アプリケーションの小型化に貢献する2.5mm×1.3mm
小型「PMDEパッケージ」ダイオード(SBD・FRD・TVS)のラインアップを拡充
~全製品で高信頼性を確保しており、車載アプリケーションにも最適~

 

2022年3月8日

<要旨>

ローム株式会社(本社:京都市)は、車載機器・産業機器・民生機器など、様々なアプリケーションにおける保護回路やスイッチング回路の小型化要求に応えるPMDEパッケージ(2.5mm×1.3mm)のラインアップに、14機種を新たに追加しました。
PMDEパッケージは、一般的なSOD-323パッケージと同等のランドパターンを持つ、ローム独自の小型パッケージです。裏面電極や放熱経路を見直すことで、一般的なSOD-123FLパッケージ(3.5mm×1.6mm)と同等の電気的特性(電流、耐圧など)を、一回り小型のパッケージで実現可能にし、実装面積を約42%削減できるため、基板の小型化に貢献します。また、実装強度もSOD-123FLパッケージに比べて約1.4倍となっており、基板に応力が加わった際にクラック(製品上の亀裂)が発生するリスクも低減しているため、実装信頼性も確保しています。
今回、PMDEパッケージにおいて、ショットキーバリアダイオード(以下、SBD)RBxx8シリーズの10機種、ファストリカバリダイオード(以下、FRD)RFNシリーズの2機種、トランジェントボルテージサプレッサー(以下、TVS)VSシリーズの2機種を開発。回路における様々な用途を小型サイズのダイオードで実現可能にしました。
なお、新製品は、2022年1月から全製品を量産(サンプル価格:50円~/個:税抜)しており、サンプルは、チップワンストップ、コアスタッフオンラインにて購入可能です。

PMDE

民生品

1個から購入可能

車載品

1個から購入可能

<背景>

パッケージの比較

車載機器から産業機器、民生機器に至るまで幅広いアプリケーションで、回路の整流や保護、スイッチングを目的に、ダイオードが数多く使用されており、実装面積削減のためにパッケージ小型化が求められています。加えて、これらのアプリケーションにおいては、低消費電力化に向けて、ダイオードの高性能化も求められています。
一方、ダイオードのパッケージを小型化する場合、裏面電極やモールドの表面積も小さくなることから、放熱性が低下します。これに対して、ロームのPMDEパッケージは、裏面電極の拡大と放熱経路の見直しにより、放熱性能を改善。パッケージを小型化しながら、従来パッケージと同等の電気的特性を実現できます。
今後もロームは、低耐圧から高耐圧まで、半導体デバイスの品質向上に努めるとともに、特長あるラインアップの強化を進め、アプリケーションのさらなる小型化、低消費電力化に貢献していきます。

<PMDEパッケージの特長>

1.従来パッケージ同等の性能を小型パッケージで実現

SOD-123FLパッケージとPMDEパッケージの放熱経路比較

一般的に半導体部品は、通電時に発生する熱を空気中や基板に放熱します。しかし、パッケージを小型化する場合、裏面電極やモールドの表面積も小さくなることから、放熱性が低下します。
これに対してPMDEパッケージは、裏面電極の面積を拡大するとともに、放熱経路をリードフレーム経由の放熱から基板への直接放熱に改善。放熱性能が大幅に向上し、一般的なSOD-123FLパッケージ (3.5mm×1.6mm)と同等の電気的特性を、一回り小型サイズ(2.5mm×1.3mm)で実現することができます。これにより、実装面積を約42%削減できるため、部品の高密度化が進む車載アプリケーションに最適です。

2.従来パッケージ以上の信頼性を確保

PMDEパッケージのワイヤレス構造について

PMDEパッケージは、上記裏面電極の面積拡大により、金属部分の専有面積が増加しているため、SOD-123FLパッケージの約1.4倍となる、34.8Nの実装強度を実現。基板に応力が加わった際にクラック(製品上の亀裂)が発生するリスクを低減しており、信頼性向上に貢献します。また、チップを直接フレームで挟み込むワイヤレス構造を採用することにより、高いサージ電流耐量(IFSM)も実現。自動車のエンジン始動時や家電の異常動作時など、突発的に発生する高い電流でも破壊されにくい、高信頼性を確保しています。

<PMDEパッケージ採用製品の概要>

PMDEパッケージは、一回り大きいSOD-123FLパッケージ同等の電気的特性を小型サイズで実現しており、SOD-123FLパッケージ以上の放熱性能及び実装信頼性を確保しています。また、車載対応品番は、全品番とも車載信頼性規格AEC-Q101※1に準拠しています。下記では、PMDEパッケージ採用の特長ある製品ラインアップを紹介します。(SBD: RBRシリーズのみ、2021年6月より量産中。)

1.SBD: RBxx8シリーズの特長(新製品)

SBDはVF(順方向電圧)※2が低く、高効率という特長を持つダイオードです。今回、超低IR(逆方向電流)※3特性を持ち、高温環境でも安定動作可能なRBxx8シリーズに、PMDEパッケージとして耐圧30V~150Vの10機種を追加しました。

・RBxx8シリーズのラインアップ表

品名 絶対最大定格 電気的特性 車載対応
AEC-Q101対応
VRM
[V]
IO
[A]
IFSM
[A]
Tj Max.
[℃]
VF Max.   IR Max.  
Cond. Cond.
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RB168VWM-30
30 1 30 175 0.69V IF=1A 0.6µA VR=30V
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RB068VWM-30
2 0.75V IF=2A
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RB168VWM-40
40 1 0.69V IF=1A 0.5µA VR=40V
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RB068VWM-40
2 0.79V IF=2A
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RB168VWM-60
60 1 0.76V IF=1A VR=60V
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RB068VWM-60
2 0.84V IF=2A
Newicon
RB168VWM100
100 1 25 0.84V IF=1A 0.3µA VR=100V
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RB068VWM100
2 0.94V IF=2A
Newicon
RB168VWM150
150 1 0.89V IF=1A 1.0µA VR=150V
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RB068VWM150
2 0.96V IF=2A

2.SBD: RBRシリーズの特長(2021年8月発表)

RBRシリーズは、効率改善の要となる低VF特性を確保しながら、背反する低IR(逆方向電流)特性も維持したバランスの良いシリーズであり、2020年6月より量産。同シリーズのPMDEパッケージは6機種をラインアップしています。

品名 絶対最大定格 電気的特性 車載対応
AEC-Q101対応
VRM
[V]
IO
[A]
IFSM
[A]
Tj Max.
[℃]
VF Max.   IR Max.  
Cond. Cond.
RBR1VWM30A 30 1 30 150 0.48V IF=1A 50μA VR=30V
RBR2VWM30A 2 0.53V IF=2A
RBR1VWM40A 40 1 20 0.52V IF=1A VR=40V
RBR2VWM40A 2 0.62V IF=2A
RBR1VWM60A 60 1 0.53V IF=1A 75μA VR=60V
RBR2VWM60A 2 0.65V IF=2A

・RBRシリーズ(PMDEパッケージ)のラインアップ表

3.FRD: RFNシリーズの特長(新製品)

FRDは、整流ダイオード同等の高耐圧(~800V)性能を持ち、高周波動作時に重要となるtrr※4(逆回復時間)に優れたダイオードです。RFNシリーズは、従来品同等の電気的特性を小型のPMDEパッケージで実現しました。

品名 絶対最大定格 電気的特性 車載対応
AEC-Q101対応
VRM
[V]
IO
[A]
IFSM
[A]
Tj Max.
[℃]
VF Max.   IR Max.  
Cond. Cond.
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RFN1VWM2S
200 1 15 175 0.93V IF=1A 1µA VR=200V
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RFN2VWM2S
2 0.99V IF=2A

・RFNシリーズ(PMDEパッケージ)のラインアップ表

4.TVS: VSシリーズの特長(新製品)

TVSは、エンジン始動時や故障時に流れる突発的な電圧(サージ※5)を吸収し、一定の電圧に降圧するという特長を持つダイオードです。VSシリーズは、5V~130Vの幅広いスタンドオフ電圧(VRWM)に対応可能です。
(5V~130Vの間で、スタンドオフ電圧ごとに32ランクを設定)

・VSシリーズ(PMDEパッケージ)のラインアップ表

品名 絶対最大定格 車載対応
AEC-Q101対応
PD
[W]
PPP(10/1,000μs)
[W]
VRWM RANK
[V]
Tj Max.
[℃]
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VSxxVUA1VWM
1 200 5 ~ 40 150
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VSxxVLNVWM
43 ~ 130

※VS110VLNVWM(VRWMランク=110V)のみ開発中(2022年3月 サンプル出荷予定)

<対応アプリケーション例>

シリーズ名(種類) RBxx8シリーズ(SBD)
主な用途 整流・スイッチング
アプリケーション例 ・白物家電
・カーインフォテインメント
・ノートPC
・ファンモータ
・FA電源
シリーズ名(種類) RBRシリーズ(SBD)
主な用途 整流・スイッチング
アプリケーション例 ・オンボードチャージャー
・LEDヘッドランプ
・カーアクセサリー
・ノートPC
 
シリーズ名(種類) RFNシリーズ(FRD)
主な用途 スイッチング
アプリケーション例 ・エンジンECU
・トランスミッションECU
・テレビ
・ADAS
・エアコン
・カーインフォテインメント
シリーズ名(種類) VSシリーズ(TVS)
主な用途 保護
アプリケーション例 ・ボディ/エンジンECU
・産業機器インバータ
・LEDヘッドランプ

<用語説明>

※1)車載信頼性規格AEC-Q101
AECはAutomotive Electronics Councilの略で、大手自動車メーカーと大手電子部品メーカーが集い、制定された車載用電子部品の信頼性規格。Q101は、特にディスクリート半導体部品(トランジスタ・ダイオードなど)に言及した規格となっている。

※2)順方向電圧: VF(Forward Voltage)
電気が+から-の順方向に流れる際に発生する電圧降下のこと。この値が低いほど、高効率化に貢献する。

※3)逆方向電流: IR(Reverse Current)
逆方向に電圧を加えた時に発生する逆方向電流のこと。この値が低いほど、消費電力(逆電力損失)が少ない。

※4)逆回復時間:trr(reverse recovery time)
スイッチングする際に、ダイオードがオン状態から完全なオフ状態になるまでにかかる時間のこと。この値が低いほどスイッチング時の損失が少ない。

※5)サージ
突発的に発生する大きな電圧・電流のこと。静電気や落雷、エンジン始動時のクランキングなど、サージが発生するケースはアプリケーションにより様々だが、回路設計時にはこれらの異常時にも故障しないような保護回路が必須となっている。

<リーフレット>

小型・高信頼のPMDEパッケージ採用ダイオード (PDF:1.4MB)

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