省エネ・小型化を極めるロームの革新的な「Nano」電源技術

       

超高速パルス制御技術 Nano Pulse Control™
超低消費電流技術 Nano Energy™
超安定制御技術 Nano Cap™

 

Nano電源技術とは?

ロームが長年培ってきたアナログ技術を駆使し、さらなる省エネと小型化を実現するために生み出された革新的な電源技術です。開発から製造まで全てのプロセスを自社で行う一貫生産体制により実現できた革新的電源技術「Nano」(Nano Pulse Control™, Nano Energy™, Nano Cap™)は、市場のニーズに応える電源技術として社会に貢献していきます。

     

超高速パルス制御技術
Nano Pulse Control™

高電圧から低電圧への変換を“1つの電源IC”で構成可能。
システムの小型化、簡略化を実現します。

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超低消費電流技術
Nano Energy™

小型電池を搭載する機器の長時間駆動に貢献します。

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超安定制御技術
Nano Cap™

自動車や産業機器をはじめとする各種電源回路の外付けコンデンサ容量が、極小のnFオーダーでも安定制御できます。

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技術解説

Nano Pulse Control™

高電圧から低電圧への変換を“1つの電源IC”で構成可能。
システムの小型化、簡略化を実現します。

開発の背景

CO2削減という地球規模の大命題を受け、ハイブリッド車や電気自動車(EV)の普及が加速していますが、ヨーロッパを中心に、フルハイブリッドよりもコストパフォーマンスに優れたマイルドハイブリッドに高い関心が寄せられています。
マイルドハイブリッドでは、従来の12V電源よりも伝送効率が高い48Vの電源システムが採用されています。一方車両の各部に配置されるECUでは3.3Vといった低い駆動電圧が必要であり、更に低い2.5Vまでの対応も求められています。
従来のDC-DCコンバータICでは、AMラジオ帯に影響を与えない2MHzの動作において48Vから3.3Vの低電圧を得る際、一度12Vの中間電圧に落とし、2段階(2チップ)での降圧が必要となります。規格上は最高60Vの電源から最低2.5Vまでの駆動電圧への降圧に対応する必要があるので、仮に1チップで降圧するとすれば、24:1という非常に高い降圧比を実現しなければなりません。

開発技術と製品化

ロームでは、このDC-DCコンバータの「1チップ化」という極めて高いハードルに挑み、超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control™」を開発しました。この技術を搭載し、実現されたスイッチングオン時間は9nsまで短縮されました。これは電源ICにおいて世界最小(2017年7月時点)の数値であり、従来品が120nsであったことを考えても、非常に画期的な技術といえるでしょう。また、この極めて小さなパルス幅に対して安定した制御をおこなえることも、この技術の大きなポイントとなります。
開発にあたっては、従来の考え方から大きく発想を転換すると同時に、アナログ設計技術や電源系プロセスのノウハウなど、垂直統合型生産体制を活かしたことも成功の要因になっています。この技術はMOSFET内蔵降圧DC-DCコンバータIC「BD9V100MUF」に搭載され、2MHz動作において1チップで60Vから2.5Vまでの降圧を実現しています。また2023年には、「Nano Pulse Control™」をさらに進化させ、制御パルス幅を9nsから2nsまで大幅に向上することにも成功しています。

Nano Pulse Control™技術の概要
Nano Pulse Control™技術のソリューション
製品搭載により実現できる世界

60Vから2.5Vまでの降圧においてDC-DCコンバータを1チップ化することで、2チップと比較すると周辺部品も含め大幅に部点数を削減することができます。特に周波数が高くなったことより、コイルを大幅に小型化することも可能となりました。
これによって、アプリケーションの小型化、システムの簡略化と同時に低コスト化も実現。マイルドハイブリッド車はもちろん、産業用ロボット、基地局のサブ電源など、48V系の電源システムで駆する産業機器の小型化・低コスト化されることで、いっそう社会への普及が推進されていくことが期待されます。
ロームでは、BD9V100MUFに続いて「Nano Pulse Control™」を搭載した製品を順次開発し、製品群としてお客様の幅広い要望にお応えしていきます。

Nano Pulse Control™技術の効果
Topic
GaNデバイスの性能を最大限引き出す「超高速駆動制御」IC技術を確立

GaNデバイスは高速スイッチングの特性優位性から採用の広がりを見せる一方で、その駆動を指示する役割を担う制御ICの高速化が課題となっていました。 この課題に対してロームは、「Nano Pulse Control™」を更に進化させ、制御パルス幅を従来の9nsから業界最高(2023年3月時点)となる2nsまで大幅に向上することに成功。これにより、GaNデバイスの性能を最大限に引き出せる超高速駆動を制御するIC技術を確立しました。現在、ロームは本技術を用いた100V入力1ch DC-DCコントローラICの製品化を進めています。

GaNデバイスとNano Pulse Control™技術による電源ソリューション

Nano Energy™

小型電池を搭載する機器の長時間駆動に貢献します。

開発の背景

電子機器の分野では、スマートフォンの多機能化やウエアラブル端末の普及などに加え、人を介さないで機器同士がワイヤレスで通信をおこない動作するIoT機器の導入にも注目が集まっています。これらの機器は基本的に電池で駆動するケースが多いため、消費電力の低減が強く求められる分野です。加えて、デザイン性の向上や新しい機能を搭載するためのスペース確保といった視点から、小型化も重要な要件となり、駆動電池もどんどん小型化され、中でもIoT分野では機器のメンテナンスが頻繁におこなえないケースも多く、「コイン電池で10年駆動」が1つのキーワードとなっています。
ロームではこういった市場動向やテーマを受け、電源ICの消費電流を大きく低減させる技術の開発に着手。スタート時点(2015年時点)では、電源ICの業界で最も小さい消費電流は360nAでした。それをどこまで下げることができるのかが1つの指標となりました。

開発技術と製品化

ただ単に消費電流を低減させることを考えると、回路の抵抗値を上げるという発想がありますが、それだけでは素子からのリーク電流の発生、ノイズへの感度向上、回路の応答速度低下といった弊害が生じます。ロームでは、消費電流を下げることで発生するトレードオフを極限まで低減させると同時に、超軽負荷状態における消費電流の削減に徹底的にこだわった画期的技術である「Nano Energy™」を開発。
この技術をDC-DCコンバータ「BD70522GUL」に搭載し、無負荷時(アプリケーションスタンバイ時)に消費電流180nA、一般品比で従来の2倍の電池駆動時間を実現しました。更に、10μAから500mAという業界で最も広い電流範囲において、90%以上の高電力変換効率も実現。これもローム独自の垂直統合型生産体制における「回路設計」「レイアウト」「プロセス」の3つの先端技術の融合なしでは成し得なかったことです。

Nano Energy™技術の概要
Nano Energy™技術のソリューション
製品搭載により実現できる世界

電源ICの消費電流の大幅な低減によって、IoTの分野では、目標に掲げた「コイン電池で10年間駆動」が現実のものとなりました。これにより、機器のメンテナンスに要する手間やコストを削減できるほか、ウエアラブル端末など、小型化・多機能化が加速する電子機器分野においても、小型電池での長時間駆動を実現することができます。
また、エナジーハーベストと呼ばれる太陽光や熱、振動などを利用した発電システムなどの、低い発電量においても動作を継続させることが可能になり、環境分野における利用も大いに期待されています。
ロームでは、「Nano Energy™」をコア技術として、それを搭載した電源ICを製品群として拡充し、お客様の幅広いご要望にお応えしていきます。

Nano Energy™技術の効果
Topic
最先端二次電池向けバッテリーマネジメントリファレンスデザイン

「Nano Energy™」技術は、太陽電池などの環境発電や最先端の二次電池と非常に高い親和性を持ちます。ロームでは、電池メーカーと共同で、IoT機器に向けた電池管理システム(BMS)のリファレンスデザイン開発・提供を強化しています。その1つ、「Nano Energy™」を搭載した電源ICと、各電池メーカーの最先端電池を中心に構成されるリファレンスデザイン「REFLVBMS00x」では、各社電池の仕様に適した「Nano Energy™」搭載の電源ICが超低消費の電源となり、また充電制御ICが電池の充電・監視・放電を制御することで、超高効率の蓄電ユニットを実現します。異常電圧を検出するリセットICを含めて 「Nano Energy™」技術により、静止電流が極めて低く、アプリケーションに無駄のない電源機能を供給することができます。

Nano Energy™によるバッテリーマネジメントソリューション概要

Nano Cap™

自動車や産業機器をはじめとする各種電源回路の外付けコンデンサ容量が、極小のnFオーダーでも安定制御できます。

開発の背景

近年、省エネ意識の高まりにより、あらゆるアプリケーションの電子化が進んでいます。中でも自動車分野においては、電気自動車や自動運転技術の進歩に伴う技術革新により、電子部品の搭載数が年々増加しています。その一方で、電子回路の安定化に使用されるコンデンサ(特に積層セラミックコンデンサ)は、非常に多く使用される電子部品であることから、使用するコンデンサを1つでも減らしたいという要望が増えています。
この課題に対して、電源回路には小さい出力コンデンサ容量でも動作できる電源IC(LDOレギュレータ)が求められるようになりましたが、コンデンサ容量を小さくするとICの出力電圧が入力や負荷の変動に対して不安定になったり、発振したりするリスクが高まります。このため、アプリケーションの求める安定動作(例えば、 負荷変動時に±5%以内の出力電圧変動に抑える)を実現できるのは1μFまでが限界で、それ以下nF領域の出力コンデンサ容量で安定動作を実現するには、従来にない技術的なブレイクスルーが必要でした。

開発技術と製品化

Nano Cap™は、アナログ回路における応答性能改善と、配線・増幅器の寄生要因極小化により、リニアレギュレータの出力に対して安定制御を提供することで、出力コンデンサ容量を従来技術の1/10以下にすることができます。 このため、例えばリニアレギュレータとマイコンで構成される回路の場合、一般的なリニアレギュレータでは、リニアレギュレータの出力側に1µF、マイコンの入力側に100nFのコンデンサが必要でしたが、Nano Cap™搭載リニアレギュレータは、マイコン側のコンデンサ100nFだけで動作を安定させることができます。また、車載アプリケーションのように、回路に高い信頼性を要求する場合でも、 LDOレギュレータの出力コンデンサを1μF以下100nF程度まで低減したうえで、安定動作を実現できます。部品や基板の小型化はもちろんのこと、超広範囲の出力コンデンサ容量を採用可能にすることで設計工数削減にも貢献します。

Nano Cap™技術の概要
Nano Cap™技術のソリューション
製品搭載により実現できる世界

超安定制御技術「Nano Cap™」の確立により、この技術を搭載したLDOレギュレータ「BD9xxN1」では、一般品が必要とする10分の1以下の出力コンデンサ容量100nFに対応し、かつ入力電圧や負荷電流が変動した際でもアプリケーションの求める安定動作(出力電圧変動100mV以内:負荷電流変動1mA⇔50mA/1μ秒時)を実現しました。一般的な数μFの小型MLCC(積層セラミックコンデンサ)や大容量の電解コンデンサのみならず、従来安定せず実使用に耐えることができなかった1μF以下・0603サイズの極小MLCCまで、超広範囲の出力コンデンサ容量への対応が可能です。 ロームでは、2020年に確立した「Nano Cap™」技術の製品展開をさらに加速しており、LDOレギュレータをはじめ、オペアンプや他製品の内部回路に展開することで、さまざまなアナログ回路のコンデンサに関する安定動作課題を解決しています。

Nano Cap™技術の効果

Pickup Product

Nano Pulse Control™

極めて細いパルス幅でも安定制御が可能で、圧倒的な高降圧比を実現

■降圧DC-DCコンバータ

16V~60V入力, 1A, 2.1MHz MOSFET内蔵 1ch

4.5V~36V入力, 5A, 600kHz or 1MHz or 2.2MHz, MOSFET内蔵 1ch

■車載グレード、降圧DC-DCコンバータ

16V~60V入力, 1A, 2.1MHz, MOSFET内蔵 1ch

2.7V~36V入力, 2A, 2.2MHz, 昇圧機能付, MOSFET内蔵 1ch

3.5V~40(36)V入力, 1A 2A 3A 6A, 2.2(2.4)MHz,MOSFET内蔵 1ch

製品一覧

Nano Energy™

IC自体の消費電流を低減することで微小電流での安定動作を実現

■降圧DC-DCコンバータ

超低消費(180nA), MOSFET内蔵 1ch

■車載グレード 超低消費電流CMOSオペアンプ

超低消費(160nA), 1ch, 入出力Rail-to-Rail, 低オフセット, CMOS

■車載グレード ボルテージディテクタ (リセットIC)

超低消費(500nA), 40V動作,125℃対応,過電圧・低電圧ウィンドウタイプ,SSOP6パッケージ

超低消費(270nA), 105℃対応, 低電圧検出, SSOP5パッケージ

超低消費(270nA), 125℃対応, 低電圧検出, SSOP5パッケージ

超低消費(270nA), 125℃対応, 低電圧検出, 小型SSON004R1010パッケージ

超低消費(300nA), 125℃対応, 過電圧検出, SSOP5パッケージ

製品一覧

Nano Cap™

安定制御でアナログ回路のコンデンサに関する安定動作課題を払拭

■車載グレード シングルアウトプット 低飽和レギュレータ (LDO)

45V耐圧車載プライマリ電源

■高速CMOSオペアンプ

1ch 2ch 4ch, 高速グランドセンス, 高EMI CMOS

■車載グレード 高速CMOSオペアンプ

1ch, 入出力Rail-to-Rail, 低ノイズ CMOS

製品一覧

関連コンテンツ

「Nano Pulse Control™」「Nano Energy™」「Nano Cap™」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。
「EcoGaN™」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。