LSI事業
商品の更なる小型化、高効率化、高機能化を進めて市場ニーズにこたえていきます
2024年4月、ロームは、LSIの企画・開発を担う100%子会社だったラピステクノロジー(株)を吸収合併し、競争力向上のため、グループ一体での経営体制を強化しました。
ロームのLSI事業は、電子機器システムの入口、出口となるアナログIC及び全体をサポートする電源に注力して商品を展開してきました。アナログ部分は各アプリケーションに固有の課題があるため、お客様のニーズを的確に見極めることが大切で、深いユーザーコミュニケーションを文化として持つロームにアドバンテージがあります。MCUをはじめとするデジタル処理技術を保有するラピステクノロジーと一体となったことで、アナログ、パワーとデジタルの融合による付加価値の高い商品を開発し、お客様にとっての更なる使いやすさを提供できるよう努めてまいります。
一方で、ロームが直面する主な課題は、脱炭素に代表される環境問題、若年人口減少に対処するためのDXによる産業の高効率化、地政学的リスクから来るビジネスのレジリエンス確保です。事業環境としては、売り上げの半分を占める自動車市場で電動化、高機能化の大きな流れがあり、半導体需要を押し上げています。こうした状況下で商品の更なる小型化、高効率化、高機能化を進めて市場ニーズにこたえていかねばなりません。民生機器においても、モータ制御技術はエアコン、ヒートポンプの効率化に貢献するものであり、これに関してはGaNデバイスを活用した新技術の実用化により高効率と小型化を両立させるオリジナルの商品を展開していきます。
2030年度にグローバルメジャーを実現するため、選択と集中を進め、付加価値を高めて事業領域を広げていきます。
セグメント別売上高
2024年 3月期
-
■LSI
- 2,072億円
- 44.3%
- ■半導体素子 2,019億円 43.2%
- ■モジュール 329億円 7.0%
- ■その他 257億円 5.5%
売上
4,677億円
用途別売上構成比
2024年 3月期
-
自動車
48.7%
-
産業機器
11.6%
-
民生機器
26.4%
-
通信
4.7%
-
コンピュータ&ストレージ
8.6%
LSI売上高
2,072億円
ロームのポジショニング(2023年)
世界アナログ IC 市場
- 市場規模
- 83,336百万ドル
自動車向けアナログ ASSP/
アナログ ASIC
- 市場規模
- 14,168百万ドル
産業機器向け他 ASSP/
アナログ ASIC
- 市場規模
- 4,906百万ドル
Source:Competitive Landscaping Tool CLT, Annual 2Q24
注力製品

パワーマネジメント/電源IC(PMIC)
さまざまな用途、仕様に合わせ、各種アプリケーションに特化した多様なシステム電源をラインアップ。民生機器をはじめ自動車のECUごとに各種PMICの商品を展開
TOPICS|
持続可能な社会の実現に向けて
SOT23パッケージを採用した
小型・省エネDC-DCコンバータICを開発
近年、民生・産業機器において、アプリケーションの機能増加に伴って基板の省スペース化が求められており、小型DC-DCコンバータICの搭載率が増加しています。待機電力の削減も大きな課題となっていることから、DC-DCコンバータICには低電力時(軽負荷時)の高効率化も求められています。こうした市場要求を受けて、ロームは既存のSOP-J8パッケージ品よりも更に小型のパッケージで高効率化を実現した小型DC-DCコンバータIC計4機種を開発し、2024年3月より量産を開始しています。同製品は、冷蔵庫、洗濯機、PLC、インバータなど民生・産業機器アプリケーションに最適です。4機種とも一般的なSOP-J8パッケージと比較して部品面積を約72%削減できるため、電源部の小型化に大きく貢献します。また、ワイヤレス構造パッケージとしたことで、ワイヤのインピーダンス(配線の抵抗成分)も削減しており、高効率動作を実現しました。
ロームは今後もアナログ設計技術を駆使した製品の開発に注力し、民生・産業機器アプリケーションの小型・省エネ化に貢献していきます。