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特集:センサー技術
カイオニクスの超低消費電力ジャイロ 慣性センサーの新市場開く

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カイオニクスの超低消費電力ジャイロ 慣性センサーの新市場開く

近年、民生用電子デバイスは発展を続け、各種センサーを組み込むことで、ますますインテリジェントになり、ジェスチャ認識、万歩計、活動量計、建物内ナビゲーションなどのアプリケーションにおいて、より優れた機能を実現している。

こうしたセンサー市場で、MEMS慣性センサーのリーディングカンパニーと言えるのが、米国ニューヨーク州イサカに本社を置くロームグループのカイオニクスである。消費者、自動車、健康およびフィットネス、産業の各市場における主要企業がカイオニクスのセンサーとトータル・システム・ソリューションを使用し、製品のモーションベース機能を可能にしている。

センサーフュージョン内蔵型超低消費電力ジャイロ「KMX61G」のパッケージ外観
(写真)センサーフュージョン内蔵型
超低消費電力ジャイロ「KMX61G」の
パッケージ外観

市場からのセンサーへの期待が高まりつつある中、製品設計者は製品機能を高める取り組みをする一方、消費電力やサイズを低減していく課題がある。中でもジャイロスコープ機能は、その高い消費電力が原因となり、多くの携帯端末でしばしば組み込むことができない機能であると言われている。カイオニクス はこの課題を解決し、顧客が求める機能を提供するため、これまでのジャイロに比べて消費電力を1/10に節減できる画期的な製品を開発した。この機能を組み込んだのが、世界初のセンサー フュージョン内蔵型超低消費電力ジャイロ「KMX61G」である。(写真)

KMX61G の設計は、独自機能を備え、従来のジャイロを用いたどんなソリューションよりも消費電力が少ない9軸ソリューションを実現している。この中の6軸デバイスは、3軸 GMI 磁気センサーと3軸加速度センサー、ASIC で構成され、3x3x0.9mm16ピンのシングルLGA プラスチックパッケージに収容されている。さらに、カイオニクスの専用センサー フュージョン ソフトウェアおよび自動補正アルゴリズムによって強化された高性能デバイスKMX61G は、非常に正確なエミュレーション3軸ジャイロ出力を提供する。

最も重要なことは、KMX61Gが従来のジャイロを用いた9軸ソリューションに必要とされる5mAに比べて、スタンバイでわずか5µA、フル動作モード(磁気センサーおよび加速度センサーの両方を使用した場合)で最大550µAという極めて低い消費電流を実現できることである。その結果、この革新的なデバイスは、これまで大きな電力消費のためにジャイロ機能を組み込むことができなかった厳しい電力制約のある製品にも、その機能を組み込むことを可能にしている。

KMX61G の仕組み

このようなソリューションを実現するためには、非常に低ノイズの加速度センサーと非常に高感度で低ノイズの磁気センサーが必要となる。また、ジャイロスコープ出力を発生させるため、これら2つを組み合わせることができる非常に洗練されたセンサーフュージョン ソフトウェアも必要となる。(図1)

センサフュージョンダイアグラム
(図1)センサフュージョンダイアグラム

カイオニクス加速度センサー素子は低ノイズで、極めて安定した温度特性を備えている。

さらに、磁気センサーは、もう1つの重要な要素である。KMX61G の磁気センサーには、民生市場で類のない高感度と低ノイズのパフォーマンスを達成するため、GMI テクノロジーが使われており、このセンサ素子の組み合わせとカイオニクスの高度なソフトウェアを統合した。(図2)

地磁気ジャイロソリューション
(図2)地磁気ジャイロソリューション

なお、KMX61G には、ウォーターマーキング(電子透かし)機能付き512バイト FIFO バッファ、I2C通信でアクセス可能な14ビット デジタル出力が備わっており、磁気計測範囲は、±1200µTとなる。ASIC は標準的な0.18µm CMOS 技術で実現され、ユーザーによるプログラム可能な柔軟性をもつフルスケールレンジが±2g/±4g/±8gの加速度センサーを特徴としている。動作条件は電源で夏が1.8~3.3v、動作温度が-40~+85℃である。

その他の機能としては、温度センサー、ウェイクアップおよびスリープ機能、プログラム可能なインタラプトエンジン、加速度センサー セルフテスト機能が組み込まれている。

民生用携帯アプリケーション向けに、電力およびスペースを節減

KMX61G は、現在利用可能な9軸ソリューションと比べて、大幅な低電力化および省スペース化を提供するとともに、同等レベルのパフォーマンスが提供できるため、ほぼすべての携帯電話、タブレット、民生用電子機器において、従来の9軸ソリューションに取って代わることができる。KMX61G は、小容量の電池またはボタン電池で駆動する携帯端末において、極めて有効なソリューションとなる。

携帯電話や民生用電子機器向けモーション検出テクノロジーの大手サプライヤであるカイオニクスは、その開発リソースと専門知識を最大限に活用して、革新的な製品技術の名声をさらに高める画期的な製品、KMX61G の開発に成功した。今後、このKMX61G によって、ユーザーは消費電力やバッテリ寿命に対する要望を満たしつつ、ジャイロ出力や完全な9軸ソリューションを製品に組み込むことができるようになる。これにより、携帯市場およびその他多くの市場で、一連の新アプリケーションを開拓することができるだろう。

KMX61Gが未来を開く

カイオニクスは、今後も豊富なセンサーラインアップを誇るロームおよびラピスセミコンダクタと協業し、グループ全体でユーザーに最適なセンサーソリューションを提供していく。