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自然共生の取り組み環境マネジメント
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「生物多様性」は経営資源の1つである「自然資本」を生み出す重要な源であり、社会とロームの更なる持続成長のためにも、これらの保全は欠かせません。しかし、1960年代以降、世界では生物多様性が約68%減少しているという調査結果が出ており、近年においては、毎年開催される世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書」においても、社会・企業の成長を妨げる大きなグローバルリスクの上位に「生物多様性の損失」が特定されています。また、2022年4月に開催されたCOP15では、「遅くとも2030年までに生物多様性の損失を防ぎ、回復させる(=ネイチャーポジティブ)」というコミットが掲げられています。
上記の背景から、ロームは2021年に「ロームグループ環境ビジョン2050」を策定し、重点テーマの1つに「自然共生」を掲げ、中間目標として2030年環境目標も同時に設定しております。
ロームグループでは、ISO14001マネジメントシステムに基づき、生産拠点ごとに環境影響評価を実施し、環境汚染や生態系への影響を低減すること、緑化を積極的に推進すること、また、社会貢献活動へ参画、支援することなど、グループ全体で自然共生の活動を実施し、次世代に引き継ぐ地球環境づくりを推進しています。
生物多様性の保全
目標と実績
2030年目標 | 2023年度目標 | 2023年度実績 | 2024年度目標 |
---|---|---|---|
グループ全体で、生物多様性保全の活動を実施し、次世代に引き継ぐ地球環境づくりを推進する |
|
保全テーマを「水」に特定 | ロームグループとしての自然共生テーマ推進の具体施策の企画・検討 |
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環境コミュニケーション対象を近隣小学校に拡大 | 社員、近隣小学校を対象とした環境イベント実施(学校:3回/年、社員、社員の家族:3回/年) | |
環境イベント実施(社員、社員の家族:5件、近隣小学校:6件) |
生物多様性の保全に向けた取り組み(2023年度実績)
1.生物多様性保全の成果指標の策定
ロームグループ環境ビジョン2050の実現には、各事業拠点での緑化活動、生態系の保全活動が重要となります。ロームは、かねてより自然との調和を目指した「森の中の工場」をコンセプトに本社周辺の緑化整備を行ってきましたが、グループレベルでの取り組みを推進するため、環境保全対策委員会の下部組織として「自然共生専門部会」を設立しました。昨今のネイチャーポジティブの機運の高まりを受け、2023年度は、サプライチェーンを含む事業活動がどのような自然資本に依存しているか、また活動によってどのような影響を及ぼしているのかを抽出・評価・特定し、ロームグループとして取り組むべき生物多様性の重点テーマを「水」と特定しました。テーマ特定時においては、外部評価機関やENCORE(※)等によって一般的なリスクとして特定されている項目や自社固有のリスク項目を複数抽出し、将来予測や国内外の生産拠点ごとにおける環境影響の分析、専門機関へのヒアリングを実施しております。2024年度以降は、有識者や拠点を有する自治体等へのヒアリング等を行い、優先地域の特定や成果指標、具体施策を検討する予定です。
ENCORE: 「自然資本金融同盟」と、国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCSC)などが共同で開発した、企業が自然資本に与える機会やリスクを金融機関が把握するためのツール
<中期目標と実施計画>
<参考:中期目標の策定プロセス>
特定している以下中期目標は、外部の専門家からのヒアリング内容や、社員からの要望・意見を反映の上、策定しています。
- STEP1.意見の収集
-
ロームの長期ビジョンや社員の声、外部の専門家の助言を収集
収集した意見(一部) 外部の専門家 - ・京都本社の「森の中の工場」は、大都市の中心にありながら、貴重な緑空間として自然環境の保全に貢献している。
- ・今後、生物多様性保全状況の把握や改善施策検討のために、生き物調査を実施してほしい。
- ・「森の中の工場」のコンセプトである地域との調和、自然との調和を具現化するため、多様なステークホルダーとコミュニケーションを図り、活動範囲のさらなる拡充を期待する。
社内の声 - ・環境方針、ロームグループ環境ビジョン2050でも掲げられている通り、企業活動に必要な自然資本を生み出す源泉である生物多様性を保全することは、ロームとして重要な経営課題である。今後、各拠点ごとに活動を行い、グループ一丸となってビジョンを達成することが重要。
- ・長年取り組んできた緑地管理が、生物多様性の保全に貢献していることを知った。今後は京都独自の虫や植物の棲み処となるような場所を目指していきたい。
- ・自然・生態系について、子どもたちが楽しく学べる場所を作っていきたい。
- ・生き物にとっても、人にとっても癒される空間を整備していくことが大事だと思われる。
STEP2.収集した意見の整理 |
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収集した意見や要望・助言内容を整理し、ロームグループとして実現したい姿を特定 |
STEP3.中間目標の策定 |
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実現したい姿に向けた中期目標を策定し、社内承認 |
2. 生物多様性保全に向けた取り組みのさらなる推進
親水空間を創出するため、京都町中の本社敷地内に8,400m2のビオトープエリアを造設しました。大きな緑地を増やせない都市の中でも、小さな緑地・親水空間は鳥や昆虫などの小さな生物たちを保全する上で非常に効果的な役割を果たすという調査結果が出ています。
京都市内の住宅街やビルの中に位置するローム本社「森の中の工場」についても、生物多様性に関する第三者評価機関(ABINC、SEGES)から、「鳥や虫たちにとっての都市の中のオアシスとなっており、緑地価値が高い」という評価をいただいています。2022年度以降は、本ビオトープエリアを活用して様々な動植物を呼び込み、在来種の保全を推進すると共に、地域の子どもたちや社員の家族を対象とした環境コミュニケーション施策を実施しています。
<ビオトープエリア イメージ図>
・生き物生息調査、ガイドツアーなど、自然に触れる機会の創出
ロームでは、2021年度より本社敷地内の生物の生息・生育に関する情報を把握し、保全・回復に役立てるため、外部の専門家と連携した生物調査を実施しています。また、合わせて社員を対象とした生き物ガイドツアーを開催しました。本ガイドツアーは、専門家のガイドと共に散策しながら、敷地内に生息している動植物に触れ、学ぶツアーとなっており、社員が生物多様性の重要性を再認識することを目的としています。また、本イベントは京都市との自然共生に関する連携施策の一環として、2023年度より近隣の小学生を対象にも実施しております。また加えて、昨今、幼少時代に自然に触れる機会が少ないまま成長する子どもたちが増加傾向にあることが課題となりつつあります。このような背景を受け、子どもたちが自然に親しみ、環境保全の重要性を学ぶ機会につなげるため、ビオトープエリアを定期的に社員や社員の家族、近隣小学校向けに開放しています。
七条第三小学校4年生にビオトープエリアにて環境学習授業を行いました
・農作業体験イベントの開催
ロームでは、社員とその家族を対象に、農作業体験を実施しています。
本イベントは、社員とその家族がこのビオトープエリアで自然に触れ、生き物の多様性を育む田畑での農作業体験を通して、ロームのビジョンや生態系保全の重要性について楽しく学ぶことを目的としています。6月には芋の苗植えと田植えを行い、10月は植えた芋の収穫、稲刈りを実施しています。
イベント時は、農家の方からレクチャーを受けながら作業を行っています。
3.グループレベルでの活動の実施と拡充検討
ロームグループは、生産のための資源の利用や生産による排出物などから生物多様性の保全に取り組むことが不可欠であると考え、生態系を守るための清掃活動や植林活動を各地で実施しています。
- ・YTC・・・新横浜テクノロジーセンター
4.事業拠点を有する自治体との連携
・滋賀県庁と「人と森をつなぐ」協定を締結
ロームは、滋賀県と自然共生社会の実現に向けて「人と森をつなぐ」協定を締結いたしました。本協定は、滋賀県立近江富士花緑公園(滋賀県野洲市)を実践モデルとして、「人と森がつながる持続可能な自然共生社会の実現」に向けて両者が連携、協力を行うことを定めています。
ロームは、1980年代より「森の中の工場」をコンセプトに事業所周辺の緑化整備に積極的に取り組むほか、2001年からは、地球温暖化対策の一つとして、オーストラリアに「ロームの森」を整備し、植林活動を実施しておりました。約1,000haの土地に10年間にわたって生育の早いユーカリを植林した結果、11万トンものCO2削減につながり、成木は適切に間伐して製紙材料として有効活用する資源循環にも取り組んでおりました。
近年、気候変動のリスクが一層顕在化し、世界的にカーボンニュートラル実現の重要性が高まるなか、ロームは2021年に制定した「環境ビジョン2050」で掲げる「自然共生」を実践するため、「ロームの森Next」活動を検討しておりました。「生物多様性」「自然循環の調和」に焦点をおいて、森・自然づくりの場を検討した結果、滋賀県立近江富士花緑公園の「すぐそこにある森の入り口」というコンセプトに賛同し、このたび協定締結に至りました。
2022年度以降は、滋賀県庁と連携を密に取りながら、協定コンセプトに沿った公園の整備を行うと共に、事業拠点を有する自治体との連携を検討の上、生物多様性保全、地域貢献活動を拡充してまいります。
・京都市と脱炭素社会の構築に向けた連携協定を締結
ロームは、2022年7月、京都市と脱炭素社会の構築に向けた連携協定を締結しました。本協定は、2050年までにCO₂排出量実質ゼロとなる脱炭素社会の構築に向けて双方が継続的に連携することで、世界的に喫緊の課題である気候変動問題の解決に寄与することを目的としています。
脱炭素社会の構築と地域のレジリエンスの向上を目指す取り組みの一環として、近隣小学校である七条第三小学校のソーラーパネル設置を支援しています。また、2023年より、理科の授業の場としてビオトープエリアを提供し、現地でのいきものガイドツアーや学校に赴いての授業を実施しています。この取り組みが評価され、紺綬褒章を受章しています。この他、京都市、京都市教育委員会、七条第三小学校と連携の上、子どもたちが生物多様性の重要性を学ぶ環境教育プラグラムを策定しました。
化学物質の管理
目標と実績
【環境ビジョン達成に向けた方針】
地球の生物多様性が生み出す自然の恵みを大切にし、地球環境をより良い状態で次世代に引き継ぐ。
2030年目標 | 2023年度目標 | 2023年度実績 | 2024年度目標 |
---|---|---|---|
製品化学物質管理を徹底する | 【法遵守】 適用法制を特定し、規制への対応・管理を徹底する |
PFAS規制動向の把握と関係部門への情報展開及びロームグループ全体でのサプライヤーへの含有調査を実施 | 適用法令を特定し、規制への対応・管理を徹底する |
【社内管理】 関係者との密な情報共有を通じ、社内管理体制の強化を図る |
社内の製品科学物質管理の運用状況を確認し、部材変更時における運用強化を推進 | 関係者への教育と密な情報共有を通じ、社内管理体制の強化を図る | |
【購買先管理】 調達先規制物質管理の徹底を図る |
最新法規制及び主要な顧客要求を反映したサプライヤーへの製品科学物質管理に関わる要求基準書を改訂し、通知 | 調達先規制物質管理の徹底を図る |
製品含有化学物質管理
ロームグループでは国内外の環境法規制やお客様の要求事項を遵守し、環境負荷の少ない材料調達への取り組みを実施しています。
EU RoHS指令、EU
REACH規則、中国RoHS指令など、製品化学物質管理に関わる法規制がますます強化される中、グリーン調達基準書を定め、原材料や部品などに含まれる化学物質情報を正確に把握することで各法規制への適合を確認しています。
お取引先様のご協力の下、環境に配慮した製品づくりを進め、禁止物質が「入らない」「使用されない」「出荷されない」管理システムを構築し、お客様に安心してお使いいただける製品を提供しています。また、お取引先様より納入いただいた材料・部品およびお客様に納入する製品は、ローム品質保証部や各生産拠点に導入した蛍光X線分析装置を用い、定期的に含有化学物質を確認しています。
グリーン調達の取り組みについては以下をご参照ください。
・RoHS指令対応
ロームの製品は2006年に施行されたRoHS指令(2002/95/EC)への対応のため、2004年に鉛フリー化を完了いたしました(一部カスタム品で、お客様からの要求がある製品を除く)。
その後2011年に公布された改正RoHS指令(2011/65/EU)、また2015年に公布された特定フタル酸エステルを制限する追加指令((EU)2015/863)にも対応しております。
製品には規制適用除外用途を除き、最大許容濃度を超える制限物質を含有していません。
制限物質 | 最大許容値 |
---|---|
鉛 | 0.1wt%(1,000ppm) |
水銀 | 0.1wt%(1,000ppm) |
カドミウム | 0.01wt%(100ppm) |
六価クロム | 0.1wt%(1,000ppm) |
PBB(ポリブロモビフェニル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
PBDE(ポリブロモジフェニルエーテル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
DEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
BBP(フタル酸ブチルベンジル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
DBP(フタル酸ジ-n-ブチル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
DIBP(フタル酸ジイソブチル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
環境汚染の防止に向けた取り組み
環境コンプライアンス
ロームグループでは、大気や水質、騒音、振動、臭気等に関して、法的・公的規制よりも厳しい自主管理基準を設け、定期的な環境測定を実施することで環境リスクの管理を徹底しています。
<法令・条例違反等に関する行政への報告件数(対象:ロームグループ)>
年度 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|---|---|
報告件数 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 5(※) |
※2023年度は、水質の法規制値超過4件、騒音の法規制値超過1件に関する報告を行い、いずれも原因調査の上、改善対策の実施が完了しています。引き続き、規制値超過が無いようモニタリングを継続してまいります。
PRTR取扱量の推移
半導体の製造工程においては、多くの化学薬品を使用しています。
ロームグループではPRTR対象物質(第一種指定物質)の管理を徹底しています。
VOC(揮発性有機化合物)排出量の推移
半導体の製造工程に必要な有機溶剤は、VOC(揮発性有機化合物)に該当し、大気中に排出されると光化学スモッグの原因になると考えられています。ロームグループでは、VOCの管理を徹底し、排出量の削減を図っています。
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