Back

ロームとロボコンのディープな関係

01/17/2021

ロボコン

1. ロームとロボットコンテスト

笑いあり涙あり、理系学生の甲子園ともいえる熱狂的なロボコン3大会が、今年はオンライン開催というカタチで幕を閉じました。

ロームは、大会の目的である若いエンジニアたちの「モノづくり」に対する情熱と能力の育成に深く賛同し、国内外3つのロボコン(ロボットコンテスト)に協賛しています。またロームでは、ロボコンオリジナルのモータドライバの開発と提供、製品の配布、またオウンドメディア「Device Plus(デバプラ)」での情報発信など、さまざまなサポートを実施しています。

その一環で、ロボコンに携わってきたロームの社員へのインタビューを行いました。高専ロボコンのOBの視点でみたロボコンと協賛社の関係や、高専ロボコンでの経験がエンジニアとなった今どのように影響を与えたか、また学生と二人三脚で作り上げたロボコン専用モータドライバの開発秘話などをお伝えします。

NHK学生ロボコン(通称:学生ロボコン)

日本全国の大学が参加するロボットコンテスト。1991年から始まり、ロームは2013年から協賛しています。

ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト(略称:ABUロボコン)

NHK学生ロボコンの優勝チームも出場する世界大会。

高専ロボコン

全国高等専門学校ロボットコンテスト。1988年から始まり、ロームは2015年から協賛しています。

高専ロボコン

2. ロームの社員がロボコンの魅力について語る

ロボコンの経験が活かされていることがエンジニアとしての誇り

SPECIAL INTERVIEW ローム社員インタビュー ロボコンの魅力について語ります

学生時代に高専・学生ロボコンに参加していたロームグループの社員の一人にインタビューを行いました。

高専ロボコンでは、どのような活動をしていましたか?

佐世保工業高等専門学校で4年間、主力メンバーとして高専ロボコン大会出場に向けた部活動に励み、2007年には全国大会に出場し、さらに準決勝まで勝ち進みベスト4を記録しました。

ベスト4を記録したこともあるんですね!
どのような体制で活動しているのですか?

部員数は学校によってそれぞれ違いますが、私は20名ほどのチームに所属していました。学生が各々役割を担いチーム一丸となって東京の両国国技館で開催される全国大会出 を目指しています。

ロボットの骨格を担う金属材料等を工作機械で設計図通りに加工する【機械班】、電子部品や半導体を用いて回路設計する【回路班】、そしてロボットを動かす指示を作りこむ【プログラム班】と大きく3つの役割があり、私は機械班でした。今でも基本的には、どこのチームも似たような構成です。

学生の皆さんそれぞれ責任をもって活動を行っているんですね。
大会までは、どのような流れで進めるのでしょうか?

毎年4月下旬に大会のテーマが発表され、チームで作戦やロボットの構造を考え、10月から始まる地区大会、11月の全国大会に向けてロボットを仕上げていきます。新しいテーマに対して取り組む課題を生徒が自発的に考えて動き、解決方法を探していきます。ロボットの製作以外にも、予算やスケジュールの管理、チームのマネジメント等を行っていました。

学生時代から、自発的に考えて、動き、プロジェクトのマネジメントもされたとは、すごいご経験ですね!
この、高専ロボコンでのご経験は、社会人になり仕事をする上で、どのように活かされましたか?

まず、「モノを良く見る」ということです。
ロボコンでは常に"モノ"を目の前にして活動しており、目の前のエラーに対して手を動かしながら原因や解決策を考えていくことで、初めての機械や製品でも構造や工程を想像する力が身につきました。その経験が今の業務で、製品の不良に至るまでに「何が原因か」「どのような影響があったのか」論理的に考える習慣が身につきました。エンジニアとして、ロボコンで得た経験が活かされていることは大変誇りです。

ロボコンでの経験が現在の仕事の中でも活かされているのですね。
現在は、どのようなお仕事をしていますか。

主に今後ますます需要の拡大が見込まれているSiCパワーデバイスにも使用されるウエハの製造過程の歩留(ぶどまり)改善の業務に携わっています。

SiCパワーデバイスは今後ますます需要の拡大が見込まれており、ロームグループのローム・アポロ株式会社(本社:福岡県)では、2020年12月には筑後工場に生産能力向上に向けて環境配慮型の新棟を竣工しました。

社会人になってからも会場に足を運び観戦し、またローム社員として大会出場チームへのアドバイスをするなど、今でもロボコンとの関係は続いているそうですね。

私が参加していた頃と比べて、近年のロボコンでは自動制御や人との協力といった高度な技術が求められるようになっていると感じています。ただ、難しいと思われたルールに対して、新記録を出すチームも多く、見た目やアイデアにも、今まで以上にこだわったロボットも増えてきている印象があります。そのため、ロボットに詳しくない方が観戦しても楽しめる内容になってきており、モノづくりに携わる学生のこだわりや、あらゆる技術の可能性を感じています。

そのような中で企業がロボコンの一層の盛り上がりに一役買っていけるよう、協賛社であるロームの一員として何かお手伝いをできればと思っています。

エンジニアとしてのスタートを、ロボコンとともに始め、ロボコン参画を通じて得られた貴重な経験や知識が、現在のSiC製造におけるお仕事にも活かされている話が印象的でした。ありがとうございました。

***

企業がモノづくりをする学生を支援するということ

SPECIAL INTERVIEW ローム社員インタビュー ロボコンの魅力について語ります

協賛企業に対する思いについてインタビューを行いました。

学生の頃はロームのことを知っていましたか?

私が高専生の時は、まだロームは協賛していませんでしたが、ロボコン用の電子部品を探していたときに「ローム」の名前を記憶しており、それが入社試験を受けるきっかけの1つになりました。当時の協賛企業から電子部品を送っていただいた時にとても嬉しかった気持ちは今でも忘れていません。ロームに入社後、自分の勤めている会社がロボコンに協賛することを知ったときは、とても嬉しく感じました。

「高専ロボコンに参加した学生」「協賛企業の社員」という、
2つの立場からロボコンに関わることでの気づきはありましたか?

ロームでは毎年、ロボコン専用のモータドライバの開発や、その他の製品の提供、ロームバッグといったノベルティのプレゼント、さらにデバプラ(「Device Plus」モノづくりを愛するエンジニアやエンジニアを目指す方々に情報配信するロームのWebサイト)でのインタビュー記事や、大会のアーカイブコンテンツである「解剖計画」の制作など、幅広い支援を行っていますね。

大会の前日には会場のピットを協賛企業の社員がまわって、学生たちとコミュニケーションを取る時間があります。実際に、「ロームさんの○○というデバイス使っています!」、「モータドライバよかったです!」と直接学生たちからローム製品の感想を聞き、ノベルティを大切にしてくれている様子を間近にすると、学生たちにとって協賛企業は、ただ単に協賛を行う“企業”としてではなく、自分たちを見守ってくれる存在として親近感を持ってくれていると感じました。

※ピット:ロボコンの実大会会場で、出場チームの控室となるスペース。

デバイスの提供などのハード面、直接のコミュニケーションを取ることや記事の発信といったソフト面、協賛企業だからこそ2つの側面からできる「モノづくり」支援が大切だということですね。

応援してくれる人や企業、ロボコンのファンが増えることも学生たちとっては大きな励みになると思います。
私自身、4年間ロボコンに参加して全国大会に行けたのは1回でした。全国大会出場や受賞はもちろん嬉しいですが、制作のプロセスや努力をしている姿を見てくれる存在がいるということも学生にとって大きなモチベーションとなります。

ロームが運営するオウンドメディア「Device Plus(デバプラ)」がロボコンに密着する記事を毎年出しているようなアプローチは学生も嬉しいはずです。そして、それらを見てくださった、より若い世代の中学生や小学生たちが「ロボットを作ってみたい!エンジニアになりたい!」と思ってくれると嬉しいです。

3. ロームのロボコンに対する姿勢

協賛社として「金銭的な支援をする」だけではなく、支援活動の一環として、高専ロボコン専用の“モータドライバ”の開発も行っています。学生からの要望に応えるカタチで実現した企画です。日々学生との二人三脚で開発に勤しむ社員にもインタビューを行いました。

高専ロボコンで使われるロームのモータドライバ

ローム社員インタビュー 高専ロボコン専用モータドライバ開発の裏側

現在の担当業務を教えてください。

ステッピングモータ向けのドライバやブラシ付DCモータドライバの設計をしています。

モータドライバとはどのような部品でしょうか?

実は電気モータは、モータだけではちゃんと動かないのです。モータをオン/オフしたり、ある回転数で回したりなど、モータの回り方を制御するのがモータドライバです。私たちはロボコン用にこの制御ICと制御基板の両方を新規に設計して、高専ロボコンのチームに提供しています。

どのような経緯で開発を進められたのですか?

ロームは2015年からロボコンに協賛していますが、当初は既存のドライバICなどの部品だけを提供していました。何かそれ以上のことができないだろうか、より使いやすいものが提供できないだろうか、と考えたのがきっかけです。

開発に際しては、ロボコンでどのようなモータドライバが求められているのか、実際に使っている学生たちの話を聞くところから始めました。私は京都工芸繊維大学を訪問し、具体的にどのようにモータやロボットを制御しているのか、直接聞きました。彼らの要求をまとめて設計仕様に反映し、ロボコン用のモータドライバICと基板を設計しました。

ロボコン用モータドライバ開発で学んだこと

このモータドライバの開発を通してどのような経験をしましたか?

私が手に持っているのは1年目のときに担当した初めてのドライバで、モータを動作させるところからICの特性評価まで、試行錯誤しながら開発を進めました。
特にモータの動作を含めたアプリケーション評価では、モータを回しながら性能試験をするのですが、音や振動がびっくりするくらい大きくて。70Aもの電流が流れるので発熱もしますし、大電流に怯えながら実験していました(笑)。

思い返すと、DCモータをどうやって回すのか、基礎の基礎からロボコンと共に学んできたと感じます。どのように安全性を確保するのか、多層基板を使ってコンパクトに設計するところとか、その時に学んだことは、すべて無駄なく今の業務に活かされています。

ロボコンには2018年からモータドライバを配布していますが、
学生からの評判はいかがでしょうか。

新入生が入ってきた時に、ロームのモータドライバを使って、モータの基本動作や、モータドライバの仕組みなど、教育用途で使っていますという声を何校からいただいています。
また、ロボコンでよく使われるArduino(アルドゥイーノ)やRaspberry Pi(ラズベリー パイ)といった、マイコンに合わせたインターフェースが欲しいという声もあり、より使いやすくなるよう改良する余地はあると思います。

ロボコンへの協賛社として、どのような想いで取り組みましたか?

独自に回路を組んでドライバを作っているチームも多いのですが、例えば異常を検知する機能がないものもあります。ロームが提供しているモータドライバは電流保護の仕組みや、電源電圧の低下を検知する信号などを持っています。メーカーならではのノウハウの詰まったボードなので、そういうところも学び取ってもらえたらと思います。

電子部品のプロとしての心がけ

ローム社員インタビュー 高専ロボコン専用モータドライバ開発の裏側

今回の経験は、日々の仕事にどのように反映されていると思いますか?

ロボコンに携わっている学生たちの熱量がとにかくすごいと感じました。
自分でどんどん探求して知識をつけていくところ。失敗を恐れることなく、何でも一度作ってみるというチャレンジの姿勢にはとても刺激を受けました。私も、自分が担当するモータドライバだけでなく、お客様が作っている製品全体を考えられるよう、自分の知見を広げていく必要があることに気づかされました。

最後に、モータドライバについての想いを聞かせてください。

自分が開発したモータドライバが実際にお客様にお使いいただいているのを見るのは嬉しいし、モチベーションがあがります。ぜひロボコン全国大会で活躍するのを見たいですね。

ロボコンモータドライバの開発を通して、ロボット制御に必要な技術や特性のヒントをつかみ、実製品の開発に還元できるよう、今後も開発を進めていきます!

4. おわりに

「ロボコンに実際に参加していた社員」と、「ロボコン専用製品を開発した社員」からの貴重な経験の話から、協賛社としての支援の大切さや今後の課題も浮かび上がってきました。
今後もロームはロボコンなどの活動を通じ、学生への支援を継続して行います。

「ロームとロボコン」の元記事はこちら

https://www.facebook.com/RohmSemi/posts/2111414105659610

ロボコン会場