ヴィテスコ・テクノロジーズとローム、SiCパワーデバイスの長期供給パートナーシップ契約を締結

2023年6月20日

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2023年6月19日、最新のドライブ技術や電動化ソリューションの国際的な大手メーカーであるヴィテスコ・テクノロジーズ(以下、ヴィテスコ)と、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスのリーディングカンパニーであるローム株式会社(以下、ローム)は、SiCパワーデバイスに関する長期供給パートナーシップ契約を締結しました。その取引額は2024年から2030年までの期間で1300億円以上となります。

これは、両社が2020年に締結した「電気自動車向けパワーエレクトロニクスにおける開発パートナーシップ」に基づくものです。同パートナーシップでは緊密な技術連携を行い、電気自動車に最適なSiCパワーデバイス及びSiC搭載インバータの開発協議を行ってきました。

ヴィテスコは、共同開発の最初の成果として、ロームのSiCチップを搭載した先進的なインバータの供給を、早くも2024年から開始する予定で、既に大手2社の電気自動車への採用が決まっています。これは当初目標のスケジュールを前倒しするものとなります。

SiCパワーデバイスは、電気自動車のインバータ開発において非常に重要なアイテムであり、より高効率なパワーエレクトロニクスの設計を可能にします。中でもSiCチップは、高電圧対応が求められ、電気エネルギーの有効活用による航続距離伸長やバッテリーサイズ削減などが必要な電気自動車にとって、重要なキーテクノロジーです。

今回の長期供給パートナーシップにより、ヴィテスコは、電気自動車の開発において戦略的かつ重要なアイテムであるSiCチップのキャパシティを確保することとなります。
両社は、引き続き、連携を深め、SiCを通じて電気自動車の効率化と急速充電をサポートしていきます。

ヴィテスコ・テクノロジーズ CEO アンドレアス・ヴォルフ(Andreas Wolf)
「ロームとの供給パートナーシップ契約は、今後、ヴィテスコのSiC生産能力を確保するための重要な基盤となります。私たちは、これまでの開発協力で非常に良い経験を積んできました。この協力を継続するだけでなく、さらに強化していきたいと考えています。」

ローム株式会社 取締役 常務執行役員 CFO 伊野和英 (博士)
「高成長を続ける電気自動車市場において、SiCパワーデバイスは高効率化を実現する重要な技術であり、ロームはSiC市場で業界をリードする開発、製造体制を持っています。さらなる市場浸透に向け、今回、重要な戦略的パートナーであるヴィテスコとさらに深いビジネスの提携関係を築けたことで、市場シェア30%以上獲得も期待できると考えています。」

CEO of Vitesco Technologies and CFO of ROHM Co. Ltd.
ヴィテスコ・テクノロジーズ CEO  アンドレアス・ヴォルフ (右)
ローム株式会社 取締役 常務執行役員 CFO 伊野和英 (左)

小さな部品がもたらす大きな効果
SiCは、絶縁破壊電界強度が従来のSi(シリコン)の10倍、バンドギャップがSiの3倍であり、放熱特性も勝ることから、電力損失の大幅な低減、機器の小型化、高電圧・高温環境下での安定駆動に優れています。
これらの特徴により、SiCパワーデバイスを使用したパワーエレクトロニクスは、従来のSiに比べて電力変換時の損失を低減することができます。特に800Vのような高電圧では、SiCインバータはSiモデルよりもさらに高効率です。電気自動車の充電用途では、高圧であれば満充電にかかる時間が少なくすむため、既に世界的に需要が拡大しています。また、電気自動車バッテリーの電気エネルギーをより有効に活用できることから、電気自動車の航続距離伸長や、バッテリーサイズ削減に貢献することが可能となります。

ヴィテスコ・テクノロジーズについて
ヴィテスコは、持続可能なモビリティ向けの最先端ドライブシステムを開発・製造する世界有数のメーカーです。電気、ハイブリッド、内燃駆動システムのためのインテリジェントなシステムソリューションと部品の提供により、環境に優しく、高効率で、手の届くモビリティの実現に貢献します。製品ポートフォリオには、電気駆動装置、電子制御装置、センサ、アクチュエータ、排ガス処理用ソリューションが含まれます。また、ヴィテスコの2022年の売上高は約90億7000万ユーロであり、世界50拠点で従業員数は約38,000人です。ドイツのレーゲンスブルクに本社を置いています。

 

 
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