小型、高効率、ハイパワーを兼ね備えた昇圧DC/DCコンバータ「BD1865GWL」を開発
スマートフォンやタブレットなど、モバイル機器の小型化、バッテリー長寿命化に貢献
2016年3月15日
<要旨>
ローム株式会社(本社:京都市)は、スマートフォンやタブレットなど、1セルのリチウムイオンバッテリー駆動で、USB端子やHDMI端子を搭載するモバイル機器向けに最適な、小型・高効率・ハイパワーの昇圧DC/DCコンバータ*1「BD1865GWL」を開発しました。
「BD1865GWL」は、小型化・バッテリーの長寿命化が求められるモバイル機器に対して、アナログ設計技術を駆使したことで、バッテリー放電時に下限2.5Vまで低電圧動作ができるため、一般の下限2.7V品よりバッテリー駆動時間を長くすることが可能です。また、PFM/PWM*2モードとロームの独自のMixing PWMモードの2つの動作モードを搭載しており、PFM/PWMモード選択時には全負荷領域において90%クラスの高効率を実現。Mixing PWMモード選択時には、オーディオアプリケーションで気になるスイッチングノイズによる音鳴りを防止します。さらに、1.6x1.6mmの小型ICひとつで最大2Aの出力電流に対応できるため、アプリケーションの小型化に貢献します。
なお、本製品は2015年12月より月産50万個の体制で量産を開始(サンプル価格 200円/個:税抜き)しています。生産拠点は、前工程がローム浜松株式会社(静岡県)、後工程がローム・アポロ株式会社(福岡県)となります。
<背景>
スマートフォンやタブレットには、満充電時の出力電圧が4.2V前後になるリチウムイオンバッテリーが使用されています。一方、これらに搭載されることが多いUSBやHDMI、オーディオ用スピーカーは5Vで動作するため、動作させるには、バッテリーの出力を5Vに持ち上げる昇圧型のDC/DCコンバータが必要不可欠です。また、モバイル機器は小型化およびバッテリーの長寿命化が求められるため、部品レベルでもさらなる小型化、高効率化が必要とされます。
しかし、これまで5V出力の昇圧DC/DCコンバータには、小型、高効率、低電圧動作、大電流対応の全てを高いレベルで満たす製品がありませんでした。
<新製品の特長>
1. 下限2.5V電圧駆動の実現により、バッテリーの長寿命化に貢献
バッテリーは残量が少なくなることで、バッテリーの出力電圧、つまりシステムへ入力される電圧は徐々に下がっていきます。新製品は長年培ってきたアナログ設計技術を駆使して開発されており、2.5Vと低い入力電圧の場合でも5Vの出力が可能です。下限2.5V対応により、一般品と比べてバッテリー駆動時間を長くすることができます。
BD1865GWL評価ボード
3. 5V/2Aのハイパワーを小型パッケージで実現
2Aの出力電流を実現する場合、2つのICを必要としたり、ICのサイズ自体が大きくなるという課題がありました。新製品は1.6x1.6mmの小型ICひとつで最大2Aの出力電流を実現(出力電圧5V設定時)することに成功しており、モバイル機器の小型化に貢献します。
簡単に評価できるボードも準備していますので、お問い合わせください。
<用語説明>
*1) DC/DCコンバータ
電源ICの一種で直流(DC)から直流へ電圧を変換する。主に電圧を下げる降圧、電圧を上げる昇圧が存在する。
*2) PWM(Pulse Width Modulation / パルス幅変調)、PFM(Pulse Frequency Modulation / パルス周波数変調)
PWMは一般的な電圧制御方法の一つ。周波数が一定で、発生するノイズを予測しやすいため、ノイズに対してフィルタをかけるなどの対策が立てやすい。
PFMもPWM同様、電圧制御方法の一つで、軽負荷時のスイッチング損失を軽減することができる。