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第一夜 Interview ものづくりへの情熱を乗せて 走れ!ブランコ・デ・R

普段は精密部品をミクロン単位で制御している
ロームのエンジニアたちが、
まさかの“巨大ブランコを走らせる”という
挑戦に立ち向かった。
スケールも発想も桁違いのものづくり、
その舞台裏に迫る。

  • リーダーJ.Kトウ
  • M.Sダ
    設計担当
  • Y.Kミツ
    制御担当
  • M.Mダ
    リモコン担当
  • S.Iムラ
    設計担当
  • T.Eスミ
    制御担当
  • N.Nグチ
    設計担当
  • T.Aマコ
    設計担当

リーダーが語る
「限界を超えた先に見えたもの」

―「魔改造の夜」に出演したいと思った理由を
教えてください。

自信が持てない自分自身を、“魔改造”したかった

もともとは、若手メンバーの教育も兼ねて、みんなで盛り上がれるイベントを何かできないかという話が部内で出たのがきっかけでした。その中で、「魔改造の夜」に出場できたら、とても良い経験になるのではないかという話になったんです。
私自身、この番組のことは以前から知っていて、よく観ていました。さまざまな企業のエンジニアの方々が全力で挑戦し、悔し涙を流しながらもチームで形をつくり上げていく姿に心を動かされ、「自分もこんな体験をしてみたい」と強く思いました。当時の私は自分に自信が持てず、日々の業務の中でどこか閉塞感を感じていました。普段、機械設計の仕事をしていますが、実は大学でその分野を専門的に学んだわけではありません。入社後、流れの中で今の業務にたどり着いたという経緯があり、「自分の中に芯となるものがない」という負い目や劣等感がずっとありました。そんな自分を変えたい、殻を破りたいという思いが、この挑戦の原動力でした。
複数のメンバーで出場への思いを共有し、上司にお願いをしに行きました。私はその場にはいなかったのですが、後から聞いたところ、上司も「みんなからチャレンジの声が上がるのを待っていた」と言ってくださったそうです。社内でも「ぜひ出たい!」というメンバーが次々と集まり、結果的にチーム全体で勢いを持って取り組むことができたと思います。

―リーダーに手を挙げた理由を教えてください

挑戦を通じて、会社に元気を届けたい

何より、自分を本当に変えるためには、参加者としてではなく、リーダーとして挑戦する必要があると感じたからです。もちろん、プレッシャーは大きかったです。当時の私はリーダー職ではなく、主にエンジニアとしてそれまで業務を行っていたので、自分が中心になってメンバーをまとめるというのは大きな挑戦でした。いざ出場が決まってから「会社を代表するんだ」と改めて気づき、どんどんプレッシャーが押し寄せてきました。それでも、多くの人に観てもらえる番組に出ることで「こんなに頑張っているメンバーがいる」と感じてもらえたら嬉しいなと思いました。少しでも会社に元気を届けたい、明るい話題をつくりたいという思いが、私をリーダーとして前に進ませてくれました。

―リーダーを務める中でどんなことが大変でしたか。

複数部署から集まったメンバーを一つのチームに

お題が発表されたときは、正直「一番来てほしくないタイプのお題だ」と思いました。私たちが普段扱うのは、数mmの製品が多いです。それに対して今回は2m近いブランコを動かすという、まったくスケールの違う挑戦です。しかもただ動かすだけではなく、ブランコそのものへのリスペクトを保ちながら魔改造し、最後は競技で成果を出さなければなりません。答えのない課題に向かう不安と、「必ず成功させなければ」というプレッシャーは相当なものでした。

今回は、普段まったく接点のないメンバーが集まりました。メンバーそれぞれのバックグラウンドも考え方も違う中で、“チームとして成功に向かう”ために人を導き、まとめるのは難しいことでしたが、リーダーを務めるうえで特別に自分を変えたことはなく、自分がこれまで大切にしてきた“人との向き合い方”を貫き、実行に移しました。人の話をしっかり聞き、自分の考えを伝える。目的に対して今何が最適かを考え、みんなで合意して進めていく。その基本を一つ一つ丁寧に積み重ねていきました。また誰よりも長く現場にいて、魔改造に真剣に向き合う姿を見せ続けることを意識しました。この活動には、ある種“お祭りのような熱”がありましたね。メンバー全員が「今この瞬間に全力を注ぐ」という思いを共有していて、その強いエネルギーがあったからこそ、チームの足並みは自然と揃っていったのだと思います。

苦しい決断の先に見えた景色

チームとして魔改造を成功させるため、メンバーの意見を泣く泣く切り捨てなければならない場面もありました。みんなが懸命に頑張る姿を近くで見ていたからこそ、本当に苦渋の決断でした。複数の案から最終的にひとつに絞るとき、安定して動く案を推す声もありましたが、私が選んだのは別の案でした。ロームとして何を見せたいのか、何をアピールしたいのかを考えたとき、「動きが面白く、見ていてワクワクするものを届けたい」という気持ちが一番強かったんです。多くの意見を聞いたうえで、覚悟を決めて「自分はこの案で進めたい。この案で本番に行かせてください」とチームに伝えました。それが、リーダーとして最も大きな仕事だったかもしれません。
本番を終えた瞬間は、「嬉しい」という一言では足りない、不思議な想いが込み上げてきましたね。長いプレッシャーから解放された安堵感と、仲間と共にやり遂げた誇り。そのすべてが入り混じった言葉にならない感情でした。まず、自分たちがやりたかったことを、あの極限の環境の中で出し切れた。それが何よりも誇らしかったです。自分たちの手でつくり上げたものをきちんと動かし、最後までやりきれたという達成感がありました。そして、その瞬間を共に味わったメンバーがそばにいたこと。それが何よりの喜びでした。
「魔改造の夜」に参加し、リーダーを務めた経験、あの時感じた熱量や想いを決して忘れずに、自分の中に残し続けていきたいと思います。

Chapter02では、本番で走ったモンスター
「ブランコ・デ・R」の開発を担当した
チームにインタビュー。
ブランコらしく“揺れながら走る”ために、
どんな試行錯誤があったのか―
その舞台裏に迫ります。