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産業機器市場で、品質に妥協することなく 新たなイノベーションを生む

06/12/2018

約60年前に半導体を製造し始めた日本企業のロームは、会社の成長に伴い、多くの変化を経験してきました。 事業と製品ラインアップが拡大し、海外の事務所が設置され、社会貢献のためのCSR活動なども盛んになっています。しかし、ロームの中核である理念は変わらず、品質が最優先事項となっています。

急速に変化するビジネス環境と厳しい市場状況において、技術革新に努めつつ、ロームはどのように成長してきたのか?産機戦略部 部長 上林忠史氏に話を聞きました。

品質の根底にあるのは垂直統合生産システムだと上林氏は言います。シリコンインゴット引き上げからフォトマスクの製造、パッケージングまで、ロームではこうした工程のほとんどを自社で行っています。この垂直統合ラインは、顧客の信頼を得るためのアプローチの一環です 。

「生産プロセスの一部を自社で担い、残りを他の企業に依存する体制だと、品質管理が複雑になりますし、もし万が一トラブルが発生した場合の対処も遅くなってしまいます。ロームでは、確実なトレーサビリティを実現しています。私たちは一から自社で担い、顧客のニーズを満たすよう努めています。」と上林氏は語ります。

特に、産業機器や自動車分野では、高品質と長期安定供給が求められます。工程をしっかりと維持・管理することで、ロームは外的影響を受けにくく、比類のない品質を達成するとともに、長期安定供給が可能となります。

 

また、革新的な製品開発も産業機器分野にとって重要です。そのために必要なのは、現場で顧客と密着したコミュニケーションをとることです。これは、創業以来ロームで実践されてきたアプローチです。

「顧客ニーズに耳を傾け、現場で問題を見て理解する。我々が見つける答えはいつでも現場にあると考えています。」と上林氏は言います。

また、社外だけでなく、社内でのコミュニケーションも大切です。エンジニアは常に情報を共有し合い、他のエンジニアから、顧客から、そして市場から絶えず学ぶ姿勢をもち、革新的な商品開発を実現しています。

 

2012年に産業機器市場に本格参入してから6年目を迎えるロームは、重きを置いている品質が、競合他社との優位性となっていると考えます。世界初となる革新的な製品を数多く開発し、業界を牽引してきたロームは、成長分野のひとつである、スマートファクトリーにも注目しています。ロームはセンサや無線通信デバイスなど幅広い製品を提供しており、こうしたデバイスを機器に組み込むことでIoT化を実現し、環境条件や機器の状態をモニタリングすることができます。装置の稼動状況を視覚化し、収集されたデータを活用することで、効率的な生産が実現でき、また機械の故障を事前に察知することができるようになります。

「産業機器分野は、今後数年間で急激に成長する可能性のある市場です。例えば、クリーンエネルギーを実現するためのインフラ投資や、xEV化に向けた設備投資などがますます加速するのではないかと考えています。ロボットのアームも高性能化されて、非常に小さな部品でも扱えるようになります。またスマートファクトリーもより進化したものになっていくでしょう。」と上林氏は話しています。

現在では企業ごとに独立した製造ラインで部品が生産されており、その様々な部品がセットメーカーに納入されて組み立てられ、最終製品が出来上がります。将来的には全ての工場がインターネット経由で相互接続され、人手を介さずとも完成品がつくれるようになるかもしれません。もしそうなれば、労働時間にも余裕が生まれ、人々はより創造的な仕事に時間を割く事が出来るようになります。

「目まぐるしい変化の中で、ロームで産業機器分野の仕事を担うことができて嬉しく思います。スマートファクトリーをはじめ、今後も産業機器分野に対しては、”省エネルギー・高信頼・安全”という3つをキーワードに、革新的な製品づくりを進め、社会の発展に貢献していきたいと考えます。」と上林氏は語ります。

 

上林氏は、1984年にロームに入社して以来、マーケティングを担当し続けていますが、いつの時代もお客様のニーズを理解した上で、国または地域別のマーケティング計画を策定することが重要になると言います。例えば、オーディオ機器などは、多くの国で小型化が求められる一方、ブラジルやインドでは華やかなデザインで大音量が出せるものが好まれたりします。デバイスを提供する側として、こうした各地域の要望の違いや変化に常にアンテナを張っておく必要があります。

しかし、市場がどのようなものであっても、ロームの「妥協しない高品質なものづくり」への姿勢は、顧客にとっても魅力的な点であると信じています。世の中には、費用対効果を考慮して、一定の基準を満たしていれば良いという考え方もあるのは事実です。その一方で、特に日本には、最高の品質水準を満たしてはじめて、量産と販売をはじめる企業が多数存在します。

品質に加えて、ロームビジネスの成功を後押ししているのは人だと上林氏は言います。

製品そのものが評価されているのはもちろんですが、充実したサポート体制が整っており、細やかな気配りができる点も、顧客がロームを選ぶ理由のひとつです。常に人と人の間でビジネスが行われているということを忘れず、クライアントのニーズを理解した上で、真摯に対応することで、大きな影響を与えることができるのでしょう。

1958年に設立されたロームは、革新的で質の高いビジネスを続けるために、一人一人の貢献を重視しています。