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業界をリードする精度の高さが暮らしに安心・安全をもたらす 地震検知センサモジュール

02/26/2019

年間地震発生率が高い国の中でも、特に日本では地震検知が重要な役割を果たしています。火災をはじめとする地震の二次災害抑制や早期復旧のため、地震の揺れを検知し各種機器を安全に停止させるなどの処置が求められているからです。

日本企業は感震ブレーカーなどの地震検知装置の開発を進め、家庭内だけでなく、幅広いアプリケーションに展開し、業界で世界的リーダーとなっています。しかし、こうした地震検知装置で一般的に使用される機械式の地震検知器や電子式のセンサモジュールには、地震による振動と日常生活における外的要因による振動の違いを区別することができず、誤検知を招いてしまうという課題が残っていました。

京都を拠点とする半導体メーカーのロームでは、誤検知の可能性を限りなく少なくできる地震検知センサモジュールの開発に取り組んでいます。

今回、このモジュールを開発したオプト・モジュール生産本部の津和氏に、開発背景と製品の特長について取材しました。

 

要となる独自アルゴリズムの開発

ロームが高精度の地震検知モジュールを開発できた最大の理由は、独自のアルゴリズム開発です。

津和氏によると、地震の震度と高い相関性を持つSI値を用いた独自の高精度演算アルゴリズムを開発したことで、地震による振動と外的要因による振動の違いを区別することができ、誤検知をなくすことができました。加えて、気象庁から入手した過去の地震データ200例を正確に検知できるようになったそうです。

「外的要因のノイズには、通過する車や電車の振動、勢いよくバウンドするボールによる揺れや、装置に自転車等の物体が衝突した時の振動などがあります。地震検知センサモジュールの要となる独自アルゴリズムを開発するため、日々、地震とこれら外的要因によるノイズのシミュレーションを繰り返しました。そうすることで、徐々にそれぞれの振動の違いが分かってきました。例えば、外的要因のノイズによる振動の場合は、短い持続時間(数秒~数十秒の間)で単一の突発的な波形が現れるのに対し、地震による振動では、長い持続時間(数十秒~数分)で連続的な波形が現れます。(図)こうした違いを、アルゴリズム化してモジュールに覚えさせました。」と津和氏は語ります。

図.地震と外部ノイズの違い

 

津和氏のグループには、12名の技術者が在籍しており、それぞれがソフト、ハード、モジュールの専門家です。

しかし、こうした波形の違いを検証するのは非常に時間を要する作業で、この地震検知センサモジュールを開発するのにおおよそ1年を費やしました。それでも、お客様に安心・安全を提供したいという気持ちがチームのモチベーションになり、一丸となって効果的かつ効率的に作業を進めた結果、製品化を実現することができたと津和氏は続けます。

 

実生活に基づくアプリケーション

今回開発した地震検知センサモジュールは、(気象庁震度階級を用いて)震度5強相当以上の地震が検知可能で、分電盤や照明器具、自動販売機、エレベータなど幅広いアプリケーションで採用が見込まれています。地震の検知精度を高めることで、災害発生時のみ機器を停止させる、逆に自動販売機などを自動で開放させる、といった処置を的確に実現することができるようになります。また、設置許容角度を±15度まで調整できるため、斜面でも容易に設置することができます。これも採用アプリケーションが拡がった理由のひとつと言えるでしょう。

日本はもちろんのこと、地震が頻繁に発生するアジア圏や、北米、中南米でも、この技術は間違いなく今後有望視されるにちがいありません。

 

CEATEC JAPAN2018でのお披露目

2018年10月16日~19日に千葉県・幕張メッセで、CEATEC JAPAN 2018が開催され、15万を超えるCPS/IoTの専門家が来場しました。最新技術・ソリューションが展示されたロームブースの中でも、特にこの地震検知センサモジュールは来場者の注目を集めていました。(写真)

写真.CEATECで展示した地震検知センサモジュールのデモ

 

今回、展示会での地震検知センサモジュールの紹介は初めてで、ブースにはパネルだけでなく、自動販売機のモックに地震検知センサモジュールを搭載したデモ機が展示されていました。そこでは、実際に地震の揺れを再現できる装置に自動販売機が乗っており、地震の揺れを検知するとアラームが鳴るというデモンストレーションを体感することができました。わずか11mm x 9mm x 2mmという小型モジュールでこの技術が実現できることに、驚かれていたお客様も多数いました。

 

今後の展望

「従来、業界ではハードの性能と品質向上に的を絞って開発を進める企業が大半でしたが、今回新たに開発した地震検知センサモジュールの重要なポイントは独自のアルゴリズム、つまり、ソフトです。ハードをよく知るロームだからこそ、このソフト(アルゴリズム)をつくれたのだと思います。今後も、地震検知用アルゴリズムのさらなる性能向上を目指し、2019年の商品化の際には更に多様な外的要因への耐性を備えることを実現したいと考えています。それと同時に、あらゆる家庭用電子機器、産業機器、街路灯などのインフラに対応できるようラインアップ展開を進めることで、社会のさらなる安心・安全に貢献していきたいと思います。」と津和氏は語ります。

ロームでは、垂直統合された生産システムと「品質第一」に対するひたむきな姿勢で、最先端かつ高品質な製品開発が進められています。今後も技術革新を追求し、付加価値の高い製品の提供を通じて、文化の進歩向上に貢献していくことでしょう。