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従業員エンゲージメントの強化人財マネジメント
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基本的な考え方
デジタル化や脱炭素といった大きな転換期の中、少子高齢化に伴う構造的な労働力不足の影響を背景とし、長期的に人財を育成し、確保し続けることがより重要になってきています。特に高度専門人財を継続的に育成・確保できなければ、競争力の低下につながる可能性があります。
長期的に人財を育成、確保し続けるためには、いかに広く有能なる人財がいきいきと活躍できる舞台を整えられるかが重要です。従業員の会社に対するエンゲージメントと生産性を高め、一人ひとりの能力が最大限に発揮されるよう人事施策・制度の充実・強化も重要となっております。
具体的には、当社の持続的成長を支える高度専門人財が、持てる力を存分に発揮できるよう、従業員のキャリア制度を大幅に見直し、2019年度に「スペシャリスト職制度」を創設しました。また、2022年度より開始した「ジョブポスティング制度」では、注力事業の強化・増員時の求人を、社内にも開示・公募することで、自ら手をあげて異動を実現できる機会を提供しております。
更に、一人ひとりがそれぞれのライフスタイル・ライフステージに合わせて柔軟に働くことができるよう諸制度の導入を行っています。育児・介護休暇の充実に加え、勤務地変更制度等を通じて、安心して働き続けることができる環境づくりにも注力しております。
今後も、優秀人財がいきいきと活躍できる舞台を整えていくため、エンゲージメントサーベイを活用し、組織のあるべき姿と現状・課題のギャップを把握の上、効果的なエンゲージメント向上施策に取り組んでまいります。
中期目標と実績
ロームグループの成長を支える社員が、活き活きと働くことができる職場環境を実現し、より良い企業文化の醸成につなげていくには、グループ一体での企業経営が重要となるため、会社と社員の双方向のコミュニケーションを通じたエンゲージメントの強化が欠かせません。ロームでは、2021年に策定したロームグループのサステナビリティ重点課題の1つに「従業員エンゲージメントの強化」を掲げ、取り組みを進めています。
従業員エンゲージメントの強化 | ||||
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【取り組み意義・背景】 経営ビジョンに掲げた社会課題を解決する会社になるためには、当社グループの従業員一人一人が活き活きと働くことができる会社でなくてはなりません。そのためには様々なライフスタイル・ライフステージに身を置く従業員一人一人が、働きやすく、成果を上げることができる環境を整えることが重要です。当社グループは従業員とのエンゲージメントの強化を通じて、あらゆる職場で失敗を恐れず果敢に挑戦し続ける企業風土の醸成と、挑戦を促す職場環境の整備に取り組んでまいります。 |
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テーマ | 達成目標(2025年度) | 2022年度目標 | 2022年度実績 | 2023年度目標 |
チャレンジを生み出す風土の醸成 | 世界で通用する次世代リーダー、プロフェッショナル人財を育成する制度を確立する | 自律的な自己管理と自己改革を進めるためのマネジメントサーベイ実施の上、アセスメントを拡大 | マネジメント層の自己改革の促進を目的として360°フィードバック(上司・同僚・部下からのフィードバック)を実施 | ジョブ型人事制度の対象を拡大し、より戦略的かつ競争力のある処遇を実現 |
働きがいの向上 | 1.新常態において、従業員の志向やライフスタイルに適応した選択型サービスを提供する | 従業員の嗜好やライフスタイルに適応した選択型福利厚生サービスの導入検討 | ベネフィットステーションを本社に導入 | GLTD(団体長期障害所得補償保険)の導入 |
2.配属後のミスマッチを無くすことでパフォーマンスの最大化を図るため、各部門における求人に関する職務記述を明文化する | 公式採用HPに掲載する求人票のさらなる情報量の拡充 | 情報量拡充、合わせて社内での人財流動性を高めるためのジョブポスティング(社内公募)制度を導入 | ジョブポスティング(社内公募)制度の対象拡大、リファラル採用の導入、外国籍人財の採用拡大 | |
3.人事基幹システム内で、社員の能力・期待・経験・資格等をデータ化し、適正な採用・配置に活用する仕組みを構築する | 本社での人事基幹システム運用を通じたデータ収集と、一部国内関係会社へのシステム展開の実施 | BIツール活用による人事基幹システムに蓄積されるデータの見える化と、一部の国内グループ会社に対し、人事基幹システムを展開 | グループ横断でのデータ収集と、海外を含めたグループ会社への人事基幹システムの展開 | |
従業員エンゲージメントスコアの改善 | ワールドワイドでのエンゲージメントサーベイを導入し、スコアを毎年改善、業界平均以上を目指す | ワールドワイドのグループ会社にてエンゲージメントサーベイを実施(2022年9月) | 導入完了と共に、業界平均以上の結果を達成(グループ全体:91.0%)※ | 本社におけるエンゲージメントスコアの改善 |
当社グループでは、WTW(ウイリス・タワーズワトソン)の従業員エンゲージメント調査を通して、エンゲージメントスコアを管理しております。
「目標達成に向けた高い貢献意欲や組織に対する強い帰属意識」に関する設問に対し、好意的な回答を行った社員比率をスコアとして表記しております。
【関連する取り組み】
働きがいの向上
ロームでは、「従業員エンゲージメントの強化」の施策として、以下の取り組みを行っています。
1. 働き方改革につながる制度と利用状況
ロームでは、働き方改革を推進し一人ひとりがそれぞれのライフスタイル、ライフステージに合わせて柔軟に働くことができるよう諸制度の導入を行っています。
また、ニューノーマルの時代を迎えた現在、ビジネス面だけでなく、個々の生活様式にも大きな変化が起きています。これまで当たり前であった行動が一変し、社員のライフスタイル・働き方に大きな影響を与えました。アフターコロナの今は、再び社内コミュニケーションの平常復旧をはかりつつ、職種に応じた新たな働き方の模索を続けています。働き方が変わっても、労働生産性を維持・向上させるためには、業務の効率化を図るのみならず、従業員が働きやすい職場環境を整備することが必要です。ロームは2025年までの目標として、社員の志向やライフスタイルに適応した選択型サービスを提供し、働きがいある職場環境を実現することを掲げています。
制度名 | 目的 | 内容 |
---|---|---|
インターバル制度 | 社員の健康確保 | 勤務の終業時間と翌日の開始時間の間を一定時間空けることにより、休息時間を確保する制度。インターバル時間10時間で設定。 |
テレワーク制度 | 多様な働き方の支援 | 社員の多様な働き方の支援、生産性の向上を目的とした、所定就業場所以外での勤務を可能とする制度 |
勤務地変更制度 | 人財の確保 | 配偶者の転勤や結婚、育児、家族の介護により転居を余儀なくされる場合において、個人都合で勤務地変更を認める制度。 |
再入社制度 | 人財の確保 | 配偶者の転勤や結婚、育児、家族の介護により退職せざるを得ない場合において、退職した後、5年以内に再入社できる権利を付与する制度。 |
コース転換制度 | 人財の活躍 | 職務の幅を広げ、自身の更なるキャリア形成に挑戦したいという限定基幹職の社員を対象に、基幹職へのコース転換を推進する制度。 |
時間単位有休 | 働く環境の整備 | 多様な働き方を可能にするため、年間5日分を上限に1時間単位で有休を取得できる制度。 |
今後も諸制度の整備や浸透を図り、社員がいきいきと働くことのできる職場環境の実現を目指します。
2. 育児・介護に対する支援制度・取り組み
ロームでは、ライフスタイルに応じて、社員一人ひとりが活躍できる環境の整備を図っています。育児・介護などのライフイベントに合わせ、柔軟かつ多様な働き方ができるよう、法で定められている制度に加え、充実した仕組みを独自に構築しています。
制度 | 制度内容 | 状況 |
---|---|---|
育児休業 |
①原則として子が1歳に到達するまでとし、保育所へ入所できない場合、最大満3歳に達する日まで育児休業期間の延長が可能 ②1子につき2回までの分割取得可能(延長時は別途) |
・2022年法改正適応済み ・法定を上回る(休業期間最長3歳まで) |
産後パパ育休 | 配偶者が出産後8週間以内の産後休暇取得中に2回(計最大4週間まで)取得が可能 | 2022年法改正適応済み |
育児時間 | 生後1歳に満たない生児を育てるために1日午前・午後に各1回30分の育児時間を要求することができる | |
産休中の特別祝金 | 産前産後休暇取得中の所得の一部を支給(有休扱い) | 法定を上回る(有休部分) |
育休中の積立休暇充当 | 積立休暇(過去の有休未消化部分)を育休中に利用可能 | ローム独自の制度 |
育休取得促進を目的とした方針の制定 | 男性育児休業取得促進や取得期間延長を目的とした方針を制定し、全社へ周知 | 2022年法改正適応済み |
専用相談窓口の設置 | 育児休業制度についての問い合わせ、過去の取得事例など専用の相談窓口を設置 | |
Mother's Room(搾乳室)の設置 | 母乳育児をしている女性社員へのサポート | 本社、京都駅前ビル、新横浜の拠点に設置 |
全対象社員に対する取得推奨 及び取得意向の確認 |
本人及び配偶者が出産した社員に対して、育児に関する制度を再周知し、取得推奨及び取得意向確認を実施 | |
育児・介護 対応勤務 |
・時短勤務(最長2時間を短縮) ・繰上、繰下勤務(約2時間の繰上げ下げ可) ※時短勤務の場合は最長で中学校卒業までを対象 ※繰上、繰下勤務の場合は最長で小学校卒業までを対象 |
法定を上回る(最長で中学校卒業までの子が対象) |
子の看護休暇 |
1年(4月~翌年3月)の間に以下の日数の休暇を取得可能 ・子が1人の場合:5日まで ・子が2人以上の場合:10日まで |
1日、半日または1時間単位での取得が可能 |
介護休暇 |
1年(4月~翌年3月)の間に以下の日数の休暇を取得可能 ・要介護対象家族が1人の場合:5日まで ・要介護対象家族が2人以上の場合:10日まで ※最大10日まで有給扱い |
法定を上回る(有休部分) |
介護休業 | 要介護対象家族1人につき3年の期間の間に通算93日までの介護休業の取得が可能(回数無制限、最大3年間の休業可能) | 法定を上回る(休業期間3年まで) |
介護休暇/休業への積立休暇充当 | 積立休暇(過去の有休未消化部分)を介護休暇・休業に利用可能 | ローム独自の制度 |
3. 有給休暇の取得促進
社員の健康維持や心身のリフレッシュを図るため、以下の取り組みを通じて有給休暇の取得を推奨しています。
-
取り組み事例
-
- 1. 有給休暇に関するルールの理解のため、研修を実施
- 2. 計画的有休の設定(年間4日間)
- 3. 有休奨励日の新規設定
- 4. 時間単位有休の導入
2022年度の有休取得率は80.1%となり、前年と比べて約8%向上しました。
2023年度は引続き全社的に有給休暇の取りやすい環境を維持していくとともに、全社平均だけでなく、各個人別の取得率として最低50%を設定しています。

4. 表彰制度
ロームグループでは企業目的・方針に基づき、会社に貢献した社員を表彰する制度として『ローム社長賞』を設けています。この賞は、海外を含めた全ロームグループ社員が対象となっており、新技術や新商品の開発、生産性向上、地域や社会への貢献など社員の1年間の活動を表彰するもので、社員のモチベーション向上に大きく寄与しています。
【受賞件数】
表彰金額 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
金賞 | 300~1000万円 | 6 | 6 | 10 | 10 | 8 |
銀賞 | 150万円 | 41 | 26 | 17 | 17 | 21 |
銅賞 | 50万円 | 71 | 63 | 58 | 60 | 55 |
努力賞 | 20万円 | 57 | 56 | 59 | - | - |
合計 | - | 175 | 151 | 144 | 87 | 84 |
2021年度より、努力賞は廃止。
5. ハラスメント防止に関する取り組み
社員が健康でいきいきと働ける職場づくりに向けた取り組みの一環として、顧問弁護士によるハラスメント防止研修を取締役含む部門長を対象に実施しています。
【研修内容】
セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなど、あらゆるハラスメントの未然防止に向け、社会要請の変化や具体的な事例に基づき説明教育。
【研修実績】
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|
受講者(名) | 35 | 27 | 34 | 422 |
受講率(%) | 100 | 100 | 100 | 100 |
同様のハラスメント防止研修は、昇格時の研修でも実施しており、今後も継続して実施していきます。
6. スペシャリスト職制度
グローバルな市場でお客様から選ばれる商品を開発するためには、個々の専門性、エンジニアの能力を高めていく必要があります。
ロームの持続的成長を支える高度専門人財が、持てる力を存分に発揮できるよう、社員のキャリア制度を大幅に見直し、2019年度に「スペシャリスト職制度」を創設しました。
本制度は、部下の有無にこだわらず、高度な専門スキルを以て会社に貢献する社員を「スペシャリスト職」として認定し、その道の第一人者としてのキャリアパスを明確化する制度です。
スペシャリスト職精度の目指す姿 |
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【スペシャリスト職任命数変遷(累計)】

また、スペシャリスト職の中でもトップレベルの高度専門人財には「フェロー」「シニアフェロー」の称号が与えられます。ロームの持続的な成長に向けて、経営を担う人財だけでなく、その専門性、技術力で会社に貢献する人財を育て、該当する社員に最大限の成果を発揮してもらうことが目的です。今後、5年をかけて10名程度のフェローを選任する予定で、2022年度3月時点で3名が選任されています。シニアフェローについては、本部長、執行役員級の待遇を与え、高度専門人財としてモチベーション高く成長できる体制を整備しました。
スペシャリスト職には高度専門人財としての高い貢献が求められるだけでなく、「後進の育成」と「専門性・技術の継承」という重要な任務も担います。
本制度を通じて高度専門人財の更なる専門性向上へのモチベーションUPと育成につなげ、ロームの競争力を支える技術開発の加速、ひいては会社の更なる成長と発展を図ってまいります。
一定の等級から自薦あるいは他薦でスペシャリスト職に応募し、選考を通過すると技術主幹などに昇進します。その中で、選定基準をクリアした社員が任命されます。
2022年度時点で累計84名が任命されています。
スペシャリスト職は、4~5年の任期制です。
【スペシャリスト職社員の声】

技術主幹 松永 浩治
トランジスタ、ダイオード、MOSFET、IGBT、SiCモジュールなど、製品特性を最終保証するテスタ(計測器)の内製化開発を担当し、事業部、工場と連携して新商品対応や改善活動に日々取り組んでいます。高電圧・大電流・高速性が要求される、AC特性(動特性)の内製テスタに初号機の開発から携わり、様々なパワーデバイス向けのテスタを立ち上げた経験があります。扱う電力が大きいので常に危険と隣り合わせですが、パワーデバイスの進化に合わせ、日々精進し技術を高めています。
幅広い知識(デバイス特性を始め、装置・基板、ハード・ソフトなど)が必要で、かつ不良品を世の中に出せないプレッシャーもありますが、非常にやりがいのある仕事です。計測分野のエンジニア地位向上のため、若手育成を含め、計測分野で貢献していきたいです。

AFE‐LSI事業部
技術主幹 嶋田 雄二
産機向けモータ駆動時の電流検出用の絶縁ADコンバータの回路設計を担当しており、アナログエンジニアとしてコイルによる絶縁の通信回路設計およびADCの回路設計を行っています。専門分野であるADCを使った小信号アナログ技術を活かして、タッチパネル用のICの回路設計や駆動アルゴリズム開発を開発、商品化してきました。多数の特許も出願しています。現在の業務では、よりコアとなるADCの設計等に活かし絶縁ADCの立ち上げ実現に向けて励んでいます。
スペシャリストとして今後、ロームにある回路技術やノウハウを広く展開し、個の力だけでなく会社一丸となった設計力を形にすることで、競争力のある商品開発に貢献していきたいと考えています。
7. ジョブポスティング制度
社員が自ら手を挙げて異動できる機会を提供するため、2022年度に「ジョブポスティング制度」を創設しました。
本制度は、2022年12月から導入された制度であり、2022年度時点で9名の社員が、希望する部署での業務を開始しています。従業員一人ひとりが主体的・継続的に自らのキャリア形成に向き合い、会社もそれを支援することで、キャリア開発を活性化させ、人財の内部流動性を高めています。本制度を通じて、急速な環境変化への迅速な対応を可能にすることで、注力事業に必要な人財の確保につなげてまいります。
本制度は、一般的に言われている「社内公募制度」です。社内に掲示された求人に対して社員が応募し、求人部署とマッチすれば異動できる仕組みとなります。
ジョブポスティング制度の導入目的 |
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8. 評価制度
制度 | 制度内容 | 状況 |
---|---|---|
目標管理制度 |
組織への貢献と自己成長の両立を目的とし、2016年度より目標管理制度を導入。 経営目標・部門目標と連動する個人目標を設定し、期末にその達成度合について評価。 目標設定から評価、フィードバックという一連の評価システムのサイクルの中で、上司・部下間におけるコミュニケーションを通じて、期待やあるべき姿を描き、共有し、それを達成する過程でキャリアを開発していく仕組みと位置付けている。 |
フィードバック完了率 平均98~100% (直近3年:2020~2022年度) |
業績評価 | 業務上であげた成績・成果をもとに、評価を実施。 明確で公平な基準を保つために、複数の評価者が関与し、評価を決定。 |
|
360°アセスメント | 常に他者からのフィードバックにさらされることで自律的に自己管理と自己変革を進められるよう、マネジャー向けのアセスメントを実施。また2022年度より事後施策としてグループコーチングを実施し、自己成長・組織の成長を支援。 | アセスメント対象者:700名(2022年度) グループコーチング参加者:27名(2022年度) |
9. Long-Term Incentives(信託型株式報酬制度)
経営の責任者の一翼を担う執行役員を対象に、ロームグループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、適切なインセンティブを高めるとともに、株主との一層の価値共有を進める仕組みとして導入。
10. 福利厚生パッケージサービスの拡充
働き方が大きく変わり、生活スタイル、嗜好も多様化が進む中で、状況、場所に影響されずに利用可能で、多様なニーズに応えることができる、新たな福利厚生パッケージサービスを2022年度に導入しています。
社員の成長機会の提供、働きやすい環境の提供、ご家族含む健康面のサポートを重点ポイントとしてサポートの拡充を計画しており、社員と会社が更に成長できる環境作りを図っています。

従業員エンゲージメントスコアの改善
ロームは、「2030年度にグローバルメジャーになること」を経営の中長期目標に掲げています。この目標を達成するにはグループ一体での企業経営が重要となるため、この度ロームグループのサステナビリティ重点課題の1つに「従業員エンゲージメントの強化」を掲げました。
掲げた中長期目標を達成するためには、グローバルに展開する企業を基準に、組織のあるべき姿と現状・課題のギャップを把握の上、効果的なエンゲージメント向上施策を講じる必要があります。そのため、ロームでは、グローバル展開する企業をベンチマークとして設定し、エンゲージメントサーベイを導入しています。本エンゲージメントサーベイは、「チャレンジ」や「コミュニケーション」など14のカテゴリー、全71の設問、各質問ごとに5段階の選択方式で回答する構成となっています。
エンゲージメントサーベイの実施
<設問カテゴリー>
設問カテゴリー | |
---|---|
1. チャレンジ | 8. 業務運営 |
2. コミュニケーション・連携 | 9. 直属上司 |
3. 持続可能なエンゲージメント | 10. ダイバーシティ&インクルージョン |
4. 経営理念・目標 | 11. 倫理性・誠実性 |
5. ESG | 12. タレントマネジメント |
6. リーダーシップ | 13. 評価 |
7. 顧客志向 | 14. ウェルビーイング |
ロームグループでは、WTW(ウイリス・タワーズワトソン)の従業員エンゲージメント調査を通して、エンゲージメントスコアを管理しています。
<各設問の選択項目>
選択肢 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
評価基準 | そう思う | どちらかというと そう思う |
どちらでもない | どちらかというと そう思わない |
そう思わない |
<2021年度エンゲージメント回答実績(ローム単体)>
年度 | 対象者数 | 回答者数 | 回答率 | スコア |
---|---|---|---|---|
2021年度 | 3,625 | 3,606 | 99.0% | 76.0% |
<2022年度エンゲージメント回答実績(ワールドワイドグループ会社32社(ローム単体除く))>
年度 | 対象者数 | 回答者数 | 回答率 | スコア |
---|---|---|---|---|
2022年度 | 19,761 | 17,743 | 90.0% | 91.0% |
「目標達成に向けた高い貢献意欲や組織に対する強い帰属意識」に関する設問に対し、好意的な回答を行った社員比率をスコアとして表記しております。
<2022年度の取り組み実績>
2022年度においては、エンゲージメントの向上に向けた重点テーマを「社員同士の『対話』の風土の醸成」として、以下の取り組みを行いました。
取り組み | 概要・主旨 | 実績 |
---|---|---|
管理職対象 社長座談会 | 理職層が、リーダーとしての意識を一層強く持って最大限業務パフォーマンスを発揮できるよう、部門・階層の垣根を超えて社長と管理職層が双方の思いや会社の方向性、経営課題を共有 | 22回 |
管理職対象 対話のワークショップ | 「対話」とは一体どのようなものであるかを理解し、職場内での「対話」を変化させることで、部下との関係性をより良いものにし、「対話する組織風土」を醸成する |
・本部責任者3回 ・部門長7回 ・課長19回 (計29回) |
WEB Café | 若手社員同士の交流の場や経営陣と若手社員のコミュニケーション機会の創出 |
・技術系新人交流会3回 ・読書会8回 ・新技術・新商品発表会5回 ・中途入社社員向け6回 (計22回) |
<今後に向けて>
これまでも、ロームでは社員の声を集め、福利厚生や職場の改善施策を検討・実施するために、2017年度まで従業員満足度調査を実施し※、その調査結果を受けて、「マネジメント力の向上」「働き方改革の推進」「人事制度の改善」「社員の声を集める場の設定」などをテーマに取り組みを行ってまいりました。今後、更なる成長を目指すには、これまで取り組んできた社員個人の満足度を向上させることはもちろん、社員が組織の企業理念やビジョン・目標に共感し、「ONE ROHM」として同じベクトルで歩みを進めることが必要となります。
過去の従業員満足度調査結果
対象者数 | 回答者数 | 回答率 | |
---|---|---|---|
2013年度 | 3,213 | 3,115 | 96.9% |
2015年度 | 3,340 | 3,220 | 96.4% |
2017年度 | 3,390 | 3,112 | 91.8% |
上述の考えのもと、ロームでは、「企業が掲げるビジョンを、従業員が理解・共感し、その達成に向けて、個々の能力を自発的に発揮する社員」を増やしていくことを目指し、2021年度より、従来の単に従業員が満足しているかどうかを測る従業員満足度調査から、企業が目指す方向性や姿を物差しとして、それらについての従業員の理解度、共感度、そして行動意欲を測るエンゲージメントサーベイに調査方法を変更しました。
更なるエンゲージメント向上に向けて、2022年度は管理職を対象とした「対話のワークショップ」の開催や、「組織風土委員会」による若手社員同士の交流の場や経営陣と若手社員の「対話」の場となる「WEB Café」の開催などの施策を企画・実施してまいります。
<責任者コメント>
2021年に発表した中期経営計画において、ロームグループ全体で「エンゲージメントサーベイ」を実施すること、そして、そのスコアを非財務目標の一つに設定することを決定しました。そして、2021年度にはローム本社、2022年度には国内外グループ会社にてエンゲージメントサーベイを実施しました。
今回、国内外グループ会社で実施したサーベイでは、32社のグループ会社が参加し、90%の従業員が回答し、目標としていた、「業界平均以上」というスコアをクリアするなど、全体としては満足できる結果であったものの、各社別に見ると、それぞれの課題も明らかになってきました。
今後は、サーベイの結果を踏まえ、各社においてアクションプランを検討し、今後の改善に向けた取り組みを実行していくことで、エンゲージメントの向上に繋げてまいります。
2021年度より、エンゲージメント向上に向けた取り組みの1つとして、「対話」の風土醸成に向けた、社長との「座談会」を実施しています。前年度は、課長対象の会を、2022年11月から2023年6月にかけて計27回開催し、205名が参加しました。また、対話への理解を深め、職場での実践を促進するため、新たな取り組みとして、管理職対象に対話のワークショップを計29回開催し、344名が参加しました。
今後も、経営陣との直接の「対話」や各職場での対話の風土醸成の取り組みをサポートし、従業員エンゲージメントの向上を図り、持続的な成長を実現できる、企業風土の醸成を推進してまいります。

コーポレート企画室
室長 木村 誉勧
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