半田クラックによるチップ抵抗器の抵抗値不良
なぜ半田クラックが発生するのか
チップ抵抗器は実装ボード上に半田で実装され、様々な環境下で使用されます。100℃以上の高温環境下や-40℃といった低温環境下で使用されることもあります。
厚膜チップ抵抗器はアルミナ基板を支持体としており、実装ボードの代表的な材料であるFR-4(ガラス-エポキシ樹脂)とは温度による収縮度合(熱膨張係数)に差が生じます。温度サイクルを繰り返すとその差がストレスとなり、2つを接合している半田フィレット部にクラックを生じることがあります。
材料 | 熱膨張係数 (10-6/℃) |
---|---|
アルミナ | 7.1 |
FR-4 (ガラスエポキシ樹脂) |
14 |
※イメージのため、強調して表現しています。
※厚膜チップ抵抗器のイメージです。
チップ抵抗器が収縮することによって発生する応力なので、電極間距離が長い、つまりチップサイズが大きくなるほど不利になります。
電極間距離を短くするつまりチップサイズを小さくすれば半田クラックは解決する。しかし…
チップサイズと定格電力や素子最高電圧などの特性値はトレードオフです。
サイズの小さなものの特性値は大きなものに比べ低下します。
定格電力などのスペックは落とさずに半田クラックを解決して接合信頼性を向上させたい!
チップサイズ拡大による接合信頼性を損なうことなく、定格電力をアップさせたい!
長辺電極タイプならサイズはそのままで電極間距離を短くできます。
実際に温度サイクル試験を実施すると、半田クラックは発生しませんでした。
試験条件: JIS C 5201-1 sec4.9準拠
Condition: -40℃: 30min / +125℃: 30min
気層 3000 cyc
Test Board: FR-4
Solder: Sn/3.0Ag/0.5Cu ( t = 0.100mm)
さらに長辺電極構造を採用することで、放熱経路が増加します。
その為定格電力が汎用品より向上しています。
サイズ | LTRシリーズ | MCRシリーズ |
---|---|---|
2012mm [0805inch] |
0.25W
|
0.125W |
3216mm [1206inch] |
0.75W
|
0.25W |
5025mm [2010inch] |
1W
|
0.5W |
6432mm [2512inch] |
2W
|
1W |
長辺電極LTRシリーズならば、半田クラックを解決し、定格電力も上げることが可能です。
また耐サージ保証も実現しており、信頼性の面で優れた製品となっております。
サージによる厚膜チップ抵抗器の破壊
ラインアップ
品名 | サイズ 略称 |
定格電力 (70℃) |
素子 最高 電圧(V) |
抵抗値 許容差 |
抵抗温度 係数 (ppm/℃) |
抵抗値範囲 | 使用温度 範囲(℃) |
車載対応 (AEC- Q200) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
LTR10 | 2012 | 1/4W (0.25W) |
150 | J(±5%) | ±200 | 1Ω~1MΩ (E24シリーズ) | -55~ +155 |
Yes |
F(±1%) | ±100 | 1Ω~1MΩ(E24,96シリーズ) | ||||||
D(±0.5%) | ±100 | 10Ω~1MΩ(E24,96シリーズ) | ||||||
LTR18 | 3216 | 3/4W (0.75W) |
200 | J(±5%) | ±200 | 1Ω~1MΩ(E24シリーズ) | Yes | |
F(±1%) | ±100 | 1Ω~1MΩ(E24,96シリーズ) | ||||||
D(±0.5%) | ±100 | 10Ω~1MΩ(E24,96シリーズ) | ||||||
LTR50 | 5025 | 1W | 200 | J(±5%) | ±200 | 1Ω~1MΩ(E24シリーズ) | Yes | |
F(±1%) | ±100 | 1Ω~1MΩ (E24,96シリーズ) | ||||||
D(±0.5%) | ±100 | 10Ω~1MΩ(E24,96シリーズ) | ||||||
LTR100 | 6432 | 2W | 200 | J(±5%) | ±200 | 1Ω~1MΩ(E24シリーズ) | Yes | |
F(±1%) | ±100 | 1Ω~1MΩ (E24,96シリーズ) | ||||||
D(±0.5%) | ±100 | 10Ω~1MΩ(E24,96シリーズ) |
*1 高電力対応については別途お問い合せください。
※E24:標準品/ E96:注文生産品