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No.1の電源技術を目指して ロームの最先端技術が時代のニーズを満たす

09/25/2019

社内で「アナログパワーNo.1」が合言葉になった2014年。ロームは、LSIの中で主軸の一端を担っている電源ICにおいて、技術開発専門の部署を設立しました。これまでのように製品開発のエンジニアが技術開発も行うのではなく、技術開発に専念することで、世界で戦える技術が生まれることを期待していたからです。

こうした中、自社の「回路設計」「レイアウト」「プロセス」、3つの先端アナログ技術を結集して誕生したのが、「Nano電源技術」です。今回、Nano電源技術の中から、時代のニーズを満たす2つの技術「Nano Pulse ControlⓇ」と「Nano EnergyⓇ」の開発を先導してきた2人のエンジニアに話を聞きました。

 

自動車システムの簡略化に貢献する
「Nano Pulse ControlⓇ」

自動車分野では、2020年に向けて各国で規制目標を制定しており、この数値を実現するために各社が電動化車両の開発に取り組んでいます。中でも、低コストで高いCO2削減効果が見込める48Vのリチウムイオンバッテリーを使用したマイルドハイブリッド車に注目が集まっています。

新たに開発したNano Pulse ControlⓇは、この48Vバッテリーを搭載するアプリケーションの小型化やシステムの簡略化に最適な技術です。スイッチングオン時間(電気信号を切り替える時間)を業界最小の9ns以下にしても、安定した電圧を出すことができるのが最大の特長です。この技術を採用した電源は、従来高電圧のバッテリーから低電圧の各ECUに二つのICを用いて電圧変換していたものを、一つのICで変換できるため、部品を大幅に削減することができるようになります。

第一線で製品開発を進めてきた山口は、他社の技術開発についてお客様に指摘されたことが世界一技術を目指すきっかけになったと言います。しかし、革新的な技術の開発は、一筋縄でいくものではありませんでした。

「Nano Pulse ControlⓇの開発において、もちろん失敗に終わった取り組みもありました。しかし、真正面からその失敗に向き合うか、アプローチを変えるか悩んだ結果、従来と全く違うアプローチを選んだことで、他社の追随を許さない技術を開発することができたのだと思います。世界トップレベルで戦えていることが実感でき、エンジニアとしての自信につながりました。また、今回業界最高の性能を達成したことで、他のエンジニアは違ったアプローチでそのゴールまで到達しようと試行錯誤します。こうした技術全体の底上げにつながる点が、技術開発の面白いところでもあります。」と山口は語ります。

 

48Vバッテリーは、自動車以外にも、建設機器や基地局に代表される産業機器分野でも広く使用されています。小型化のメリットから、今後もNano Pulse ControlⓇの採用範囲は確実に拡がっていくことでしょう。

 

IoT機器の低消費電力化に貢献する「Nano EnergyⓇ」

モノのインターネット(Internet of Things,以下,IoT)により、ウェアラブル端末をはじめとする小型電子機器が普及しています。これらの機器は電池駆動するケースが多く、連続的かつ長時間の使用や小型化が重要なポイントとなっています。

これらの要求を満たすのが、ローム独自の超低電力化技術Nano EnergyⓇです。一番のブレイクスルーは回路設計で、各回路で消費電流を極限まで減らすための工夫がされています。この技術を製品に採用することで、従来品と比較して待機時の消費電流が30%減り、バッテリーの持ちが1.4倍になるため、コイン型電池でアプリケーションの10年間連続駆動が期待できるようになります。

最前線で技術開発に携わってきた鶴山は、大学時代の研究内容を活かすことができ、かつ電源ICにとって普遍的なテーマである「低消費電力」を極めたいという思いから、この技術を手がけることに決めたと言います。そこには業界トップを目指すが故の苦労や楽しみがありました。

「市場で追いかける立場と追いかけられる立場の両方を経験できることが、世界一を目指す醍醐味だと感じています。Nano EnergyⓇが開発される前、市場では低消費電流化が進んでおり、電源ICは消費電流360nAが業界最小とされていました。しかし、当時不可能だと言われていた260nAを競合他社が実現したのです。エンジニアとして絶対に負けたくないという気持ちが、自分のモチベーションにも大きくつながりました。社内にいる電源のエキスパートから知見をもらいながら試行錯誤を繰り返し、世界最小の消費電流180nAを達成できた時の喜びは忘れられません。」と鶴山は語ります。

 

今後、バッテリー駆動の機器は、まだまだ需要が伸びていくと考えられます。さらに、Nano EnergyⓇはエナジーハーベスティングと呼ばれる光や振動などを利用した発電システムにも展開できることから、期待は高まっていくはずです。

 

未来を見据えて

「技術開発を進めるのはもちろんのこと、『Nano電源技術の認知度・ブランド力向上』も重要視しています。目標は、この製品には必ずNano電源技術が入っている(=なくてはならない技術)というイメージを持ってもらうことです。そのためにも一製品で終わらせるのではなく、継続して様々な製品にこの技術を活用し、群(シリーズ)として認識して頂く必要があります。ブランド構築には時間がかかりますが、シリーズのラインナップ拡充とブランド訴求を根気強く取り組んでいくことで、実現できるものと確信しています。」と山口は続けます。

お客様からお声掛けいただく機会が増え、さらに磨きがかかっているNano電源技術。今後も、この技術を駆使した高性能・高信頼性な製品を開発することで、ロームは社会課題の解決に貢献していきます。

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