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トランジスタとは? 素子温度の計算方法

 

ジャンクション温度の計算方法1:
周囲温度から(基本)

ジャンクション温度(またはチャネル温度)は、周囲温度や消費電力から計算することが可能です。 熱抵抗の考え方から、

ジャンクション温度の計算方法

*Rth(j-a):ジャンクション-雰囲気間の熱抵抗は実装する基板によって異なりますが、
弊社標準の基板に実装したときの値を「代表的なパッケージの抵抗値」に示します。
Rth(j-a)の値は個々のトランジスタによって異なりますが、パッケージが同じであればほぼ近い値になると考えられます。

**消費電力が一定でなく、時間変化している場合は平均消費電力で近似的に計算します。
平均消費電力の求め方は『トランジスタの使用可否判定方法』を参照してください。

例として、Rth(j-a)が250℃/Wで周辺温度が25℃のときの、消費電力とジャンクション温度の関係を示します。

ジャンクション温度 vs. 消費電力

消費電力に比例してジャンクション温度が上昇します。そのときの比例定数がRth(j-a)です。Rth(j-a)が250℃/Wなので、ジャンクション温度は消費電力が0.1W増えるごとに25℃上がります。消費電力が0.5Wのときにジャンクション温度が150℃になるので、この例では0.5W以上の電力をかけられないことがわかります。

次に、Rth(j-a)は同じく250℃/Wで、周囲温度が変化した場合を考えます。

ジャンクション温度 vs. 消費電力

つまり、同じ印加電力でも周囲温度が上がるとその分ジャンクション温度が上がるので、印加できる電力が小さくなります。熱抵抗だけでなく、周囲温度によっても最大消費電力が影響を受けます。周囲温度が150℃のときに印加できる電力はゼロになるので、
100% ÷(150℃-25℃)=0.8%/℃
の割合で最大消費電力が小さくなることが分かります。

この関係を示したのが、次の電力軽減曲線です。

電力軽減曲線

電力軽減曲線は軽減率がパーセンテージで示してあるので、全てのパッケージに当てはめること ができます。例えば、MPT3パッケージでは25℃のとき最大印加電力は0.5Wですが、0.8%/℃の割合で印加できる電力が小さくなっていき、50℃では80%(20%減)の0.4Wに、100℃では40% ( 60%減)の0.2Wになります。

ジャンクション温度の計算方法2:
周囲温度から(過渡熱抵抗)

「1.周辺温度から(基本)」では、電力が連続的に印加されるときの例を考えました。次に、瞬間的な電力印加による温度上昇を考えます。瞬間的な電力印加による温度上昇は、過渡熱抵抗を用いて計算します。

過渡熱抵抗データの例 (2SD2675)

このグラフは、過渡的な熱抵抗(過渡熱抵抗)を示しています。横軸がパルス幅、縦軸が熱抵抗Rth(j-a)となっており、印加時間が長くなるにつれてジャンクション温度が上昇し、200秒くらい経つと熱飽和して一定の温度に達することが分かります。

例えば、印加時間が30msではRth(j-a)は20℃/W なので、周囲温度25℃で3Wの電力を 30msの間印加するとジャンクション温度は

計算式

になることが分かります。
瞬間的な電力が単発で印加される場合はこの計算でジャンクション温度を求めることができます。

ジャンクション温度の計算方法3:
ケース温度から

ケース温度からジャンクション温度を求めることが可能です。
ジャンクション-ケース間Rth(j-c)の熱抵抗からの計算式は

ジャンクション温度の計算方法

*ロームでは標印面の最高温点の温度を放射温度計で測定しています。測定方法によって大きく変わりますのでご注意ください。
**消費電力が一定でなく、時間変化している場合は平均消費電力で近似的に計算します。

ただし、特にRth(j‐c)の値は実装している基板やはんだ付けなどの放熱条件によって大きく変化しますので、弊社標準基板での測定値がお客様の基板では当てはまらない場合が多いのでご注意ください。

例として、基板のコレクタランド面積が大きくなるにしたがってRth(j‐c)が小さくなる例を示します。(コレクタランドの面積・厚さ・材質のほか、基板の材質、大きさ、配線サイズなどによっても変化します。)

2SD2673 (TSMT3) Rth(j-c) vs コレクタランド面積

このように、Rth(j‐c)の値は基板条件などによって変化しやすく、しかも正確なケース温度測定も難しいので、ジャンクション温度を推定する方法としてはあまりお勧めできません。

ジャンクション - ケース間熱抵抗Rth(j-c)について

ジャンクション-ケース間熱抵抗Rth(j-c)は、もともとTO220パッケージなどの自立型デバイスを放熱板に固定して使用する場合に使う値です。この場合、ケース-放熱板間が主な放熱経路なので、その経路の途中にあるケース温度を計測することによってジャンクション温度を正確に求めることができます。特に、理想的な放熱性をもつ放熱板(無限大放熱板)を使用すると想定する場合は放熱能力を無限大と考えて、ケース温度=大気温度 として扱い、(Tc=25℃ などと表現します)ケース温度=25℃として計算することがあります。(無限大放熱板の熱抵抗:Rth(c-a)=0なので、Rth(j-a)=Rth(j-c)となります。)

解説図

しかし、面実装タイプのデバイスの場合はデバイスの下の基板からの放熱が主な放熱経路なのでその部分のケース温度を測定するのは困難です。デバイスの標印面の温度を測っても、放熱量全体に比べて標印面からの放熱の割合はかなり小さいため、ジャンクション温度を推定するための値としては適しません。

面実装デバイスの場合

面実装品についてもRth(j-c)の値を知りたいという要求は多いため、弊社標準基板に実装して標印面温度を測定し、Rth(j-c)の値を提出している場合があります。このときのRth(j-c)は弊社標準基板に実装した場合の、特別な条件での値になります。弊社標準基板と異なる基板に実装した場合は、標印面からの放熱の割合が変わってしまうため、Rth(j-c)の値が変わり、ジャンクション温度を推定することはできません。

代表的なパッケージの抵抗値

  • このデータは特定LOTの測定をもとに作成しています。従って、本データは参考値としてご活用下さい。(保証値や最大・最小値ではありません。)
  • Rth(j-a)は、実装基板やはんだ付けによる放熱条件や温度測定方法によって大きく変化しますので、あくまでも参考値としてご活用下さい。
パッケージ VMT3 EMT3 EMT5 EMT6 TUMT3
実装基板 VMT3 EMT3 EMT5 EMT6 TUMT3
FR4基板寸法
(unit:mm)
20×12×0.8 20×15×0.8 20×15×0.8 20×15×0.8 20×12×0.8
Rth(j-a)/
Rth(ch-a)
833℃ / W 833℃ / W 1042℃ / W 1042℃ / W 313℃ / W
備考 1素子のみ動作時 1素子のみ動作時
パッケージ TUMT6 UMT3 UMT5 UMT6 SMT3
実装基板 TUMT6 UMT3 UMT5 UMT6 SMT3
FR4基板寸法
(unit:mm)
15×20×0.8 20×12×0.8 20×15×0.8 15×20×0.8 20×12×0.8
Rth(j-a)/
Rth(ch-a)
313℃ / W 625℃ / W 1042℃ / W 1042℃ / W 625℃ / W
備考 1素子のみ動作時 1素子のみ動作時 1素子のみ動作時
パッケージ SMT5 SMT6 TSMT3 TSMT5 TSMT6
実装基板 SMT5 SMT6 TSMT3 TSMT5 TSMT6
FR4基板寸法
(unit:mm)
20×15×0.8 20×15×0.8 30×15×0.8 20×15×0.8 20×15×0.8
Rth(j-a)/
Rth(ch-a)
625℃ / W 625℃ / W 250℃ / W 250℃ / W 250℃ / W
備考 1素子のみ動作時 1素子のみ動作時 1素子のみ動作時 1素子のみ動作時
パッケージ SOP8 MPT3 CPT3 SST3
実装基板 SOP8 MPT3 CPT3 SST3  
FR4基板寸法
(unit:mm)
20×20×0.8 12×20×0.8 12×30×0.8 20×12×0.8  
Rth(j-a)/
Rth(ch-a)
160℃ / W 250℃ / W 125℃ / W 625℃ / W  
備考 1素子のみ動作時  

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