業界最高クラスの信頼性を実現した1608サイズ白色チップLED「SMLD12WBN1W」を開発
長寿命、高実装性の両立により、産業機器用表示パネルの長期デザイン性保持に貢献

2019年2月6日

<要旨>

1608サイズ白色チップLED「SMLD12WBN1W」

ローム株式会社(本社:京都市)は、温調機をはじめとする産業機器や各種小型機器などの表示パネル向けに、長寿命かつ高い実装性を両立し業界最高クラスの信頼性を実現した1608サイズ(1.6×0.8mm)の白色チップLED「SMLD12WBN1W」を開発しました。
今回開発したチップLEDは、モールドの封止樹脂に新しい材料を採用したことで、通電試験時(25℃、IF=20mA、1,000時間通電)で、光度を100%維持することに成功。同光度残存率で比較した場合、約20倍の長寿命化を実現します。また、実装性を左右するモールド強度においても、シリコーン樹脂品に比べて約25倍改善しており、実装不良を低減することが可能です。これら高い信頼性を確保する白色チップLEDにより、アプリケーションのデザイン性を長期にわたって保つことができます。
なお、本製品は、10月より月産100万個の体制で量産出荷を開始(サンプル価格 90円/個:税抜)しています。生産拠点は、ROHM-Wako Electronics(Malaysia) Sdn.Bhd.(マレーシア)となります。加えて、1月よりチップワンストップ、ザイコストア(コアスタッフ)、アールエスコンポーネンツの3社にて、インターネット販売を行っています。

 

<背景>

近年、産業機器や民生機器におけるパネルの数字表示やインジケータ光源として、デザイン性と視認性を高めるため、小型の白色LEDが使用されるケースが増えています。特に産業機器市場では、10年以上使用しても通電による光度劣化のない信頼性の高いLEDが求められています。一方、白色のチップLEDでは、これまでモールド部分にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂が使用されていましたが、信頼性が求められるアプリケーションでは、光度劣化や実装時のモールドの強度に課題がありました。
ロームでは、これまで1608サイズのチップLEDとして、赤色から緑色までラインアップを保有していましたが、市場要求に応えて白色の開発を進めてまいりました。今回、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂の良特性を兼ね備える樹脂を新たに採用したことで、1608サイズの白色チップLEDで業界最高クラスの信頼性を確保することに成功しました。
ロームは今後も信頼性の高いLEDの開発を進め、お客様に使って頂きやすい製品ラインアップを強化してまいります。

 

<製品の詳細>

1.通電試験時(25℃、IF=20mA、1,000時間通電)で、光度100%維持に成功

通電試験結果

従来、産業機器の表示パネル部分で使用されていた赤色や緑色のLEDは、光エネルギーによる樹脂の黄変が起こりにくく、光度劣化は問題視されていませんでした。一方、小型モールドタイプのLEDはモールド硬度が高いエポキシ樹脂※1)が採用されるのが一般的ですが、白色を含む短波長(λD:~527nm)のLEDの場合、光エネルギーにより樹脂が黄変してしまうという課題がありました。
今回開発したLEDは、新樹脂を採用することで、通電試験時(25℃、IF=20mA、1,000時間通電)で、光度を100%維持することに成功。例えば、同じ光度残存度で比較した場合、約20倍の長寿命化を実現できます。

2.シリコーン樹脂に比べてモールド強度を約25倍改善

モールド強度測定結果

光度劣化に対しては、LED照明で使用されているシリコーン樹脂を採用することで改善できるものの、シリコーン樹脂ではモールドが基板からとれやすく、また小型のLEDではリフレクタをつけるなどの実装強化策がとれないことから、モールド部分の破壊が課題となっていました。
新樹脂の採用により、実装性を左右するモールド強度においても、高温条件(Ta=150℃)でシリコーン樹脂品に比べて約25倍に改善しています。これにより、実装時の不良が起こりにくく、高実装性が実現できます。

 

<ラインアップ>

 

<用語説明>

*1) エポキシ樹脂
機械的強度、耐熱性、接着性などに優れており、幅広い分野で使用されている工業材料のこと。

<関連情報>

 

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