2018年10月10日※2018年10月10日現在 ローム調べ<要旨>ローム株式会社(本社:京都市)は、アイドリングストップ搭載車におけるクラスターパネルやゲートウェイなど、昇降圧*1電源を必要とする車載電子制御ユニット(Electronic Control Unit: 以下ECU)に向けて、業界最高の低消費電流と安定性能(過渡応答特性、以下応答性)を実現した昇降圧電源チップセットを開発しました。本チップセットは、昇圧機能付きの降圧DC/DCコンバータ「BD8P250MUF-C」と、昇圧専用IC「BD90302NUF-C」で構成されています。メインの「BD8P250MUF-C」には、新発想の昇降圧制御技術「Quick Buck Booster®」が搭載されており、後段に「BD90302NUF-C」を付加するだけで、性能面で優位な降圧電源の特性を損なうことなく昇降圧電源を構築することができます。このとき、昇降圧電源として、業界最高性能の無負荷時消費電流8µA、出力コンデンサ44µFで出力電圧変動±100mV動作を実現(消費電流は一般品比70%減、出力コンデンサは50%減)できるため、アイドリングストップ搭載車など、短時間に著しい入力電圧低下が発生するアプリケーションの省電力化と安定動作に大きく貢献します。また、「Quick Buck Booster®」の効果により、従来実現できなかった昇降圧電源と降圧電源の電源基板と周辺部品、ノイズ対策の共通化設計ができるため、昇降圧電源と降圧電源をそれぞれ設計する場合に比べて、電源基板に関する開発工数を50%削減することも可能です。2018年9月よりサンプル出荷(サンプル価格 1000円/個:税抜)を開始しており、2019年1月から当面月産10万個の体制で量産を開始する予定です。生産拠点は、前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.になります。今後もロームは、省電力化やシステム最適化を実現する製品・技術を開発し、自動車の進化に貢献していきます。<背景>近年、環境性能が求められる自動車分野において、停車時にエンジンやモーターを止めるアイドリングストップ搭載車が増加しています。そのECUにはアイドリングストップ時のバッテリー電圧低下による機能不全、アイドリングストップ直後のバッテリー変動(クランキング)による誤動作への対策として、昇降圧電源が必要とされていますが、従来の昇降圧電源ICは消費電流と応答性に課題があり、アイドリングストップのさらなる普及に向けて改善が求められていました。ロームは、アナログ設計技術やパワー系プロセスを駆使して実現する、高速パルス制御技術「Nano Pulse Control®」を搭載した製品などで車載電源市場をリードしています。今回は、アイドリングストップの課題を解決する昇降圧制御技術「Quick Buck Booster®」を中心に、ローム車載電源技術の粋を結集した昇降圧電源チップセットを開発しました。 <特長の詳細>1.昇降圧電源で、業界最高の低消費電流と応答性を実現チップセットを構成する降圧DC/DCコンバータ「BD8P250MUF-C」には、アナログ設計技術を駆使して開発した昇降圧制御技術「Quick Buck Booster®」が搭載されており、昇降圧電源と比べて性能面で優位な降圧電源の特性を損なうことなく、昇降圧電源へと簡単に切り替えることができます。このため、昇降圧チップセット時にも、無負荷時消費電流8µA、出力コンデンサ44µFで出力電圧変動±100mV動作を実現できるため、業界最高の昇降圧電源(消費電流は一般品比70%減、出力コンデンサは50%減)としてアプリケーションの省電力化と安定動作、そしてコンデンサの小型化・低コスト化に大きく貢献します。 2.業界初、同一基板上で昇降圧と降圧を簡単に切り替え可能Quick Buck Booster®を搭載したチップセット構成にしたことにより、これまで実現できなかった昇降圧電源と降圧電源の電源基板と周辺部品、ノイズ対策の共通化設計ができます。このため、降圧電源から昇降圧電源に昇圧専用ICを追加するだけで簡単に切り替えることができ、昇降圧電源と降圧電源をそれぞれ設計する場合に比べて、開発工数を50%削減できます。 3.低ノイズ性能とAMラジオ帯域不干渉で、安定動作に貢献 「BD8P250MUF-C」には、市場要求の高まりに対応した電磁妨害(Electromagnetic Interference: 以下EMI)ノイズ対策用のスペクトラム拡散機能が搭載されており、自動車分野のノイズに対する国際規範「CISPR25」をクリアする低EMI達成しています。同時に、ローム独自の超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control®」を搭載したことで、AMラジオ帯域(1.84MHz Max.)に影響を与えない2.2MHz動作を常時行いながら、最大で36Vの高電圧入力に対して、ECUが駆動する5Vの安定出力も実現しています。車載ECUの電源に要求される「低電磁妨害性能」「高電圧入力・低電圧出力でAMラジオ帯域不干渉」を両立しており、ノイズが気になる車載システムの安定動作に貢献します。<Quick Buck Booster®について>Quick Buck Booster®は、ロームのアナログ設計技術を駆使して実現する昇降圧制御技術を指します。昇降圧電源と比べて性能面で優位な降圧DC/DCコンバータの特性を損なうことなく、簡単に昇降圧DC/DCコンバータへ切り替えできるようになります。昇降圧電源において降圧電源と同等の特性実現と、周辺部品の小型化や開発工数の削減により、アイドリングストップ搭載車のECUなど、短時間に著しい電圧低下が発生するアプリケーションの安定動作やシステム最適化に貢献します。<その他の製品仕様>構成品番入力電圧範囲出力電圧無負荷時消費電流出力電圧精度動作周波数最大出力電流動作温度範囲昇降圧BD8P250MUF-C2.7V ~ 36V5V8µA(Typ.)±2%2.2MHz0.8A-40 ℃~125 ℃BD90302NUF-C降圧BD8P250MUF-C3.5V ~ 36V5V8µA(Typ.)±2%2.2MHz2.0A-40 ℃~125 ℃<用語説明>*1) DC/DCコンバータ、降圧、昇圧、昇降圧DC/DCコンバータは、電源ICの一種で直流(DC)から直流へ電圧を変換する機能を持つ。一般的に電圧を下げる“降圧”、電圧を上げる“昇圧”が存在する。“昇降圧”は入力電圧に応じて昇圧と降圧を切り替えることができるが、回路が冗長になるため応答性や消費電流に課題がある。この件に関するお問い合わせはこちら
業界最高※の低消費電流と安定性能を実現した、車載昇降圧電源チップセットを開発Quick Buck Booster ®技術がアイドリングストップ搭載車のシステム安定性向上に貢献
新発想の
2018年10月10日
※2018年10月10日現在 ローム調べ
<要旨>
ローム株式会社(本社:京都市)は、アイドリングストップ搭載車におけるクラスターパネルやゲートウェイなど、昇降圧*1電源を必要とする車載電子制御ユニット(Electronic Control Unit: 以下ECU)に向けて、業界最高の低消費電流と安定性能(過渡応答特性、以下応答性)を実現した昇降圧電源チップセットを開発しました。
本チップセットは、昇圧機能付きの降圧DC/DCコンバータ「BD8P250MUF-C」と、昇圧専用IC「BD90302NUF-C」で構成されています。メインの「BD8P250MUF-C」には、新発想の昇降圧制御技術「Quick Buck Booster®」が搭載されており、後段に「BD90302NUF-C」を付加するだけで、性能面で優位な降圧電源の特性を損なうことなく昇降圧電源を構築することができます。
このとき、昇降圧電源として、業界最高性能の無負荷時消費電流8µA、出力コンデンサ44µFで出力電圧変動±100mV動作を実現(消費電流は一般品比70%減、出力コンデンサは50%減)できるため、アイドリングストップ搭載車など、短時間に著しい入力電圧低下が発生するアプリケーションの省電力化と安定動作に大きく貢献します。また、「Quick Buck Booster®」の効果により、従来実現できなかった昇降圧電源と降圧電源の電源基板と周辺部品、ノイズ対策の共通化設計ができるため、昇降圧電源と降圧電源をそれぞれ設計する場合に比べて、電源基板に関する開発工数を50%削減することも可能です。
2018年9月よりサンプル出荷(サンプル価格 1000円/個:税抜)を開始しており、2019年1月から当面月産10万個の体制で量産を開始する予定です。生産拠点は、前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.になります。
今後もロームは、省電力化やシステム最適化を実現する製品・技術を開発し、自動車の進化に貢献していきます。
<背景>
近年、環境性能が求められる自動車分野において、停車時にエンジンやモーターを止めるアイドリングストップ搭載車が増加しています。そのECUにはアイドリングストップ時のバッテリー電圧低下による機能不全、アイドリングストップ直後のバッテリー変動(クランキング)による誤動作への対策として、昇降圧電源が必要とされていますが、従来の昇降圧電源ICは消費電流と応答性に課題があり、アイドリングストップのさらなる普及に向けて改善が求められていました。
ロームは、アナログ設計技術やパワー系プロセスを駆使して実現する、高速パルス制御技術「Nano Pulse Control®」を搭載した製品などで車載電源市場をリードしています。今回は、アイドリングストップの課題を解決する昇降圧制御技術「Quick Buck Booster®」を中心に、ローム車載電源技術の粋を結集した昇降圧電源チップセットを開発しました。
<特長の詳細>
1.昇降圧電源で、業界最高の低消費電流と応答性を実現
チップセットを構成する降圧DC/DCコンバータ「BD8P250MUF-C」には、アナログ設計技術を駆使して開発した昇降圧制御技術「Quick Buck Booster®」が搭載されており、昇降圧電源と比べて性能面で優位な降圧電源の特性を損なうことなく、昇降圧電源へと簡単に切り替えることができます。
このため、昇降圧チップセット時にも、無負荷時消費電流8µA、出力コンデンサ44µFで出力電圧変動±100mV動作を実現できるため、業界最高の昇降圧電源(消費電流は一般品比70%減、出力コンデンサは50%減)としてアプリケーションの省電力化と安定動作、そしてコンデンサの小型化・低コスト化に大きく貢献します。
2.業界初、同一基板上で昇降圧と降圧を簡単に切り替え可能
Quick Buck Booster®を搭載したチップセット構成にしたことにより、これまで実現できなかった昇降圧電源と降圧電源の電源基板と周辺部品、ノイズ対策の共通化設計ができます。
このため、降圧電源から昇降圧電源に昇圧専用ICを追加するだけで簡単に切り替えることができ、昇降圧電源と降圧電源をそれぞれ設計する場合に比べて、開発工数を50%削減できます。
3.低ノイズ性能とAMラジオ帯域不干渉で、安定動作に貢献
「BD8P250MUF-C」には、市場要求の高まりに対応した電磁妨害(Electromagnetic Interference: 以下EMI)ノイズ対策用のスペクトラム拡散機能が搭載されており、自動車分野のノイズに対する国際規範「CISPR25」をクリアする低EMI達成しています。同時に、ローム独自の超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control®」を搭載したことで、AMラジオ帯域(1.84MHz Max.)に影響を与えない2.2MHz動作を常時行いながら、最大で36Vの高電圧入力に対して、ECUが駆動する5Vの安定出力も実現しています。
車載ECUの電源に要求される「低電磁妨害性能」「高電圧入力・低電圧出力でAMラジオ帯域不干渉」を両立しており、ノイズが気になる車載システムの安定動作に貢献します。
<Quick Buck Booster®について>
Quick Buck Booster®は、ロームのアナログ設計技術を駆使して実現する昇降圧制御技術を指します。昇降圧電源と比べて性能面で優位な降圧DC/DCコンバータの特性を損なうことなく、簡単に昇降圧DC/DCコンバータへ切り替えできるようになります。昇降圧電源において降圧電源と同等の特性実現と、周辺部品の小型化や開発工数の削減により、アイドリングストップ搭載車のECUなど、短時間に著しい電圧低下が発生するアプリケーションの安定動作やシステム最適化に貢献します。
<その他の製品仕様>
電圧
消費電流
電圧
精度
周波数
出力
電流
<用語説明>
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