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特集:高周波デバイスとモジュール技術
無線LANモジュールの技術

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無線LANモジュールの技術

ロームのIEEE802.11b/g/nに対応した無線LANモジュール「BP3580/BP3591」(写真)について紹介する。ロームの無線LANモジュール「BP3580/BP3591」は、RF部分を含め完全に調整されており、基本的な無線LAN通信機能のみならず、認証や暗号化といった通常ホスト側に搭載されるサプリカント(Supplicant:認証クライアントソフトウエア)やWPS(Wi-Fi Protected Setup・無線LAN機器同士の暗号化設定を行うための規格)も全て搭載している。
さらに、TCP/IPプロトコルスタックをモジュール側に内蔵している。これによりネットワーク処理の全てをモジュールに任せることができるので、ホストのリソース不足のため無線LAN搭載が困難であった白モノ家電や健康機器等にも容易に無線LAN搭載が可能となる。面実装タイプ「BP3580」に加え、コネクタ接続のアンテナ内蔵タイプ「BP3591」をラインアップしている。アンテナを内蔵することで、高度なノウハウを必要とする高周波設計が一切不要となり、さらに国内電波法認証も取得済みのため、セットに組み込んですぐに無線設備として利用できる。

また、「BP3591(ホストとのインターフェイスUARTが対象)」については、先月10月からネット商社を通したネット販売を開始している。TCP/IPプロトコルスタック内蔵(ドライバー開発不要)やアンテナ内蔵(電波法認証取得済)など、ロームの無線LANモジュールは、これまで無線LANを使った経験がない人でも簡単に使えるような仕様になっており、それをネット通販(※ロームホームページにネット通販のリンク先掲載中:/web/japan/)を通して、誰でも"1個から"購入できる体制を整えた。

BP3580、BP3591
BP3580、BP3591

次に「BP3580/BP3591」の特徴について説明する(図1)。最大の特徴はローム内製のベースバンドIC(BU1805GU)を搭載しているという点だ。内製のベースバンドICを使うことにより、充実した開発サポートと長期安定供給が実現可能である。
図1を順に説明する。「BP3580/BP3591」はベースバンドICもモジュールも、ソフトもハードも全てロームで開発しているため、中身にブラックボックスが一切ない。そのため充実した開発サポートが可能である。同じく、長期安定供給もICから一貫生産しているため、外的要因による廃番などがないことが強みだ。その他、充実した接続試験も実施しているため、非常にクオリティの高いコネクタビリティを実現できている。電波法の認証についても、「BP3591(アンテナ内蔵タイプ)」については、モジュール側で日本および米国(FCC)の電波法認証取得済である。「BP3580(面実装タイプ)」についても、簡単に日本国内の電波法認証取得できるようなサービスを準備している。電源は単一3.3Vで動作可能で、動作温度範囲についても‐40℃~+85℃までカバーしている。

「BP3580/BP3591」の特徴
[図1]「BP3580/BP3591」の特徴

表1は「BP3580/BP3591」の仕様概要である。SDIO汎用タイプとUSB汎用タイプは、TCP/IPスタックがホストマイコン側に搭載されるシステムにて使用されることを想定している。TCP/IPスタック内蔵タイプは、RS-232Cインターフェイスの機器を無線LAN接続するシステムまたはホストマイコン側にTCP/IPスタックが搭載されないシステムにて使用されることを想定している。SDIO汎用タイプとUSB汎用タイプ、そしてTCP/IPスタック内蔵タイプのファームウエアを用意しており、「BP3580/BP3591」のハードウエアは共通でダウンロードするファームウエアを変えることで、タイプを選択する仕様となっている。

 「BP3580/BP3591」仕様概要
[表1] 「BP3580/BP3591」仕様概要

図2に「BP3580/BP3591」のブロック図を示す。「BP3580」は面実装タイプ、「BP3591」はアンテナ内蔵タイプとなっている。また前述のとおり、これらのモジュールを使う際は、起動の度にファームウエアをHOST CPUまたはフラッシュメモリーからダウンロードして使う仕様となっている。HOST CPUにファームウエアを格納するメモリー領域がない場合は、フラッシュブート機能がモジュールについており、外付けでフラッシュメモリーを準備すれば、電源投入と同時に自動でファームを読み込んで動き出すという動作も可能である。

「BP3580/BP3591」ブロック図
[図2] 「BP3580/BP3591」ブロック図

ロームではファームウエアについて、表2に示すラインアップを揃えており、ユーザーは用途に応じて自由にファームウエアの選択が可能である。ロームで標準と位置付けるファームウエア(インターフェイスUSB、SDIO)のステーションタイプ①とアクセスポイントタイプ③、TCP/IP内蔵ファームウエア(インターフェイスUART)のステーションタイプ②とアクセスポイントタイプ④を既にリリースしており、更にWi-Fi Directに対応した標準ファームウエアおよびTCP/IP内蔵ファームウエア⑥の開発も進めている。

「BP3580/BP3591」用ファームウエアラインアップ
[表2] 「BP3580/BP3591」用ファームウエアラインアップ

次にファームウエアについて、図3のソフトウエアスタック構成図を使って説明する。左側が標準ファーム①、③を採用した場合のソフトウエアスタック、右側がTCP/IP内蔵ファーム②、④を採用した場合のソフトウエアスタック構成図となっている。さらに上半分がHOST side Software(ユーザーで準備必要なソフトウエア)、下半分が無線モジュール側に格納されているソフトウエアを示している。
左側の標準ファームウエアの特徴の一つとしては、点線で囲っている部分のWPS、WPA/WPA2といった無線LANの認証とセキュリティを処理するソフトウエア(サプリカント)が無線モジュール側に格納されている。
よって、それらはユーザーで準備する必要がない。またHOST側についてWireless LAN Device Driverというブロックがあるが、ここは非常にユーザーの開発負荷の大きい部分となるが、ロームではオリジナルのDevice Driverを準備しており、OS Linux版であればサンプルソースの無償提供も行っている。
右側のTCP/IP内蔵ファームについては、標準ファームウエアのサプリカントに加えて、TCP/IPプロトコルスタックまで無線モジュール側に格納したファームウエアとなっている。さらにローム独自のWIDコマンドを準備しており、HOSTからはそのWIDコマンドを使ってモジュールをコマンド制御する形となる。つまりTCP/IPプロトコルスタックがモジュール側に格納されているということと、コマンド制御するということにより、"ドライバー要らず"で無線LANを実装することが可能となる。
"ドライバー要らず"なので従来の無線LANと比べユーザーの開発期間が大幅に短縮できる。また同時にHOST CPUへの要求スペックも小さいため、8bit級のCPUでも制御可能だ。
また、STAファームでは「DHCP Client」「WPS Enrollee」、APファームでは「DHCP Server」「WPS Registrar」機能も実装している。

「BP3580/BP3591」ソフトウエアスタック構成
[図3] 「BP3580/BP3591」ソフトウエアスタック構成

TCP/IPスタック内蔵タイプは2つのモードがある。1つ目はRS-232Cで接続された端末間に「BP3580/BP3591」を入れるだけで簡単に無線接続が可能になる"ターミナルモード"、そして2つ目はホストマイコン側に簡単なソケットプログラムを組むことで、より高度な動作を表現できる"コミュニケーションモード"である。
表3は、TCP/IPスタック部分の仕様概要である。例えば、TCPポートを使ってSMTPとPOP3のプロトコルをホストマイコン側に実装すれば、メール送受信機能といったことも実現可能である。

TCP/IPスタック部分の仕様概要
[表3] TCP/IPスタック部分の仕様概要

最後にロームでは、ロームのホームページ内で「無線LANサポートページ」を運営している。サポートページには、「BP3580/BP3591」に関する、ハードウエア仕様書、ソフトウエア仕様書、ファームウエア、ドライバーのサンプルソース、スタートガイド、Q&Aなど様々な情報を公開しており、誰でも閲覧可能である。今後もサポートページをより充実させる予定である。 ロームでは、"誰でも(経験がなくても)"、"1個から"使える無線LANモジュールというコンセプトで今後もサポート体制を充実させ展開し、また内製ICの強みを生かして新商品の開発も随時進めていく方針だ。


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掲載記事: 920MHz帯 特定小電力無線通信モジュール


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