ロームが培ってきたアナログでの地力

長年磨き続けた高度なアナログ技術
その粋を注いで時代が求める電源システムを実現

  • 高度なアナログ技術で、圧倒的チップを創出
  • 部門横断的な開発体制のもと、ロームは常に至高を追求
  • 『凡を極めて非凡に至る』
  • 時代を大きくリードする製品を送り出したい
  • システムレベルの視点から、多様な技術をすり合わせ

高度なアナログ技術で、圧倒的チップを創出

 暮らしや社会の豊かな営みを実現するIoTや人工知能(AI)を駆使したデータ活用、クルマの電動化、スマートシティー・・・。私たちの近未来は、これまで以上に電力を活用するものになりそうです。
 これから登場する高度な電気・電子機器を、安定的かつ効率的に利用していくためには、電力・電源システムにさらなる進化が求められます。私たちロームは長年培ってきたアナログ技術を注ぎ、圧倒的性能を持つ電源ICやモータドライバICを提供し、電力・電源システムの進化に貢献していきます。
 高効率、高信頼性の電源ICやモータドライバICを作る際には、扱う電力の波形を、いかにきめ細かく制御できるかが重要になります。ロームは、民生機器向けICの開発を通じて、電気信号を自在に操るアナログ技術を磨いてきました。さらに、その高度なアナログ技術を、回路設計・レイアウト設計・プロセス開発などIC開発の各工程に的確に落とし込むことができる独自の開発体制も構築してきました。私たちは、こうした技術と開発体制を生かせば、電源システムの進化を加速させるICを生み出すことができると確信しています。

部門横断的な開発体制のもと、ロームは常に至高を追求

 ロームでは、新製品を開発する際に、その製品の開発工程全体を俯瞰する専任者の呼びかけによって、回路設計、レイアウト設計、プロセス開発など専門的な知見を持つエキスパートが招集されます。そして、開発すべきチップの機能や性能の目標、実現方法をラウンドテーブルで精査し、専門的観点から複眼的な検討を重ね、徹底的にすり合わせます。こうした開発手法は、電源ICなどの開発においても行われ、洗練されたICを生み出す素地となっています。

回路設計、レイアウト設計、プロセス開発の3つを徹底的にすり合わせて、きめ細かい電力制御を実現

 こうした部門横断的すり合わせは、電源ICなどアナログICの開発では理想的手法であると言えます。アナログ半導体で扱う信号や電力の波形は、回路を構成するデバイスの特性はもとより、その配置やそれぞれをつなぐ配線の長さや形状の違いの影響を大きく受けるからです。しかし、「言うは易く、行うは難し」という言葉通り、こうした理想的開発の実践はそれほど簡単なことではありません。議論とすり合わせの繰り返しには、膨大な手間と時間が掛かるからです。

『凡を極めて非凡に至る』

 では、なぜ私たちロームは、そのような手間の掛かるすり合わせ開発を行っているのでしょうか。それは、民生機器向けカスタム半導体の分野で長年鍛えられた、お客様のご要望に応える製品作りが身についているからです。お客様が示す厳しい開発目標を実現するには、開発工程全体を俯瞰して的確な戦略を立て、多様な技術の引き出しの中から投入技術を選び出し、それを徹底的にすり合わせる必要があるのです。ロームには、こうした高性能化をとことん追求するための組織、開発体制、企業文化が根付いています。半導体チップの生産の起点となるシリコンのインゴットの引き上げから、チップ内の回路やレイアウトの設計、マスクの作成、ウエハ・プロセス、テスト、パッケージングなどをすべての工程を一貫して自社で行う垂直統合型生産体制を採っています。分業化が進む半導体業界では珍しくなったこうした生産体制を強みとして、製品供給と品質を責任を持って管理しています。
 現在のロームは事業の軸足を、お客様の要望に応える民生機器向けカスタム開発から、車載・産業機器市場に向けて自ら技術と製品を企画して提案する事業へと移しています。しかし、民生機器向けカスタム半導体の開発を通じて培った仕事の流儀は、今も変わりません。至高のICを世に送り出すことこそが私たちの使命であると信じて、日々、議論とすり合わせを繰り返しています。

時代を大きくリードする製品を送り出したい

 私たちは、ロームならではの強みがさらに際立つ製品を生み出すための新たな取り組みを始めています。その最初の成果が、新しい電源IC「Nanoシリーズ」として結実しました。
 この電源ICの開発プロジェクトでは、「時代を大きくリードする電源ICを開発する」という高い開発目標を掲げ、目先のニーズだけにとらわれない、未来の電源システムの礎となる電源技術の創出を目指しました。そして、これまで不可能だと思われた領域の高降圧比を実現する超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control®」と超低消費電流技術「Nano Energy®」を生み出しました。これらロームの新たな強みとなる技術を注いだソリューションは、まさにイノベーションと呼ぶにふさわしいものになると自負しています。
 その効果を端的に示す開発例を挙げましょう。まず、Nano Pulse Control®を活用し、60Vの入力を2.5Vまで一気に降圧できるDC/DC コンバータIC「BD9V100MUF/BD9V101MUF」を実現しました。9nsという超短パルスでの制御を可能にし、これまで2段階もしくは3段階で行う必要があった高降圧比の電力変換を1段階、たった1チップで対応できるようにしました。欧州市場などから採用が始まった48V系車載電源システムや産業機器分野などへの活用が期待されており、これらの応用に、コンバータの構成を劇的に単純化するイノベーションを起こします。

高度なアナログ技術を駆使した「Nano Pulse Control®」によって24:1と極めて高い降圧比を実現したDC/DCコンバータ

 また、Nano Energy®を応用することで、IoTデバイスやウエアラブル機器を、ボタン電池1個で10年間駆動できる降圧DC/DCコンバータICも実現しました。定期的に起動してデータの取得・送信を行うIoTデバイスでは、利用時間のうちの大部分が待機状態になります。この降圧DC/DCコンバータIC「BD70522GUL」では、待機時の消費電力を180nAにまで抑え、なおかつ低負荷から高負荷にわたる広範な動作条件の下で90%以上の電力変換効率を実現しました。これによって、これまで頻繁な電池交換ができず、IoTデバイスやウエアラブル機器が利用できなかった用途にイノベーションをもたらします。

システムレベルの視点から、多様な技術をすり合わせ

 一方、オーディオ用電源ICの開発では、設計や製造に関わる技術パラメータをシステムレベルの視点から俯瞰してすり合わせ、オーディオ機器の高音質化をとことん追求する新たな取り組みを始めました。

高音質オーディオ用シリーズ「MUS-IC」では、システムレベルの視点から製品の効果を評価し、各開発工程の影響度を見定めて、それぞれの設計と製造の条件を決定

 オーディオ機器に供給する電力の品質は、音質に大きく影響します。このため、電源ICでは、電圧変動やノイズが小さいきれいな電力を生み出す必要があります。しかし、こうした要求に応える電源ICの開発は簡単ではありませんでした。電源ICの電気的特性の違いには現れないが、音のプロの耳には分かる電源ICの個体差があったからです。
 ロームは、電源ICの違いによって生じる音の差を、定位感、臨場感、解像度など8項目から評価。電源ICの設計や製造に関わるどの部分の技術が音質に影響を及ぼしているのか、徹底的に調べ上げました。その結果、音質に影響を及ぼす28のパラメータがあることを突き止めました。こうした知見を生かし、各パラメータを調整して、狙い通りの音質を設計できる音質設計技術を確立しました。開発した電源ICは、同じく音質設計を施したサウンドプロセッサやDACなどをふくめ、高音質オーディオ向けICシリーズ ROHM Musical Device「MUS-IC」というブランドで提供しています。

 ノイズの影響を受けることなく車載センサの信号を増幅可能な「高EMI耐性のオペアンプ」など、システム設計に大きなインパクトをもたらすチップも生まれています。様々な機構の状態や走行状況のデータを取得するセンサから得られる信号は極めて微小です。このため、オペアンプを使って、車載コンピュータ中のマイクロコントローラで処理可能な電圧にまで増幅する必要があります。ところが、自動車内には数多くのノイズ源があり、信号と共にノイズも増幅してしまい誤認識や誤動作を招く可能性がありました。ロームは、回路設計、レイアウト設計、プロセス開発の3つを徹底的にすり合わせることで、全周波数帯域の出力電圧変動が一般品±3.5%~±10%に対して±1%以下という圧倒的なノイズ耐量を実現。特別なノイズ設計を不要にしました。

 ロームのアナログ技術は、現在も進化し続けています。同時に、電源ICやモータドライバICも、一層の高効率化、小型・軽量化を目指していきます。圧倒的性能のチップづくりを追求するロームにご期待ください。

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