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デジタルトランジスタとは

デジタルトランジスタとは、抵抗器を内蔵したトランジスタで、スイッチングを効率的に制御します。
従来のトランジスタは外付けの抵抗器が必要でしたが、デジタルトランジスタは抵抗器を内蔵することで、回路設計の手間が減り、部品数が少なくなり、基板スペースも小さくできます。
デジタルトランジスタは、デジタル信号処理や制御回路に広く使われており、スマートフォンや家電製品など、日常的な電子機器において重要な役割を担っています。

IOとICの違いについて

IC : 構成トランジスタに流すことが出来る電流の最大理論値
IO : デジタルトランジスタとして使用できる電流の最大値

IoとIcの違いについて

解説

DTA/Cシリーズの場合、デジタルトランジスタを構成しているトランジスタは100mAを流すことが出来ます。
これをIC=100mAを定義しております。この構成トランジスタに抵抗R1、R2をつけるとデジタルトランジスタになります。
さて、このデジタルトランジスタにIC=100mA流そうとする時、ベース電流IBはそれに見合った値が要求される為、その結果 高い入力電圧がVinが必要となります。
ところが一方では絶対最大定格によって、入力抵抗R1の電力許容値(パッケージパワー)から入力電圧Vin(max)が定義されております。 従ってIC=100mA流そうとすると、この定格を超えてしまう為、このVin(max)を超えることなくデジタルトランジスタに流すことが出来る電流値をIOと定めております。
ご存知のとおり絶対最大定格は「同時に2項目以上を供給することは出来ない」と定義されていることから、ICのみの表記で特に問題ないのですが、お客様での実使用状態に合わせて、あえてIOの併記を行っております。
以上のことより、回路設計検討には、このIOが絶対最大定格となります。

GIとhFEの違いについて

hFE: 構成トランジスタとしての直流電流増幅率
GI: デジタルトランジスタとしての直流電流増幅率

GIとhFEの違いについて

解説

GIとhFEはどちらもエミッタ接地直流電流増幅率を表すものです。
デジタルトランジスタは通常のトランジスタに抵抗を2本接続したものであります。
ここで直流電流増幅率は 出力電流/入力電流 ですから入力抵抗R1によって増幅率が低下することはありません。従って入力抵抗R1のみのタイプは増幅率をhFEで表しており、構成トランジスタのhFEと等しい値となります。
ところがE-B間抵抗R2を付けると入力電流は構成トランジスタに流れる電流と、E-B間抵抗R2に流れる電流に分流します。
この為、増幅率は単体の時より低下します、この値をGIと呼んで区別しております。

温度変化による抵抗のバラツキ

周囲温度により、VBE、hFE、R1、R2が変化します。
hFEの温度変化率は、約0.5%/°C
VBEの温度係数は、約-2mV/°C(-1.8~-2.4mV/°Cの範囲でばらつきます)

デジタルトランジスタ温度特性について

R1の温度変化率は、以下のグラフです。

R1の温度変化率のグラフ

出力電圧 - 出力電流特性の低電流領域について(デジタルトランジスタの場合)

デジタルトランジスタの出力電圧-出力電流特性は、以下の測定方法にて測定しています。
従って、IO (低電流領域) では、構成トランジスタのベースには電流が流れなくなります。
これにより低電流領域では出力電圧(VO)[VCE(sat)]が上昇します。

出力電圧

測定方法 DTC114EKAの場合 IO/Ii=20/1で測定しています。
Ii=IB+IR2より(IR2=VBE/10k=0.65V/10k=65μA)
IB=Ii-IR2=Ii-65μA つまりIiが65μA以下になるとIBには電流が流れなくなり、VO [VCE(sat)]は上昇します。
これにより、低電流領域ではVOは測定できません。

デジタルトランジスタのスイッチング動作について

①トランジスタの動作

①トランジスタの動作

NPNトランジスタを動作させるには、図1のように電圧をかけます。
この回路では、ベース(B)-エミッタ(E)間は順方向電圧をかけてベース電流を注入します。
つまり、ベース(B)領域に+ホールを注入することになリます。
ベース(B)領域に+が注入されると、エミッタ(E)の自由電子-がベース(B)に引き寄せられますが、ベース(B)領域が非常に薄いため、コレクタ電圧をかけていることから、ベース(B)領域を通り抜けてコレクタ(C)へ自由電子が流れます。このことによ って電流はコレクタ(C)→エミッタ(E)へ流れます。

②スイッチング動作

②スイッチング動作

トランジスタの動作には、増幅作用とスイッチング作用とがあります。
増幅作用には、ベース電流IBを流すことにより、hFE倍に増幅されたコレクタIcが流れます。
活性領域内において、入力信号でコレクタ電流を連続的に制御することにより、出力電流が得られるわけです。
スイッチング作用では、on時には電気的に飽和した状態(コレクタ-エミッタ間飽和電圧を下げる)で使用します。

この飽和領域とは、+ホールが過剰に注入された状態であり、この状態から遮断領域になる(入力パルスを切る)と過剰に注入された+ホールが、ベース領域からベース端子へと逃げます。ベース領域内のホールが無くなるまでコレクタ電流が流れ続けます。この時間をtstg(off時間)といいます。
ここでベース領域内の+ホールを早く逃がしてやるとoff時間が早くなります。デジタルトランジスタの場合、トランジスタのoff時には、ベース領域内の+ホールの逃げ口としてはR1とR2の並列接続分となります。ここで、R1=一定とした場合、R2が小さいほうがoff時間を早くすることが出来ます。

デジタルトランジスタデータシートダウンロード

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