軟骨伝導を適用したスマートフォンを新提案
角(かど)の振動によって、騒音環境下でも快適な通話を実現

発表日:2012-04-23

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<要旨>
半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)は、このほど軟骨伝導を適用したスマートフォンならびに携帯電話の体験デモ機を製作しました。 体験デモ機では、軟骨伝導聴覚の発見者である奈良県立医科大学 細井 裕司教授(以下:細井教授)のご指導のもと軟骨伝導の優位性を最大限活用することに成功。角の振動で聞くという新たな通話スタイルを提案するものです。これにより、騒音環境下でもスムーズかつ快適な通話を可能にします。

体験デモ機は2012年5月10日~12日に新潟市(朱鷺メッセ)で開催される「第113回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会」に併設される医療機器展示会にて実演展示いたします。また、同学会初日(10日)には、細井教授より世界で初めての軟骨伝導の詳細な特別講演が行われる予定です。

※4月23日現在 ローム調べ

軟骨伝導のしくみ

<軟骨伝導のしくみ>
通常、スピーカーなどから発生する音は、空気中を伝わった音が耳の穴から入って鼓膜に伝わります。また、古くから知られている骨伝導は、骨に伝えた振動が直接内耳に伝わるものです。 軟骨伝導では、耳軟骨に接触する振動源(右図に赤い輪の断面で示す部分)から直接気導、軟骨骨導、および軟骨気導の3つのルートにより音が内耳に伝達され聞こえます。直接気導は通常の音であり、軟骨骨導も軟骨を経由していますが最終的には骨伝導です。これに対し、軟骨気導は細井教授により新たに解明された現象で、軟骨に伝わった振動により外耳道内で音が生まれ、鼓膜に伝わるものであり、軟骨伝導において大きな役割を果たしています。聞きたい音が鼓膜の近くで生まれるという特色があります。さらに振動源の耳軟骨への接触圧の増加に応じて音量が増大するとともに、接触圧をより高めて耳珠(耳の穴の前にある軟骨の突起)で耳の穴を塞ぐと、音量が最大になると共に外部雑音が遮断されるという、騒音環境下でも聞きやすいユニークな特長を備えています。

<体験デモ機の概要と特長>
体験デモ機は、スマートフォンの上部の角(左右いずれも可)を耳に当てて音声を聞くニュースタイルを提案するもので、軟骨伝導を最大限生かす4つの特長を持っています。

①簡単音量アップ
人は音声の音量が小さく聞き取り難いと無意識に受話器を強く耳に当てる傾向にあります。軟骨伝導電話では、これにより耳軟骨との接触圧が高まり、自然な動作で音量が大きくなります。角での接触は、この軟骨伝導の特長を生かすのに最適のスタイルです。

②外部騒音遮断とさらなる音量アップ
受話器をさらに耳に強く当てれば、耳軟骨(耳珠)が耳の穴を自然に塞ぐことになります。これにより外部騒音が遮断されるとともに、音量はさらに大きくなり、騒音環境下でもスムーズな通話が可能になります。角での接触は、耳の穴を自然に塞ぐのに最適の聴取スタイルとなっています。

③液晶画面汚れ防止
角だけを接触すればよいため、液晶画面が耳や顔の皮脂、化粧等で汚れることがありません。軟骨伝導の特長とよくマッチする聴取スタイルとなっています。

④快適装着
角で聞くので、受話器が快適に耳にフィットします。強く押し当てても、通常の携帯電話のように耳が押しつぶされることがありません。ここでも軟骨伝導の特長とよくマッチする聴取スタイルを実現しています。

ロームの体験デモ機では、角で聞くスタイル実用化のため、振動パワーを角に集中させる独自の構造を採用して効率のよい軟骨伝導を実現しています。また、角に振動パワーを集中させたことで携帯電話裏面等他の部位からの気導音発生による音漏れが相対的に減少し、周囲に迷惑をかけずプライバシーも守れる通話スタイルも可能となりました。
体験デモ機については、関連特許30件余りを出願するとともに、様々なセットメーカーに商品化を提案していく予定です。また、軟骨伝導のスマートフォンおよび携帯電話への活用技術をさらに発展させるべく、軟骨伝導の原理を踏まえて振動源を駆動するための最適なドライバおよびこれを含む電源IC等の開発を進めています。
今後は、細井教授およびセットメーカー各社と協業し、早期の実用化に向けて開発を進めてまいります。



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