研究開発副センター長 IEEEのシニアメンバーに昇格
2023年11月18日(土)、研究開発センターの奥副センター長が世界最大規模の学会IEEEの『シニアメンバー』に昇格しました。ロームでは2021年に昇格した研究開発センターの中原センター長に次いで、2人目となります。
IEEEとは
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineer)は、アメリカに本部をおく、電気・情報工学分野における世界最大規模の学術研究団体および技術標準化機関です。
世界160ヵ国以上、40万人を超える会員は、分野ごとに39の分科会に分かれ、論文誌の出版や国際会議の開催、標準規格の策定、会員のコミュニケーション支援などを行っています。1963年の設立当初は、電気・電子、通信、半導体などの分野を中心に活動していましたが、近年ではロボティクス・自動化や車両技術などの周辺領域にも広がっています。
シニアメンバーとは
シニアメンバーは、全会員の10%程度しか保有していない、IEEE会員の中でも最高レベルのグレードです。Senior Member への昇格には次の条件が必要です。
【昇格要件】
・IEEEが指定した分野内の技術者、科学者、教育者、技術経営者または創立者とする。
・最低10年の専門的実務経験がある者とする。
・その10年のうち最低5年間、優れた功績を残していなければならない。
加えて、Fellow、Senior Member、又はHonorary Memberの資格を持つIEEE会員3名からの推薦状(References)が必要である。

シニアメンバー昇格の経緯
LSIプロセス分野や有機エレクトロニクス分野、センサ・IoT分野をはじめとする様々な領域において、経済産業省や文部科学省の国プロも含めて従事してきた研究開発の功績が認められ、ノミネータの関西学院大学の葛原正明教授(フェローメンバー)と広島大学の吉川公麿教授(フェローメンバー)、およびロームの中原センター長(シニアメンバー)から推薦により、シニアメンバーへの昇格が決定しました。また、現在、2023年よりIEEE関西支部の電子デバイス分科会で学会活動支援等のボランティアも行い、本支部主催の学会を開催する上で重要な役割を果たしてきています。
【奥副センター長のこれまでの取り組み】
2000~2004年 LSI配線プロセス・材料の研究
当時、日本の半導体個社では困難であったLSI微細化(45nm/32nm)に関する経済産業省/NEDOの国プロの研究開発に従事。成果を持ち帰るには至らなかったが、この時の、デバイスメーカー/装置メーカー/材料メーカー/国研/経産省との協働の体験や人脈が現在にも生きている。
2004~2008年 有機エレクトロニクスの研究
上述の国プロから帰任後、京都大学を中心とする有機エレクトロニクス/フレキシブルエレクトロニクスの共同研究を民間企業5社で遂行する中で、文部科学省/JSTのマッチングファンドを活用した共創を遂行した。
2009年以降 センサ・IoT分野の研究から新たな領域の研究
センサ、エネルギーハーベスタの研究では、顧客ニーズを追求し、顧客企業の開発・事業部門との共同研究開発を経て、エンドユーザー価値の創製に取り組む。経済産業省/NEDOのIoT実証研究にも従事した。
2019年に研究開発センターの副責任者に就任。センサ・アクチュエータに加え、パワーエレクトロニクス・実装、最適設計・システム、高周波パッシブデバイスの研究にも注力している。
【推薦状で取り上げられた研究開発成果】
・"Recovery of Process-induced Damages of Porous Silica Low-k Films by TMCTS Vapor Annealing", 2004 International Conference on Solid State Devices and Materials (Tokyo)
DOI: https://doi.org/10.7567/SSDM.2001.A-1-2
・"Novel self-assembled ultra-low-k porous silica films with high mechanical strength for 45 nm BEOL technology", IEEE International Electron Devices Meeting 2003
DOI: https://doi.org/10.1109/IEDM.2003.1269184
・"Estimation of carrier recombination and electroluminescence emission regions in organic light-emitting field-effect transistors using local doping method", Appl. Phys. Lett., 88, 093514, 2006
DOI: http://doi.org/10.1063/1.2181629
・"Principal Component Analysis Based GaN Transistor Live Health Monitoring", 2022 International Symposium on Semiconductor Manufacturing
DOI: https://doi.org/10.1109/ISSM55802.2022.10026977
プロフィール
奥 良彰
1998年入社。Siウェハ内製化に始まり、微細LSI材料・プロセス、有機エレクトロニクス、エネルギーハーベスティング、各種センサ、IoTシステム実証の研究に従事。2019年から研究開発センターの副センター長として、センサ・アクチュエータに加えて、低コストSiC基板、シミュレーション技術などの研究の責任者を経て、2024年からはパワーエレクロトニクスの高付加価値化、最適設計・システム、高周波パッシブデバイスの研究の責任者に至る。