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SiCに関する国際会議「ICSCRM2019」24年ぶりに日本の京都で開催

10/30/2019

9/29(日)~10/4(金)に日本の京都国際会議場で、炭化ケイ素(SiC)及び関連材料に関する国際会議『ICSCRM(International Conference on Silicon Carbide and Related Materials)2019』が開催されました。

ICSCRMは、SiCおよびその他のワイドバンドギャップ(WBG)半導体に関する全ての分野において、各国の研究者が最新の研究結果を披露する場で、展示会も併設されています。SiCパワーデバイスの第一人者である京都大学 松波名誉教授が中心となり、1987年にアメリカのワシントンD.C.から始まりました。その後は日本、アメリカ、ヨーロッパが持ちまわりで2年ごとに開催しています。今回は24年ぶりに京都で開催。1,200名を超える、SiCに関係する研究の第一人者や経験豊富なエンジニア、学生が世界中から参加しました。

ICSCRM2019の会場の様子
ICSCRM2019の会場の様子

本国際会議において、ロームはDiamond Sponsorsとして協賛するとともに、「SiC MOSFETのスイッチング能力を最大化する駆動回路技術」について発表しました。
一般的に、SiCを含むパワー半導体には導通損失とスイッチング損失がありますが、電力損失を低減するためには、特にスイッチング損失をいかに減らすかが課題となります。従来の駆動回路では、SiC MOSFETの高速スイッチング能力を引き出しきれていませんでしたが、今回ロームがオーラルプレゼンテーションで発表した新しい駆動回路は、コンデンサを付与することでさらなる高速スイッチングが可能となり、駆動回路全体のスイッチング損失を25%以上低減することができます。この技術は、太陽光発電システムのパワーコンディショナーなどでの活用を期待しています。
また、ポスターセッションでは、「SiCのデバイス特性を解析するための新しいモデリング手法」を発表。
本格的な普及期にあるSiCですが、高効率、高周波駆動などのデバイス特性を最大限に引き出して使うには回路設計が難しいという課題がありました。この課題解決に役立つのが、シミュレーションを用いた回路設計です。今回発表したSiC MOSFETの新しいデバイスモデリング手法は、回路設計に欠かせないスイッチング特性において、実測と非常に近い結果を得ることができるため、高精度な回路シミュレーションが可能になります。

さらに10/1(火)にはローム主催イベントとして、ICSCRM2019に参加された方々向けに、講演会およびウェルカムパーティを開催しました。
講演会では、研究開発センター センター長 中原氏が挨拶するとともに、パワーデバイス生産本部 本部長 伊野氏からローム製SiCパワーデバイスの最新状況について紹介しました。そして特別講演として、松波名誉教授に京都大学での基礎研究時代の話から最近の各アプリケーションでの採用事例に至るまで、SiCの歴史と今後の期待について語って頂きました。その後会場を移し、冒頭に取締役兼LSI開発本部長 立石氏および京都大学 木本教授からご挨拶を頂き、ウェルカムパーティがスタートしました。参加された方々同士話は盛り上がり、非常に活気のあるイベントとなりました。

ローム主催イベント
ローム主催イベント

ロームのSiCへの取り組みについてはこちらをご覧ください。
https://www.rohm.co.jp/analogpower/powertech