ロームが培った
アナログ技術の底力
高度なアナログ技術を磨き続け、
時代が求めるシステムに貢献
スマートな機器を動かす、
省エネ・小型化の鍵はアナログIC
IoTや人工知能(AI)を駆使したデータ活用、さらには自動運転車の実用化などが進み、近未来の私たちはこれまで以上に多くのスマートな電気・電子機器に囲まれて生活することになりそうです。これらのスマートな機器では、高機能化の際に消費電力をそのまま増大することはできないため、低消費電力化が必須となります。それに伴い、大きな電力を扱う電源システムでは、送電時の電力損失を低減するために高電圧化が進められるようになり、同時に電子回路を制御するマイコンなどでは、チップの微細化に合わせて自身の消費電力を削減するために、トランジスタ駆動電圧の低電圧化が進められています。このような逆方向の技術トレンドに対応し、電源システムのニーズを満たしつつ機器の省エネ・小型化に向けて、電気信号の変換役としてキーデバイスとなるアナログICのブレイクスルーが期待されています。
長年培ってきたアナログ技術の粋を
新時代に即したASSP(特定用途向け汎用製品)に注ぐ
ロームは、シリコンインゴットの引き上げから製品化までを一貫して自社で行う「垂直統合型生産体制」を構築しており、高品質の製品を大量に生産してきました。そして1970年代に、ローム初のICを開発して以来、民生機器分野を中心としたお客様の要求に応える製品を数多く開発する中で、「回路設計」「レイアウト」「プロセス」からなる3つのアナログ技術を徹底的にすり合わせる三位一体の開発体制を確立しました。時代は流れて、ロームは自動車や産業機器分野向けの製品開発に事業の軸足を移しましたが、培ってきたアナログ技術は脈々と受け継がれています。
そして今、さらに研ぎ澄まされたアナログ技術の粋は、極限の性能を求めるアナログICにASSP(特定用途向け汎用製品)として注がれており、新時代に必要なソリューションを生み出しています。
続々登場する革新的な電源技術
精緻な制御でナノレベルの動作が可能に
ロームの開発・生産体制の強みを生かした革新的な技術が、次々と生まれています。その代表例が「Nano」をキーワードにする電源技術です。これまで不可能だと思われた高電圧から低電圧への変換を可能にすることで、マイルドハイブリット車など48V電源システムの小型化に貢献する超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control™」や、IoT機器が求める“コイン電池で10年駆動”に向けて消費電流を極限まで低減することで、モバイル機器の長時間駆動に貢献する超低消費電流技術「Nano Energy™」は、さまざまな電源ICに搭載されており、幅広い機器の課題解決に貢献しています。
そして、2020年に確立した超安定制御技術「Nano Cap™」は、従来必須だった外付けコンデンサを削減できる技術として、今後幅広いアナログICへの搭載が計画されており、機器の部品点数削減や設計工数削減に貢献していきます。
圧倒的な耐ノイズ技術で信頼性向上
IoT機器やADASの高度化を後押し
ロームの高度なアナログ技術は、信頼性のさらなる向上にも生かされています。近年、製造装置や社会インフラのリモート保守に向けたIoT機器、自動車の安全性向上に寄与する先進運転支援システム(ADAS)などでは、高度な制御を行うために多くの電子部品が搭載されるようになりました。機器の電子化・高密度化が進んだことで、ノイズ環境はますます悪化しており、センサをはじめとする微小な信号を扱うデバイスのノイズ設計が大きな課題になっています。
ロームは、アナログIC開発において長年培ってきた、「回路設計」「レイアウト」「プロセス」のそれぞれで課題に向き合い、徹底的にすり合わせることで、圧倒的な耐ノイズ性能を実現する技術を確立しました。この技術を搭載したオペアンプ・コンパレータを「EMARMOUR™(イーエムアーマー)」として商品化。その圧倒的なノイズ耐量により、システム開発におけるノイズ課題を解決することで、設計工数削減や高信頼化に貢献しています。
そして、2020年にはEMARMOUR™のオペアンプにおいて、「Nano Cap™」技術の超安定制御により負荷容量で一切発振しない高速オペアンプも開発しました。外部ノイズと負荷容量の影響を受けずに高速の信号増幅を可能にするため、お客様だけでなく他分野のエンジニアも含め、分野・地域問わず幅広く反響をいただいています。