高音質オーディオ機器向け32bit D/AコンバータIC「BD34301EKV」の一般販売を開始
ローム初、最高峰「MUS-IC™」シリーズのDACチップが、クラシック音楽を豊かに表現

2021年2月4日

※本リリースではオーディオ機器のDACと区別するためにDACチップと表記します

<要旨>

BD34301EKV

ローム株式会社(本社:京都市)は、ハイレゾリューション音源*1の再生に適した、高音質オーディオ機器向けに32bitD/AコンバータIC(以下、DACチップ「BD34301EKV」およびその評価ボード「BD34301EKV-EVK-001」の一般販売を開始しました。
「BD34301EKV」は、ロームが提供するオーディオICの最高峰「MUS-IC™」シリーズのDACチップとして、クラシック音楽の鑑賞で重要な音質性能である「空間の響き」「スケール感」「静寂性」を表現することに重きを置いて開発。独自の音質設計技術により、音質を決めるカギとなる信号処理回路において、音質を確認しながら回路を設計することで目標とする音質の表現に成功しました。同時に、オーディオデバイスの重要特性となる低雑音(SN比)と低歪率(THD+N特性)でも、業界最高クラスの性能(SN比:130dB、THD+N:-115dB)を達成しているため、高音質オーディオ機器にふさわしい性能を提供します。加えて、デジタル信号処理回路の主要機能である内蔵デジタルフィルタは、カスタマイズできる仕様にしており、オーディオ機器メーカーが求める理想の音作りに貢献します。
なお、「BD34301EKV」は、著名な高級オーディオ機器メーカーであるラックスマン株式会社(以下、ラックスマン社)のフラグシップSACD/CDプレーヤー「D-10X」に採用されるとともに、その音作りに貢献しています。同社取締役開発部部長の長妻雅一様には『全帯域がフラットで、自然で長く聴いていられる音』と、「BD34301EKV」の開発段階から性能と音質を高く評価いただいています。
本製品は、2020年12月より幅広く販売(サンプル価格9,000円/個:税抜)を開始し、随時量産出荷に対応する予定です。また、本サンプルと評価ボード「BD34301EKV-EVK-001」は、ローム公式Webにて1個から申し込みいただける他、順次インターネット商社からも販売予定です。

<背景>

オーディオ機器向けDACチップは、オーディオ機器の音質を決める最重要部品のひとつと言われており、ハイレゾリューション音源など高解像度の音源データから、情報量を最大限に引き出してアナログ変換することが要求されます。
ロームは、50年にわたるオーディオICの製品開発を基に、音源のもつ情報量をあますことなく引き出す「音質設計技術」を確立し、高音質サウンド・プロセッサICや高音質オーディオ用電源ICなど、音質にフォーカスした製品を開発してきました。中でも、「MUS-IC™」シリーズは、その性能が高く評価され、高音質オーディオ機器への採用が進んでいます。

MUS-IC™ DACチップ「BD34301EKV-EVK-001」の開発コンセプト
評価ボード「BD34301EKV-EVK-001」も販売開始

<ローム・オーディオICの最高峰「MUS-IC™」について>

MUS-ICロゴ

「MUS-IC™」(正式名称:ROHM Musical Device「MUS-IC™」)は、ロームの企業風土である「品質第一」「音楽文化への貢献」「垂直統合型生産」に、「音質設計技術」が合わさることで開発され、ロームの音質責任者が自信をもって送り出す最高峰のオーディオICにのみ使用されるオーディオデバイスブランドです。
詳細はROHM Musical Device「MUS-IC™」のWebページをご覧ください。
https://www.rohm.co.jp/mus-ic/

・「MUS-IC™」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。

<新製品の特長>

DACチップ「BD34301EKV」には、狙い通りの音質を表現するために、ロームがICの音質に影響するノウハウを28個の音質パラメータとして集約することで確立した音質設計技術が駆使されており、下記特長を実現しています。

1. 業界最高クラスの特性を達成し、クラシック音楽で求められる音質性能を実現

「BD34301EKV」は、オーディオデバイスにおける優れた数値性能(SN比:130dB、THD+N:-115dB)を達成したうえで、数値性能に現れにくい音質性能を徹底的に高めています。例えば、「D/A変換回路」では、構成する各電流セグメントの電源インピーダンスを極限まで低減すると同時に配線のレイアウトを最適化したことで、各電流セグメントの動作タイミングを決めるクロックの遅延(誤差)を極限まで低減しました。また、「デジタル信号処理回路」の主要機能であるデジタルフィルタ(FIRフィルタ)では、微小信号でも忠実に信号処理できるように設計されており、デジタルフィルタの性能指標のひとつである阻止帯域減衰量で-150dB以下を達成しました。これらにより、音源のもつ情報量をあますことなく引き出し、クラシック音楽の鑑賞で重要な「空間の響き」「スケール感」「静寂性」をより感じる音質性能を実現しています。

BD34301EKVの回路ブロック図と特徴
入力レベルに対するTHD+N特性グラフ
デジタルフィルタの周波数応答グラフ

2. デジタルフィルタのカスタマイズにより、オーディオ機器に合わせた音作りに貢献

カスタマイズ可能なデジタルフィルタ搭載

「BD34301EKV」は、音質に影響するデジタル信号処理回路のデジタルフィルタ(FIRフィルタ)を、プリセット/カスタム/外部設定の中から選択することができます。またフィルタの演算係数とオーバーサンプリングレートもプログラム機能でカスタマイズ可能です。これらにより、独自のデジタルフィルタを構築し、オーディオ機器ごとに異なる音質チューニングを容易に実現できるため、開発工数の削減やメーカーが求める理想の音作りに貢献します。

<新製品の主な特性>

品名出力数分解能サンプリング
周波数
SN比THD+NDSDクロックデジタル
FIRフィルタ
パッケージ
BD34301EKV2ch32bit32kHz~
768kHz
130dB
(Typ.)
-115dB
(Typ.)
2.8MHz, 5.6MHz,
11.2MHz, 22.4 MHz
Preset,
Custom,
External
HTQFP64BV

<評価ボード情報>

販売開始時期2021年1月から
評価ボード品番BD34301EKV-EVK-001
販売ネット商社ローム公式Webにて申し込みいただける他、3月以降Digi-Key、Mouserからも販売予定です。
サポートページhttps://www.rohm.co.jp/products/audio-video/audio-converters/audio-dacs/bd34301ekv-product

評価ボードのご購入はこちらからお問い合わせください。
ご好評につき、予定数量が完売となりました。在庫が準備出来次第、評価ボードのお問い合わせ対応を再開します。

<ラックスマン社のSACD/CDプレーヤー「D-10X」について>

ラックスマン社の新しいフラグシップSACD/CDプレーヤー「D-10X」は、前身機D-08uで完成された設計思想を継承。最新の技術と最高スペックのパーツにより高精度な読み取り、高精細な変換、高品位な出力のすべてを一新し、現代のハイエンド・デジタルプレーヤーの理想形を追求したモデルです。
新オリジナル・ドライブ・メカニズムLxDTM-i*2を装備、ODNF-u*3搭載の完全バランスアンプ回路実装に加えて、デジタル回路の心臓部となるD/AコンバータICには、ロームの「BD34301EKV」がデュアル構成で採用されています。
詳細はラックスマン社D-10Xの商品ページをご覧ください。https://www.luxman.co.jp/product/d-10x

D-10X
D-10Xデジタル回路概念図

<用語説明>

*1)ハイレゾリューション音源(ハイレゾ音源)
一般的な音楽用CDで再生される音楽はサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bitであるのに対し、ハイレゾ音源は、サンプリング周波数が96kHz以上、量子化ビット数が24bit以上のデータが一般的。つまり、ハイレゾ音源の情報量は通常の音楽CDよりも格段に多いため高音質を実現することができる。
*2)LxDTM-i(LuXman original Disc Transport Mechanism-improvedの略称)
8mm厚のアルミサイドフレームと5mm厚のスチールトッププレートによりメカ全体を覆う強固なボックス構造が特徴の、ラックスマン社が誇る高剛性オリジナル・ドライブ・メカニズム。
*3)ODNF-u(Only Distortion Negative Feedback-ultimateの略称)
D-10Xのアナログ回路に搭載される。これまでのアンプ開発の技術とノウハウを結集し、音質を磨き上げてきたラックスマン社の基幹技術であるODNFの最終進化バージョン。
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