2017年10月19日
内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の原田博司プログラム・マネージャー(PM)の研究開発プログラムの一環として、京都大学 大学院情報学研究科 原田博司教授の研究グループ、ローム株式会社 内貴崇の研究グループは、"モノ"のインターネット(Internet of Things、以下IoTとする)用国際無線通信規格Wi-SUN FAN及びBluetooth搭載IoTゲートウェイを用いて、Bluetooth搭載ウェアラブル機器および医療機器等の各種機器からの情報を、利用者が移動しても広範囲に情報収集することができる通信システムを開発しました。現状、Bluetooth搭載各種機器は基本的に接続認証(ペアリング)が許可された一つのIoT機器にのみ接続できます。利用者が移動した場合は、別途移動先のIoT機器に再接続認証する必要性があり、データを収集するうえで再接続の時間が問題になっていました。今回開発した装置は、データをクラウドに上げる基地局用IoTゲートウェイと、複数のデータ中継用IoTゲートウェイから構成されます。各IoTゲートウェイはWi-SUN FANおよびBluetoothの通信機能を有します。Bluetooth搭載機器は、まずいずれか一つのIoTゲートウェイに接続し、接続時に認証に必要な情報が、Wi-SUN FANを通してすべての中継用IoTゲートウェイに共有されます。その結果、利用者が移動した場合でもBluetoothの再接続することなく情報をクラウドまで伝送することが可能になります。この通信システムを用いて、Bluetooth搭載ウェアラブル機器およびBluetooth搭載マルチセンサー携帯型自動血圧計を接続し、環境・生体信号を同時にクラウド上に整備された超ビッグデータを創出基盤上に伝送することを確認しました。
「Wi-SUN」および「Bluetooth」はそれぞれ、Wi-SUN AllianceおよびBluetooth SIG, Incの登録商標です。
本成果は、以下のプログラム・研究開発課題によって得られました。
内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)
本研究開発課題では、数km以内のエリアに存在する数万のメーター、センサーからデータ収集、機器制御を行う超ビッグデータを創出可能な低消費電力無線機の研究開発に取り組んでいます。
■原田博司プログラム・マネージャーのコメント■
本研究プログラムでは、各個人の生体情報時系列計測データ、工場に設置された各種機器からの時系列計測データ等を用い、疾病、稼働リスクを予見・先取で発見することができる各種社会リスクを低減する超ビッグデータプラットフォームに関する研究開発を行っています。特に医療系においてはBluetooth搭載機器が多くありますが、自身の通信距離は比較的短く、利用者が家の中を移動した場合、情報を効率的に収集することが困難でした。今回開発したシステムは、Bluetooth搭載機器からの計測データ及びBleutooth認証信号を長距離伝送可能で多段中継も可能なWi-SUN FANにより伝送することにより、利用者が移動してもBluetooth搭載機器からの情報をクラウドに伝送することが可能になり、より多くの環境における超ビッグデータの創出が可能になります。
ImPACT 原田 博司 プログラム・マネージャーの研究開発プログラムでは、現状のビッグデータ規模をはるかに凌ぐ「超ビッグデータ」の創出・活用を可能とする超ビッグデータプラットフォームを構築し、この技術による新たな社会応用として、製造工場へのサイバー攻撃、故障の撲滅を目指すファクトリセキュリティと予見先取ヘルスケア・医療サービスを目指すヘルスセキュリティに関する研究開発を行っています。ヘルスセキュリティにおいて、心拍や血圧といった生体データと環境時系列データを取得することが可能なウェアラブル機器および医療機器の多くは国際無線通信規格Bluetoothを搭載しており、機器内に格納したデータを外部に取り出すことが可能です。データを外部に取り出すIoT機器の一つがIoTゲートウェイです。IoTゲートウェイは、Bluetoothを用いて取り出したデータ等を他の通信システムの信号に変換し、データをクラウドまで伝送します。現状、Bluetooth搭載各種機器は基本的に接続認証(ペアリング)が許可された一つのIoTゲートウェイに接続ができます。利用者が移動した場合は移動先の別のIoTゲートウェイに再接続認証する必要性があるため、この接続の時間が問題になっていました。また、Bluetooth自身の通信距離は比較的短いという問題もありました。
今回、国際無線通信規格Wi-SUN FAN及びBluetooth搭載IoTゲートウェイ、IoTブリッジを用いて、Bluetooth搭載ウェアラブル機器および医療機器等の各種機器からの情報を、利用者が移動しても広範囲に情報収集することができる通信システムを開発しました(図1)。
この通信システムは、データをクラウドに上げる基地局用IoTゲートウェイと、複数のデータ中継用IoTブリッジから構成されます。データ中継用IoTブリッジは新規開発され、Wi-SUN FANおよびBluetoothの通信機能を有します(図2)。Wi-SUN FAN自身は多段中継の機能を有しているため、中継用IoTブリッジ間を多段中継で接続し、基地局用IoTゲートウェイに接続させることが可能です。また、IoTブリッジ自身で照度、温度、湿度を測定することも可能です。(表1)
Bluetooth搭載機器は、まず、いずれか一つのIoTブリッジに接続します。接続時、認証に必要な情報は、Wi-SUN FANを用いて、すべての中継用IoTブリッジに共有されます。そして、利用者が移動した場合でもBluetoothの再接続することなく情報をクラウドまで伝送することが可能になります(図3)。
この通信システムを用いて、Bluetooth搭載ウェアラブル機器(エー・アンド・ディ社UW-302BLE)およびImPACT 原田 博司 プログラムにおいて自治医科大学 苅尾七臣 教授および株式会社エー・アンド・ディが開発したBluetooth搭載マルチセンサー携帯型自動血圧計(エー・アンド・ディ社TM-2441)を接続し、生体信号特に血圧脈波を同時にクラウド上に整備された超ビッグデータを創出基盤上に伝送することを確認しました(図1)。
今回開発した通信システムを実際の住宅環境に設置し、温度、湿度、照度等の環境時系列情報とマルチセンサー携帯型自動血圧計で測定した血圧脈波の時系列情報、さらに、ウェアラブル機器で取得した、活動時系列情報を同時にクラウド上に取得し、ImPACTプログラム内の自治医大 苅尾七臣 教授および株式会社エー・アンド・ディの研究チームと共同でビッグデータを用いた臨床エビデンス構築を目指します。
国際無線通信規格Wi-SUN FANを搭載した小型IoT用ゲートウェイによる
Bluetooth搭載各種機器からの移動対応、広範囲情報収集システムの開発に成功
2017年10月19日
ポイント
内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の原田博司プログラム・マネージャー(PM)の研究開発プログラムの一環として、京都大学 大学院情報学研究科 原田博司教授の研究グループ、ローム株式会社 内貴崇の研究グループは、"モノ"のインターネット(Internet of Things、以下IoTとする)用国際無線通信規格Wi-SUN FAN及びBluetooth搭載IoTゲートウェイを用いて、Bluetooth搭載ウェアラブル機器および医療機器等の各種機器からの情報を、利用者が移動しても広範囲に情報収集することができる通信システムを開発しました。
現状、Bluetooth搭載各種機器は基本的に接続認証(ペアリング)が許可された一つのIoT機器にのみ接続できます。利用者が移動した場合は、別途移動先のIoT機器に再接続認証する必要性があり、データを収集するうえで再接続の時間が問題になっていました。今回開発した装置は、データをクラウドに上げる基地局用IoTゲートウェイと、複数のデータ中継用IoTゲートウェイから構成されます。各IoTゲートウェイはWi-SUN FANおよびBluetoothの通信機能を有します。Bluetooth搭載機器は、まずいずれか一つのIoTゲートウェイに接続し、接続時に認証に必要な情報が、Wi-SUN FANを通してすべての中継用IoTゲートウェイに共有されます。その結果、利用者が移動した場合でもBluetoothの再接続することなく情報をクラウドまで伝送することが可能になります。
この通信システムを用いて、Bluetooth搭載ウェアラブル機器およびBluetooth搭載マルチセンサー携帯型自動血圧計を接続し、環境・生体信号を同時にクラウド上に整備された超ビッグデータを創出基盤上に伝送することを確認しました。
「Wi-SUN」および「Bluetooth」はそれぞれ、Wi-SUN AllianceおよびBluetooth SIG, Incの登録商標です。
本成果は、以下のプログラム・研究開発課題によって得られました。
内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)
「超ビッグデータ創出ドライバ狭域系無線機の研究開発」
内貴崇(ローム株式会社)
本研究開発課題では、数km以内のエリアに存在する数万のメーター、センサーからデータ収集、機器制御を行う超ビッグデータを創出可能な低消費電力無線機の研究開発に取り組んでいます。
■原田博司プログラム・マネージャーのコメント■
本研究プログラムでは、各個人の生体情報時系列計測データ、工場に設置された各種機器からの時系列計測データ等を用い、疾病、稼働リスクを予見・先取で発見することができる各種社会リスクを低減する超ビッグデータプラットフォームに関する研究開発を行っています。特に医療系においてはBluetooth搭載機器が多くありますが、自身の通信距離は比較的短く、利用者が家の中を移動した場合、情報を効率的に収集することが困難でした。今回開発したシステムは、Bluetooth搭載機器からの計測データ及びBleutooth認証信号を長距離伝送可能で多段中継も可能なWi-SUN FANにより伝送することにより、利用者が移動してもBluetooth搭載機器からの情報をクラウドに伝送することが可能になり、より多くの環境における超ビッグデータの創出が可能になります。
<研究の背景と経緯>
ImPACT 原田 博司 プログラム・マネージャーの研究開発プログラムでは、現状のビッグデータ規模をはるかに凌ぐ「超ビッグデータ」の創出・活用を可能とする超ビッグデータプラットフォームを構築し、この技術による新たな社会応用として、製造工場へのサイバー攻撃、故障の撲滅を目指すファクトリセキュリティと予見先取ヘルスケア・医療サービスを目指すヘルスセキュリティに関する研究開発を行っています。
ヘルスセキュリティにおいて、心拍や血圧といった生体データと環境時系列データを取得することが可能なウェアラブル機器および医療機器の多くは国際無線通信規格Bluetoothを搭載しており、機器内に格納したデータを外部に取り出すことが可能です。データを外部に取り出すIoT機器の一つがIoTゲートウェイです。IoTゲートウェイは、Bluetoothを用いて取り出したデータ等を他の通信システムの信号に変換し、データをクラウドまで伝送します。現状、Bluetooth搭載各種機器は基本的に接続認証(ペアリング)が許可された一つのIoTゲートウェイに接続ができます。利用者が移動した場合は移動先の別のIoTゲートウェイに再接続認証する必要性があるため、この接続の時間が問題になっていました。また、Bluetooth自身の通信距離は比較的短いという問題もありました。
<今回の成果>
今回、国際無線通信規格Wi-SUN FAN及びBluetooth搭載IoTゲートウェイ、IoTブリッジを用いて、Bluetooth搭載ウェアラブル機器および医療機器等の各種機器からの情報を、利用者が移動しても広範囲に情報収集することができる通信システムを開発しました(図1)。
この通信システムは、データをクラウドに上げる基地局用IoTゲートウェイと、複数のデータ中継用IoTブリッジから構成されます。データ中継用IoTブリッジは新規開発され、Wi-SUN FANおよびBluetoothの通信機能を有します(図2)。Wi-SUN FAN自身は多段中継の機能を有しているため、中継用IoTブリッジ間を多段中継で接続し、基地局用IoTゲートウェイに接続させることが可能です。また、IoTブリッジ自身で照度、温度、湿度を測定することも可能です。(表1)
Bluetooth搭載機器は、まず、いずれか一つのIoTブリッジに接続します。接続時、認証に必要な情報は、Wi-SUN FANを用いて、すべての中継用IoTブリッジに共有されます。そして、利用者が移動した場合でもBluetoothの再接続することなく情報をクラウドまで伝送することが可能になります(図3)。
この通信システムを用いて、Bluetooth搭載ウェアラブル機器(エー・アンド・ディ社UW-302BLE)およびImPACT 原田 博司 プログラムにおいて自治医科大学 苅尾七臣 教授および株式会社エー・アンド・ディが開発したBluetooth搭載マルチセンサー携帯型自動血圧計(エー・アンド・ディ社TM-2441)を接続し、生体信号特に血圧脈波を同時にクラウド上に整備された超ビッグデータを創出基盤上に伝送することを確認しました(図1)。
<今後の展開>
今回開発した通信システムを実際の住宅環境に設置し、温度、湿度、照度等の環境時系列情報とマルチセンサー携帯型自動血圧計で測定した血圧脈波の時系列情報、さらに、ウェアラブル機器で取得した、活動時系列情報を同時にクラウド上に取得し、ImPACTプログラム内の自治医大 苅尾七臣 教授および株式会社エー・アンド・ディの研究チームと共同でビッグデータを用いた臨床エビデンス構築を目指します。
<用語説明>
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