パワー半導体と駆動ICを一括検証できる無償Webシミュレーションツール
「ROHM Solution Simulator」に熱解析機能を追加
業界唯一、ソリューション回路規模でのオンライン電気・熱連成解析で、
困難な熱課題を素早くシミュレーション

 

2021年11月4日
※2021年11月4日現在 ローム調べ

<要旨>

ローム株式会社(本社:京都市)は、自動車や産業機器などの電子回路設計者・システム設計者に向けて、パワーデバイス(パワー半導体)と駆動ICなどを、ソリューション回路上で一括検証できるWebシミュレーションツール「ROHM Solution Simulator」に熱解析機能を追加、ローム公式Webサイト上で公開しました。

ROHM Solution Simulatorの熱解析機能

ROHM Solution Simulator」は、ローム公式Webサイト上で動作する無償の電子回路シミュレーションツールであり、部品選定やデバイス単体検証からシステムレベルの動作検証まで、幅広い目的でシミュレーションすることができます。ロームが提供するSiCデバイスなどのパワー半導体と、駆動や電源用途などの各種IC、およびシャント抵抗器などの受動部品を、ユーザーの実環境に近いソリューション回路で簡単かつ高精度に一括検証できるため、ユーザーのアプリケーション開発工数削減に大きく貢献できるツールとして好評をいただいています。

今回新たに追加した熱解析機能は、IGBTとシャント抵抗器を搭載したPTC Heater(内燃機関を持たない電気自動車専用のヒーター)をはじめ、DC/DCコンバータICやLEDドライバICなど、電子回路設計において熱が課題となりやすいアプリケーションやデバイスのソリューション回路に対して実装。パワー半導体とICおよび受動部品を組み合わせたソリューション回路に対しオンライン上で電気・熱連成解析*1できる業界唯一の機能により、アプリケーション動作時の半導体チップ温度(ジャンクション温度)はもちろん、端子温度や基板上部品の熱干渉まで、従来1日かかっていた熱解析シミュレーションを10分以内(従来比100分の1以下の時間)で実行することができます。これにより、従来実機試作後に実測して確認することが多かったデバイスの各所温度を、実機試作前に素早く簡単に確認できるため、試作後の手戻りを減らし、熱が課題となるアプリケーションの開発工数削減に貢献します。
なお、本シミュレータは、ロームの公式Webサイトでユーザー登録を行うだけで使用可能です。合わせて、下記ROHM Solution Simulatorページでは、シミュレータへのアクセスに加えて、ユーザーが使用するにあたって必要となるドキュメントや動画も公開しています。

ROHM Solution Simulatorページ https://www.rohm.co.jp/solution-simulator

今後ロームは、最新SiCデバイスを中心として、「ROHM Solution Simulator」に対応するソリューション回路に熱解析機能も実装していくことで、アプリケーション開発のさらなる工数削減やトラブルの未然防止に貢献していきます。

<背景>

自動車や産業機器に限らず、あらゆるアプリケーション開発において、開発工数削減を目的にシミュレーションが活用されています。電子回路基板の設計においても、シミュレーションは部品選定の手間を減らし、実機検証前に問題点を抽出できることから、基板の試作・評価に関する工数を大幅に削減することができます。
ロームは、自動車や産業機器分野に向けて、大電力を供給するパワー半導体とパワー半導体を駆動するICの性能を最大限に引き出すアプリケーション回路の開発・サポートに注力しており、2020年にパワー半導体とICなどを一括検証できる「ROHM Solution Simulator」をリリース。無償でありながら、その応用力と精度の高さに好評をいただくなかで、回路動作と一緒に温度もシミュレーションしたいという要望が多くあり、新たに熱解析機能を追加しました。

<熱解析機能の概要>

電子回路基板には、放熱性能を左右する複数のパラメータ(層数、面積など)が存在します。「ROHM Solution Simulator」の熱解析機能は、実基板から算出した放熱に関するパラメータを熱流体解析ツールで3Dモデル化し、電気回路シミュレータで熱解析できるよう1Dに低次元化して、電気と熱を連成解析することで実現しています。アプリケーション動作時に変化する半導体チップ温度(ジャンクション温度)はもちろん、端子温度や基板上部品・モジュール内チップの熱干渉に対して、従来1日かかっていた熱解析シミュレーションを10分以内(従来比100分の1以下の時間)で実行することができます。
今回、第一弾として、その熱解析機能をIGBTとシャント抵抗器を搭載したPTC Heater(内燃機関を持たない電気自動車専用のヒーター)をはじめ、DC/DCコンバータIC「BD9G500EFJ-LA」やLEDドライバIC「BD18337EFV-M」「BD18347EFV-M」などのソリューション回路に実装。電子回路設計時に熱が課題となりやすいアプリケーションやデバイスにおいて、実機試作前にデバイスの各所温度をシミュレーション上で素早く確認可能にすることで、アプリケーションの開発工数削減に貢献します。

熱解析機能の概要

●熱解析機能でできること(詳細)

熱解析機能でできること

●熱解析機能に対応するソリューション回路および一覧(ニュースリリース時点)

熱解析機能に対応するソリューション回路および一覧

<ROHM Solution Simulatorの特長>

ROHM Solution Simulator」は、業界でも珍しいパワー半導体とICおよび受動部品の一括検証を可能にする無償のWebシミュレータとして、電子回路設計者・システム設計者のアプリケーション開発工数を削減する下記の特長を備えています。

1. アプリケーション環境に近いソリューション回路で、パワー半導体とICを一括検証可能

アプリケーション環境に近いソリューション回路で、パワー半導体とICを一括検証可能

ROHM Solution Simulator」は、ロームが提供するSiCデバイスやIGBTなどのパワー半導体と、駆動IC・電源ICなどのIC、シャント抵抗器などの受動部品を、実際のアプリケーション環境に近いソリューション回路で簡単かつ高精度に検証することができます。デバイス単体だけでは見えない特性を周辺回路も含めて一括でシミュレーションすることが可能です。

 

2. シミュレーションデータをユーザー自身の開発環境に引き継ぐことが可能

ROHM Solution Simulator」は、電子設計自動化ソフトウェア業界大手で、自動車業界と産業機器業界に広く実績を持つシーメンス EDA社製シミュレーションプラットフォーム「PartQuest™」を採用して開発されています。既存のPartQuestユーザーもしくは新規にPartQuestアカウントを登録したユーザーは、「ROHM Solution Simulator」で実行したシミュレーションデータを自身のPartQuest環境(ワークスペース)に組み込むことができるため、カスタマイズなども含めて、より実使用に近いシステム回路でも検証することが可能です。

<ROHM Solution Simulatorページについて>

ロームの下記公式Webサイト上のROHM Solution Simulatorページにアクセスして、ユーザー登録を行うだけで、簡単にROHM Solution Simulatorを使うことができます。また、ROHM Solution Simulatorの使用に必要なドキュメントや動画も公開しています。

ROHM Solution Simulatorページ https://www.rohm.co.jp/solution-simulator

ROHM Solution Simulatorページについて

ROHM Solution Simulatorページについて

<シーメンス EDA社が提供するPartQuest™ について>

電子設計自動化ソフトウェア業界大手で、自動車業界と産業機器業界に広く実績を持つシーメンスEDAが提供するPartQuestは、統合基板設計ライブラリ環境の構築のために様々な情報を入手することができるクラウド型のソフトウェアサービス(SaaS)です。その環境の一部であるPartQuest Exploreは、最新のマルチドメインシミュレーションが実施でき、インターネットブラウザからのアクセスに対応しているため、PC環境からいつでもどこでも会社にいるときと同じように解析ができます。また暗号化されたVHDL/AMS、SPICEモデルをサポートしていることから、シーメンス EDAのPCB設計環境(Xpedition™シリーズ)へのインポートが可能です。

※PartQuestやXpeditionなど、本発表に関連するシーメンスの商標一覧はこちらです。

<用語説明>

*1) 連成解析
電気、熱、流れなど、異なる2つ以上からなる領域の連成現象を取り扱い、定常および過渡の状態を計算する解析手法。

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