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ブランドの変遷からみるロームの歴史

09/18/2018

2018年9月17日、ロームは設立60周年を迎えました。
これを機に、創業から現在に至るまでのロームの歴史を振り返っていきたいと思います。

抵抗器の発明、そして抵抗器メーカーへ

ロームは1954年、「並行リード型固定抵抗器」という画期的な実用新案の登録からスタートし、1958年9月17日に株式会社 東洋電具製作所として設立されました。この頃一般的に使用されていた抵抗器は、鉛筆ほどの太さのソリッド抵抗器が主流でしたが、ロームが取り組んでいたのは、鉛筆の芯くらいの細さの小型抵抗器でした。試行錯誤の上開発された日本発の小型抵抗器は、シンプルな構造でありながら、従来の抵抗器の問題点を一挙に解決する画期的な製品でした。そして、1966年にロームの礎となる企業目的を掲げ、品質第一のモノづくりを徹底すると、またたく間に抵抗器のトップメーカとなりました。加えて、抵抗器(Resistor)の頭文字「R」に抵抗値の単位Ω(ohm)を組み合せ、 「R」信頼性(Reliability)にも通じた「R.ohm(アール・オーム)」のブランド名が浸透していったのもこの頃でした。

1954年に東洋電具製作所が起業された京都市の町屋

 

半導体のラインアップを拡大し、総合電子部品メーカーへ

エレクトロニクス業界が、真空管からトランジスタ、トランジスタから集積回路へと移行をはじめていた時代、抵抗器の高品質・高信頼性が認められ、着実な成長をとげていたロームは、新たなニーズ開拓を使命として、半導体部門の研究・開発をスタートさせました。未知の分野である半導体部門への進出でしたが、「いかなる逆境においても、積極的に活路を見出す」ベンチャー精神と品質第一の考えを大切にしたモノづくりで、着々とラインアップを増やしていきました。1971年にはアメリカ シリコンバレーに日本企業で初めて進出するなど、現在に至るまで国内外で数々のチャレンジを繰り返しています。その後、チップ抵抗器やデジタルトランジスタ、モータードライバ、電源ICなど業界をリードする発明や新商品を数多く生み出しました。そして、1981年、名実ともに総合電子部品メーカーとなった東洋電具製作所は、社名を現在の「ROHM(ローム)株式会社」に変更し、成長を加速させていきました。

シリコンバレーでの会社設立を祝うメンバー

 

創業のベンチャー精神を持ち、顧客満足に挑戦し続ける

2000年に入ってからもロームのチャレンジは留まることを知りません。
機器の大幅な省エネ化に貢献する次世代デバイスSiCや、世界最高性能を謳うアナログ技術、世界最小サイズの電子部品RASMID(ラスミッド)シリーズなど、常に顧客満足に挑戦する製品づくりを続けています。
また、こうした幅広い製品をより多くの方に使って頂くために、様々な国、地域にテクノロジーセンターを開設し、海外のお客様からの要望にすぐに現地で対応できる体制も整えてきました。
創立50周年を機に2009年から導入した新ブランド「ROHM SEMICONDUCTOR」。創業時のベンチャー精神を示す情熱の赤をベースとして、モノづくりのDNAを示しているROHMに、半導体メーカーを示すSEMICONDUCTORが加わりました。この新しいブランドには、グループ全体が会社の原点を忘れることなく、顧客満足に挑戦し続け、社会に貢献できる企業を目指していくのだという強い思いが込められています。

現在のローム京都本社の外観

 

これからの未来へ

この60年は、決して順風満帆ではなく、幾多の困難にも直面してきました。経営環境も大きく変化していますが、創業当時より掲げる「企業目的」に基づき、高品質かつ革新的な製品の提供を通じて、文化の進歩向上に貢献していく姿はこれからも変わることはありません。
現在、ロームでは、技術革新が進む自動車市場をはじめ、省エネ化やIoT化が求められる産業機器市場を中心に、幅広い分野に向けてキーデバイスとなる製品を数多く提供しています。次の100周年にむけ、基盤となる品質をより一層徹底し、社会やお客様の課題を解決するロームグループならではの総合力を活かしたソリューションを提案し、そして世界中のロームグループ社員一人ひとりが個性や能力を存分に発揮することで、今後も社会に貢献していきます。

 

【コラム】 「企業目的」に込められた思い

われわれは、つねに品質を第一とする。
いかなる困難があろうとも、良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、
文化の進歩向上に貢献することを目的とする。

ロームは創業以来、常に”品質第一”をモットーに、業界水準より一ケタ高い保証率を追求し、徹底した品質管理と信頼度管理を行ってきました。他のメーカーの抵抗器の不良率が10万分の1であった昭和39年頃、既に100万分の1を到達していたのです。その後も、業界に先駆けて、全工程の機械化・半自動化を果たすなど、保証率の向上に努めてきました。
会社には社章や社歌といった類のものは一切なく、全ての思いがこの企業目的に込められています。
特長は、誰もが意味を理解することができる「具体的な生きた言葉」である点です。ロームは創業当時から、品質の大切さを実感する出来事に数多く遭遇してきました。そして、文化の進歩向上に貢献するためにも、製品の品質はもちろんのこと、企業活動を支える人の質も大切だと考える風土も確立しました。こうした経験から生み出された生きた言葉は、企業の一本の柱となり、今後も国を超え、また時代を超えて脈々とロームの中に根づき、受け継がれていくでしょう。