高音質オーディオ機器向け32bit D/AコンバータIC「BD34352EKV」を開発
ロームのDACチップに、ハイエンドモデル向けラインアップが登場

 

※本リリースではオーディオ機器のDACと区別するためにDACチップと表記します

<要旨>

BD34352EKV

ローム株式会社(本社:京都市)は、ハイレゾリューション音源*1の再生に適した、高音質オーディオ機器向けに32bit D/AコンバータIC(以下、DACチップ※)「BD34352EKV」を開発し、評価ボード「BD34352EKV-EVK-001」と併せて販売を開始しました。
BD34352EKV」は、2021年2月にMUS-IC™ DACチップ「BD34301EKV」(量産中)を発表後、より幅広いオーディオ機器に向けた製品の要望を受けて開発。ロームのDACチップの基本コンセプトである「自然でフラットな音」を継承しつつ、音源のもつエネルギーを力強く表現できるようにチューニングしました。同時に、上位モデルでもある「BD34301EKV」と同等の高性能デジタルフィルタ*2を搭載し、また優れた数値性能(SN比:126dB、THD+N:-112dB)も達成するなど、ハイエンドモデル向けDACチップにふさわしい性能を実現しています。
加えて、「BD34352EKV」は、「BD34301EKV」とピンコンパチブル(端子互換)で使い分けできるほか、デジタルフィルタのカスタマイズが可能です。これにより、オーディオ機器ごとに異なる音質チューニングも容易に実現できるため、開発工数の削減やメーカーが求める理想の音作りに貢献します。
新製品は、2021年9月よりサンプル出荷(サンプル価格 1,500円/個:税抜)を開始しており、2022年1月から当面月産2万個の体制で量産を開始する予定です。生産拠点は前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ)となります。また、新製品と評価ボード「BD34352EKV-EVK-001」のインターネット販売も開始しており、コアスタッフオンラインやチップワンストップなどから購入することができます。

ローム、高音質オーディオ機器向けDACチップのラインアップ
音質を評価できる評価ボードも販売開始

<背景>

DACチップは、オーディオ機器の音質を決める最重要部品のひとつと言われており、ハイレゾ音源など高解像度のデジタル音源データから、情報を最大限に引き出してアナログ変換することが要求されます。
ロームは、50年にわたるオーディオICの製品開発実績を基に、音源のもつ情報をあますことなく引き出す「音質設計技術」を確立し、高音質サウンド・プロセッサICや高音質オーディオ電源ICなど、音質にフォーカスした製品を開発しています。なかでも、フラッグシップモデル向けに開発した「MUS-IC™」シリーズのDACチップ「BD34301EKV」は、その音質を高く評価されており、全世界で採用が進んでいます。各メーカーからは、より幅広いオーディオ機器への採用が可能なハイエンドモデル向けDACチップ開発に対する要望も高まり、今回「BD34352EKV」を開発しました。

<新製品の特長>

BD34352EKV」はハイエンドオーディオ機器向けのDACチップとして、ロームの基本コンセプトである「自然でフラットな音」を継承しつつ、静寂感や余韻に代表されるディテールの表現に重きを置いたMUS-IC™「BD34301EKV」と比べて、音源のもつエネルギーを力強く表現できるようにチューニングしました。狙い通りの音質を表現するために、ロームがICの音質に影響するノウハウを28個の音質パラメータとして集約することで確立した音質設計技術が駆使されており、下記特長を実現しています。

1.ハイエンドモデル向けDACチップにふさわしい数値性能・音質性能を実現

BD34352EKV」は、DACチップとして優れた数値性能(SN比:126dB、THD+N:-112dB)を達成するだけでなく、数値に現れにくい音質性能を高めています。例えば電流セグメントで構成される「D/A変換回路」では、「BD34301EKV」の回路技術を駆使したうえで、新たに出力電流量を調整しました。また、「デジタル信号処理回路」の主要機能であるデジタルフィルタ(FIRフィルタ)では、微小信号でも忠実に信号処理できるように設計されており、デジタルフィルタの性能指標のひとつである阻止帯域減衰量において-150dB以下を達成しています。これらにより、音源のもつ情報をあますことなく引き出し、より「力強く、自然でフラットな音」を感じる音質性能を実現しました。

BD34352EKVの回路ブロック図と特長
入力レベルに対するTHD+N特性グラフ
デジタルフィルタの周波数応答グラフ

2. デジタルフィルタのカスタマイズにより、オーディオ機器に合わせた音作りに貢献

カスタマイズ可能なデジタルフィルタ搭載

BD34352EKV」は、音質に影響するデジタル信号処理回路のデジタルフィルタ(FIRフィルタ)をカスタマイズすることができます。デジタルフィルタをプリセット/カスタム/外部設定の中から選択できるだけでなく、フィルタの演算係数とオーバーサンプリングレートまでプログラムでカスタマイズ可能です。これらにより、「BD34301EKV」とのピンコンパチブル(端子互換)仕様に加えて、独自のデジタルフィルタ構成によって、オーディオ機器ごとに異なる音質チューニングを容易に実現できるため、開発工数の削減やメーカーが求める理想の音作りに貢献します。

<高音質オーディオ機器向けDACチップのラインアップ>

品名出力数分解能サンプリング
周波数
SN比
(Typ.)
THD+N
(Typ.)
DSDクロックデジタル
FIRフィルタ
パッケージ
BD34352EKV2ch32bit32kHz~
768kHz
126dB-112dB2.8MHz, 5.6MHz,
11.2MHz, 22.4 MHz
Preset,
Custom,
External
HTQFP64BV
BD34301EKV2ch32bit32kHz~
768kHz
130dB-115dBHTQFP64BV

<評価ボード情報>

販売開始時期:
2021年12月から
評価ボード品番:
BD34352EKV-EVK-001
販売ネット商社:
コアスタッフオンライン、チップワンストップ
それ以外のネット商社からも順次販売予定です。
    • 1個から購入可能

サポートページ
https://www.rohm.co.jp/products/audio-video/audio-converters/audio-dacs/bd34352ekv-product#evaluationBoard

<ローム・オーディオICの最高峰「MUS-IC™」について>

MUS-ICロゴ

「MUS-IC™」(正式名称:ROHM Musical Device「MUS-IC™」)は、ロームの企業風土である「品質第一」「音楽文化への貢献」「垂直統合型生産」に、「音質設計技術」が合わさることで開発され、ロームの音質責任者が自信をもって送り出す最高峰のオーディオICにのみ使用されるオーディオデバイスブランドです。
詳細はROHM Musical Device「MUS-IC™」のWebページをご覧ください。
https://www.rohm.co.jp/mus-ic/

・「MUS-IC™」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。

<音楽文化への貢献について>

ロームは、公益財団法人「ローム ミュージック ファンデーション」と共に、30年以上にわたりクラシックを中心とした音楽文化の普及・発展に尽力してきました。若手音楽家への奨学援助においてはこれまで(2021年11月時点で)507名の若手音楽家を支援しており、支援した音楽家「ローム ミュージック フレンズ」は国際コンクールでの入賞やオーケストラの首席奏者を務めるなど、国内外で活躍しています。
また、国際交流と若手音楽家育成を目的とした「京都・国際音楽学生フェスティバル」や、プロの音楽家を育成するための「ローム ミュージック セミナー」、音楽に関する公演・研究などへの助成。さらには、日本を代表する総合劇場「ロームシアター京都」を支援し、コンサートなどの主催や協賛も行っています。

ローム ミュージック ファンデーションについては下記URLをご覧ください。
https://micro.rohm.com/jp/rmf/index.html

<用語説明>

*1)ハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)
一般的な音楽用CDで再生される音楽はサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bitであるのに対し、ハイレゾ音源は、サンプリング周波数が96kHz以上、量子化ビット数が24bit 以上のデータが一般的。つまり、ハイレゾ音源の情報量は通常の音楽CDよりも格段に多いため高音質を実現することができる。
*2)デジタルフィルタ
デジタル信号処理の主要機能。デジタル信号に含まれる不要なノイズをフィルタして除去する。フィルタ性能が音質に大きく影響するため、D/AコンバータICの特徴を決める要素でもある。
この件に関するお問い合わせはこちら