【採用事例】菊水電子工業株式会社様 20kW双方向大容量直流電源

ロームのSiC MOSFETが、ハイパワー双方向電源の小型・高効率・高信頼化に貢献

菊水電子工業株式会社様 20kW双方向大容量直流電源

採用ストーリー(製品の開発背景)

カーボンニュートラル時代への移行もあり、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池車)などの開発現場では、インバータやモーター等の試験用装置として、大容量の双方向電源機器が求められています。菊水電子工業様は、このような市場課題に対して、3Uサイズの20kW双方向大容量直流電源を開発されました。従来同等サイズの製品では8kWが最大電力でしたが、ユーザーからの要求は「20kWかつ双方向動作ができる電源」であったため、開発には大きな困難が伴いました。特に、同等サイズでこれを実現するためには、電力密度を倍以上にする必要があり、従来の回路方式を見直すことで電力高密度化を図る必要がありました。そこで、通常では整流ブリッジと昇圧チョッパー方式のPFCを使用する1次側の回路において、高効率化と双方向動作(回生動作)を可能とするために、3つのアームで構成される3相インバータ回路を採用しました。

採用ストーリー(SiC MOSFETの採用背景)

当初、3相インバータには、高耐圧かつ低オン抵抗であることからIGBTの採用を予定していました。しかし、チョークコイルのエネルギーを還流させるために、ダイオード内蔵のIGBTを使用したものの、逆回復時間(trr)が遅いことから、瞬間的な貫通電流の発生に繋がり、効率悪化による素子発熱やサージ状のノイズが発生するという問題に直面しました。中でも素子発熱は、電気的な特性悪化だけでなく、素子破壊にもつながるため、製品の安全性にもつながる危険な問題でした。また、ダイオード内蔵ではないIGBTの外付けにFRDやSiCダイオードなどの方式も検討しましたが、回路サイズが大きくなってしまうことからスペース上の課題がありました。最終的には、ロームのSiC MOSFETを使用することで、上記のような問題がクリアになるとご評価いただき、採用に至りました。

<お客様の声> 

・菊水電子工業株式会社 開発責任者様

さまざまな検討を通して、この問題点をクリアする最適解は、ローム製SiC MOSFETであることにたどり着いた。高耐圧で高速逆回復特性、低オン抵抗、さらにパッケージ熱抵抗も低く、国内半導体メーカーの信頼度とサポートのスピードなど総合的な評価により採用を決定した。結果、高効率化で高信頼性の3U20kWの双方向大容量直流電源が誕生したと言っても過言ではない。

ご採用いただいた製品

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菊水電子工業株式会社
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当社は1951年設立した菊水電子工業株式会社の持ち株会社化により、その社名、開発・営業の事業を承継しました。これからも、エレクトロニクス技術の基盤を支える計測器、電源機器のメーカーとして、技術力と誠実さで世界から信頼される製品・サービスを提供し、お客様のものつくりに貢献します。
そして、常に向上心を持ち、社会・環境とともに進化し、より豊かな生活の実現に寄与します。という理念をもって事業に取り組んでまいります。