高温高湿環境下で業界最高水準の信頼性を実現した
1700V フルSiCパワーモジュール「BSM250D17P2E004」

2018年10月26日

※10月26日 ローム調べ

<要旨>

ローム株式会社(本社:京都市)は、屋外発電システムや充放電試験機などの評価装置をはじめとする産業機器用電源のインバータ、コンバータ向けに、業界最高水準の信頼性を実現した1700V 250A定格保証のフルSiCパワーモジュール「BSM250D17P2E004」を開発しました。

近年、SiCはその省エネ効果から、自動車や産業機器などで1200V耐圧品を中心に採用が進んでいます。各種アプリケーションでの高機能化にともないシステムの高電圧化が進み、1700V耐圧品の需要がますます高まってきました。しかし、信頼性の観点から商品化が困難とされ、1700V耐圧品としては一般的にIGBTが使用されていました。

こうした中、ロームは1200V耐圧品で好評だった省エネ性能を維持したまま信頼性を向上させ、1700V定格フルSiCパワーモジュールの商品化を実現しました。

今回新たに開発したモジュールは、新しいコーティング材料と新工法を導入することで、絶縁破壊を防ぎリーク電流※1)の増加を抑えることに成功。高温高湿バイアス試験(HV-H3TRB)※2)において、1,000時間を超えても絶縁破壊を起こさない高信頼性を実現しました。これにより、高温高湿度環境下でも安心して1700Vの高耐圧を扱うことができます。

また、モジュールにはローム製SiC MOSFETおよびSiC ショットキーバリアダイオード(SBD)を採用しており、モジュールの内部構造を最適化することで、同等クラスのSiC製品に比べて10%優れたオン抵抗性能を達成。アプリケーションの省エネ化にも貢献します。

なお、本モジュールは、10月から量産を開始します。生産拠点は前工程がローム・アポロ株式会社(福岡県)、後工程がローム本社工場(京都市)となります。

今後も、お客様に安心して使用頂ける製品のラインアップ拡充に加えて、SiCモジュールを容易に試すことができる評価ボードなどを用意し、更なる需要拡大を目指してまいります。

<特長>

1.高温高湿環境で業界最高水準の信頼性を確保

モジュールは、チップの保護対策として新しいコーティング材料と、新工法を導入し、HV-H3TRBをクリアしたことで、1700V耐圧品の商品化を実現しました。

例えば、高温高湿バイアス試験において、比較したIGBTモジュールは1,000時間以内に故障の原因となる絶縁破壊が起きますが、BSM250D17P2E004は、85℃/85%の高温高湿環境で1360Vを1,000時間以上印加した場合でも、故障しない高信頼性を実現しています。

 

2.優れたオン抵抗性能で、機器の省エネ化に貢献

今回モジュールに使用されているのは、ローム製のSiC SBDおよびSiC MOSFETです。SiC SBDとSiC MOSFETを最適に配置することで、同等クラスの一般品に比べて10%オン抵抗低減を実現しました。これにより、アプリケーションの省エネ化に貢献します。

 

<SiCパワーモジュールのラインアップ>

品名絶対最大定格(Ta=25℃)イン
ダク
タンス
(nH)
パッケージサーミスタ内部回路図
VDSS
(V)
VGS
(V)
ID
(A)
〔Tc
=60℃〕
Tj max
(℃)
Tstg
(℃)
Visol
(V)
〔AC
1min.〕
BSM080D12P2C0081200-6~2280175-40~125250025C type
45.6x122x17mm
-
BSM120D12P2C005120
BSM180D12P3C007-4~22180
BSM180D12P2E002-6~2218013E Type
62x152x17mm
BSM300D12P2E001300
BSM400D12P3G002-4~2240010G Type
62x152x17mm
BSM600D12P3G001600

BSM250D17P2E004
1700-6~22250  340013E Type
62x152x17mm
  

※ Chopperタイプもラインアップ。詳しくは営業窓口にお問合せ下さい。

<用語説明>

*1) リーク電流
パワーデバイスにおいて、絶縁されている場所でわずかに漏れ出す電流のこと。リーク電流を抑えることで、デバイスの破壊や消費電力の増加を防ぐことができる。
*2) 高温高湿バイアス試験(HV-H3TRB:High Voltage High Humidity High Temperature Reverse Bias)
パワーデバイスを高温高湿の環境下で使用した場合の耐久性を評価する試験。電界や水分による絶縁リーク電流の増加から、絶縁破壊などの故障現象を検出する。
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