製品開発では、顧客要求を満足する安全で、信頼のおける製品をタイムリーに提供するため、開発検討、設計審査、初期流動、量産の各段階で評価を行います。改善情報は源流にフィードバックするとともに、次期設計に展開します。
また、生産本部のものづくり革新部における自社開発の組立加工装置では「設備で品質をつくり込む。不良を作れない設備」を目標に、装置自身の自己診断など、不良を作らないようにすることを目指しております。
万一、製品に起因する不具合が発生した場合、ローム製品は現品から生産情報(製造時期若しくはロッ卜情報)がトレースできます。ロッ卜情報からは、全工程の4M情報(Man、Machine、Material、Method)が確認でき、それぞれの生産条件、出来映えについて迅速に調査でき、波及性を限定できる体制となっております。
加えて、ロームグループでは以下の国際的な品質マネジメントシステム等に基づき、欠陥が発生しない管理体制の構築を進めております。

  • ・ISO9001:品質マネジメントシステム
  • ・IATF16949:自動車産業品質マネジメントシステム規格
  • ・ISO26262:車載電子制御の機能安全に関する国際規格
(17) 生産・調達活動に関するリスク 発生頻度:中 影響度:中
内容 ロームグループでは、垂直統合型のビジネスモデルを採用しておりますが、電子部品の製造にはレアメタルを含む様々な素材を必要とします。そのため、特定の供給元からの調達に制約が発生した場合、生産活動やコスト構造に悪影響を及ぼす可能性があります。
主な対策

事業部門においては、材料などの複数購買を進めるとともに、サプライヤーのBCP状況等に基づき適切な在庫管理を推進しております。
調達部門においては、有事の際にいち早くサプライヤーの被災・安否状況や供給状況の確認が取れるよう、調達部材の製造会社・製造場所の情報を調査し、データベース化するとともに、その調査範囲を二次サプライヤーまで拡大し、サプライチェーンのBCP状況の全体把握に取り組んでおります。
また、重要材料を扱うサプライヤーとは有事発生の際の対応方法を、ロームとサプライヤーとの間で事前に合意する取り組みを進めております。

事業継続マネジメント

企業目的において「良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し文化の進歩向上に貢献する」と掲げ世界各地で開発・製造・販売活動を行っているロームグループでは、事業継続マネジメント(Business Continuity Management:BCM)の構築は経営における重要課題の一つであると考え、ロームグループ防火・防災方針を定め活動しています。中でも生産機能を持つ国内外の拠点では、災害などのリスクを特定した上で、対策委員会を組織し、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)の立案や、それに基づく訓練など、有事に備えた様々な取り組みを行っています。

ロームグループ 防火・防災方針

『国際規範等の尊重と法令遵守による防火・防災の推進により、災害の未然防止と災害への備えを図る。』
ロームグループは、防火・防災の継続的な取り組みを通して安心、安全な職場環境の提供と火災等の有事への備えを図るとともに、事業継続に影響を与えるような災害の未然防止に努める。

主な活動トピックス

【地震リスクへの対応】

1.国内地震リスクに備えた「建物安全度判定支援システム」の導入

地震発生時に人の安全・事業継続の両面で迅速な対応を可能にするための「建物安全度判定支援システム」を、国内主要拠点・建屋に設置いたしました。本システムは、建物の揺れを地震直後に分析し、建物構造の安全度を3段階で判定するものです。
日本国内における事業活動上のトップリスクの1つである地震リスクに対し、建物の安全性をタイムリーかつ専門的・客観的に判定することが可能となり、社員・顧客をはじめとした各ステークホルダーの皆様の期待に更にお応えできる体制を築いています。

2.地震を想定した訓練の実施

ロームの国内拠点では、有事の際の社員等の安全確保と、中核事業の継続・早期復旧を目的としたBCM対策本部を設置し、定期的な想定訓練や動画を活用した教育を実施しています。
2023年度は、ローム本社にて南海トラフ巨大地震を想定したBCM対策本部とその下部組織である実働班メンバーを対象に2会場をリモートワークツール等で繋ぎ情報連携を行うBCM対策本部訓練を実施しました。
在宅勤務等で全員が同じ場所に集合できないことを想定し、各自が集めた現場の情報をオンライン上で集約・整理・報告する方法や、対策本部に上がってきた課題に対してオンライン会議にて意思決定のための対策会議を開催することの実効性・有効性を検証しました。
各チーム・班の役割・活動に紐づく課題の明確化や、活動手順を再認識することができ、BCM・BCPの意識や対応力を向上することができました。

ローム本社:地震を想定した訓練
BCM対策本部訓練の様子

3.地震等の災害に強い生産棟

ローム・浜松では、南海トラフ地震などを想定し、生産棟に免震構造を採用しています。
また、ローム・アポロ筑後工場のSiC棟では、付帯エリアも含めた免震構造の採用による地震対策のほか、浸水対策・ガス消火設備・非常用発電機などを導入しており、各種災害に備えた工場となっています。

付帯エリアを含めた免振構造の採用(ローム・アポロ筑後工場)
付帯エリアを含めた免振構造の採用(ローム・アポロ筑後工場)

【水リスクへの対応】

1.World Resources Institute Aqueductを活用した水リスクの特定

ロームグループでは水リスクを特定するツールとして世界的な評価ツールである「WRI Aqueduct」を活用しています。
大量の水を使用する産業とされる半導体製造において、水の確保は生命線です。半導体製造の前工程(ウエハープロセス)の全工場が集中している日本では「渇水リスク」を優先課題として、長期的な取水量確保と水使用量削減目標を設定し、生産計画と環境目標にリンクした取水計画を進めています。
組立、検査をする後工程がある海外工場では「洪水リスク」を課題として特定しています。2011年のタイの洪水ではグループの工場が生産停止に陥り、施設や装置の損失および生産停止による経済的損失として社内外に大きな影響を及ぼしました。各工場の洪水リスク評価ツールとしても、「WRI Aqueduct」を活用するとともに、リスク管理・BCM委員会にてリスク評価および分析を行い、BCPの観点から想定停止日数を踏まえたBCP在庫設計を行うことで、洪水発生に伴う生産停止のリスク低減に取り組んでいます。

2.タイの大洪水を教訓とした訓練の実施

タイの生産拠点では毎年、洪水発生を想定したBCM対策本部訓練を実施しています。2011年の洪水の経験を活かして作成したアクションプランに基づいて「上流域で洪水が発生した場合」、「工業団地の止水壁が機能せず、2011年と同等の洪水に見舞われた場合」のフェーズ毎に実施事項等を確認しています。
また、洪水対策として準備している止水壁の組み立て訓練、排水ポンプの起動訓練、ボートの操縦訓練など、洪水発生時に利用する物品のチェック、必要となるスキルの訓練等も実施しています。

リモートでの想定訓練の様子(2021年度)
リモートでの想定訓練の様子
止水壁の組み立て訓練
止水壁の組み立て訓練

3.洪水に負けない生産棟

マレーシア工場の生産棟では2014年に発生した洪水を教訓に、1階の床高さを平均潮位+5.1mに設定しています。また、電力供給では二重送電によりバックアップを確保し、長期操業停止を防止する体制を構築しています。
2023年に竣工した新棟も、同等基準の各種BCM対策を導入しております。

洪水に負けない生産棟

【火災、その他リスクへの対応】

1.ロームグループの火災リスクへの対応

ロームグループでは、火災リスクをトップリスクの一つとして捉えており、リスク低減に取り組んでいます。
2021年度から開始した火災特化型のリスクサーベイでは、オンラインも活用しながらグループ各工場における防火対応状況・活動のヒアリングや、他社での火災事例をベースとしたディスカッションを実施し、防火に関する取り組みを確認・評価しています。
特に、クリーンルームについては、生産装置・付帯機器の防火対策及び延焼拡大防止策を記載した「火災予防ガイドライン」を作成しました。また火災の未然防止を目的としたリスクアセスメントをグループに展開しています。
これらの取り組みを継続し、グループ全体で防火対策・意識の向上を図ることで、社員の安全および事業継続をより強固なものにしていきます。

2. 災害への備え、自衛消防隊組織の編成と防火・防災訓練

ロームでは、災害に備えて自衛消防隊組織を編成し、各社の状況に応じて小型動力ポンプ、化学防護服、救助資機材などを配備しています。また、災害発生時に迅速かつ適切な活動ができるよう火災や地震を想定した実践的な避難訓練、危険物を取扱うクリーンルームでの訓練、地震発生想定訓練も実施しています。昨年度の地震想定避難訓練は、4年振りに全社一斉で訓練を実施し、総員1,800名が参加しました。また、夜間休日を想定して、シフト毎夜間避難訓練も実施しています。なお、BCPにおいて周辺火災発生時に自衛消防隊の出動や消防用設備を提供することを定めています。

ローム本社:災害への備え、自衛消防隊組織の編成と防火・防災訓練

リスク管理・BCM教育

ロームグループでは、リスク管理及びBCM体制の構築を目的とする教育にも重点をおいて取り組んでいます。
特に昨今では、経済安全保障・地政学に関するリスクが高まっていることから、社外講師を招いた執行役員対象の講演や、社外を含む取締役や執行役員に向けたマンスリーレポートを通じて教育・啓発を図っております。
また社員に向けては、ロームにてeラーニングを実施し、平時から社員の防火・防災・事業継続の啓発を図っております。
その他、ロームグループ各拠点で動画を使用した防火・防災啓発やeラーニング等を実施し平時から災害時の対応意識向上に努めています。

主な教育・研修実績

教育・研修 目的・内容 対象者 受講者数 受講率
防火防災eラーニング2023 社内の防火意識高揚と火災予防体制の一層の充実を目的とした社員向けeラーニング ローム 3,755名 99%
BCM啓発eラーニング2022 巨大地震などが発生した際の社員一人ひとりの対応について再確認・啓発するためのeラーニング ローム 3,809名 99%

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