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オペアンプとは? 温度特性

 

動作温度範囲

動作温度範囲とは、ICが期待された機能を保持し、正常に動作する範囲を言います。
ICは温度によりその特性が変動します。
そのため、特に指定の無い限り25°Cで規定された規格値がそのまま保証されるものではございません。
温度範囲を保証された項目として、全温度範囲保証項目があります。
これは動作温度範囲内でのICの特性変動を考慮した規格値となります。

最大接合部温度(最大ジャンクション温度)・保存温度範囲

最大接合部温度(最大ジャンクション温度)とは、半導体が動作する最大の温度を示します。また、ジャンクションとはPN接合のことを指します。
チップ温度が規定された最大ジャンクション温度よりも高くなると半導体の結晶において電子正孔対が多数生成されるようになり素子として正常に動作しなくなります。
そのため、ICの消費する電力による発熱や、周囲温度を考慮した使用、熱設計が必要となります。
最大接合部温度は、製造プロセスにより決定されます。
保存温度範囲はICが動作していない状態、つまり消費電力の無い状態においての保存環境の最大温度を示します。
通常は最大接合部温度と同値としています。

許容損失(全損失)

許容損失(全損失)PDは周囲温度Ta=25°C(常温)でICが消費できる電力を示しています。ICが電力を消費すると自己発熱し、チップの温度は周囲温度よりも高くなります。
チップが許容できる温度は最大接合部温度により決まっているため、消費可能な電力は熱軽減曲線(ディレーティングカーブ)により制限されます。
パッケージ内のICチップが許容できる温度(最大接合部温度)とパッケージの熱抵抗(放熱性)によって25°Cにおける許容損失が決まります。
また接合温度の最大値は製造プロセスにより決定されます。

ICの電力消費により発生した熱はパッケージのモールド樹脂やリードフレームなどを通じて放熱されます。
この放熱性(熱の逃げにくさ)を示すパラメータは熱抵抗と呼ばれ、記号ではθj-a[°C/W]で表されます。
この熱抵抗からパッケージ内部のICの温度を推定することができます。
下図にパッケージの熱抵抗のモデルを示します。θj-aはチップ-ケース(パッケージ)間の熱抵抗θj-cとケース(パッケージ)-外部間の熱抵抗θc-aの和として表されます。
熱抵抗θj-a、周囲温度Ta、消費電力Pがわかれば、ジャンクション温度は次式で求められます。

Tj = Ta + θj-a × P [W]

下図に熱軽減曲線(ディレーティング・カーブ)例を示します。
この曲線はある周囲温度でICがどれだけ電力を消費することが可能かを示すグラフであり、例としてMSOP8のチップ温度を考えます。
このICの保存温度範囲は-55[°C]~150[°C]であるため、チップの最大許容温度は150[°C]です。MSOP8の熱抵抗はθj-a≒212.8[°C/W]であり、このICがTa=25[°C]で0.58[mW]の電力を消費したとするとジャンクション温度は

Tj = 25[°C] + 212.8[°C/W] × 0.58[W] ≒ 150[°C]

となり、チップの最大許容温度に到達するためこれ以上の電力を消費してはならないことがわかります。
熱軽減曲線の1[°C]当たりの軽減値は熱抵抗の逆数で決まります。
ここでは、SOP8 : 5.5[mW/°C]  SSOP-B8 : 5.0[mW/°C]
MSOP8 : 4.7[mW/°C]となります。

接合-外部間熱抵抗 : θj-a=θj-c+θc-a[°C/W]
ここでθj-c : ジャンクション-ケース間熱抵抗
θc-a : ケース-外部間熱抵抗
Ta : 周囲温度
Tj : 接合部温度(ジャンクション温度)
ディレーティングカーブの傾きはθj-aの逆数

パッケージの熱抵抗
【パッケージの熱抵抗】
熱軽減曲線例
【熱軽減曲線例】

70mm × 70mm × 1.6mm 1層FR4ガラスエポキシ基板実装時

[PDFファイル]オペアンプ・コンパレータの基礎

エレクトロニクス豆知識