SiC-BNCT機器の共同研究開発
及び研究センターの整備について

2016年11月22日

1. 概要

この度、京都府・ローム株式会社・京都府立医科大学・福島SiC応用技研株式会社の4者は、次の2点について基本合意した。

  1. 最先端のがん治療の発展を目指し、京都府立医科大学と福島SiC応用技研株式会社が、ローム株式会社のSiC (シリコンカーバイド) を活用したBNCT (ホウ素中性子捕捉療法) に必要な治療機器 (SiC-BNCT機器) の研究開発を実施する。
  2. 研究開発の成果を踏まえ、最先端のがん治療を行えるよう、SiC-BNCT機器及び建物をローム株式会社が京都府に寄附する。

(1) 京都府立医科大学と福島SiC応用技研株式会社は、他施設が研究開発に取り組んでいるBNCTと比較して大幅に小型化されたSiC-BNCT機器 (SiC加速器方式) 及び必要な薬剤を共同研究開発する。

(2) SiC-BNCT機器については、ローム株式会社が、最新のSiC半導体技術 (トレンチゲート型SiC-MOSFET) を提供すると共に、機器の開発について技術支援を行い、完成後に、京都府に寄附する予定である。

(3) あわせて、SiC-BNCT機器を納入する研究施設 (将来的には治療施設) については、今後、研究開発の成果を踏まえ、京都府立医科大学の敷地内に京都府、ローム株式会社及び京都府立医科大学が協議の上、定めた場所にローム株式会社がローム記念BNCT研究センター (仮称) を建設のうえ京都府に寄附する予定である。

(4) これらのSiC-BNCT機器及びローム記念BNCT研究センター (仮称) が完成し、臨床応用できることになれば、すでに整備を進めている永守記念最先端がん治療研究センターでの「陽子線治療」と「中性子線治療」の両方を医大同一敷地内で一体的に行うことが可能となり、府民の皆さんに、二つの世界トップレベルの最先端がん治療が提供できるようになる。

2. 今回開発するSiC-BNCT (SiC加速器方式) の概要

現在の主ながん治療法には、放射線療法、化学療法や外科手術がある。BNCTは中性子線による放射線療法であり、ホウ素薬剤をがん細胞に取り込ませ、中性子とホウ素薬剤との反応を利用して正常細胞にあまり損傷を与えず、がん細胞のみを選択的に破壊する治療法。BNCTは動く臓器や広く転移したがんでも治療ができるという利点を有する。

BNCTとは?

しかしながら、従来のBNCT技術では治療対象範囲が体表面から7cm以内の表層部分に限られており、その利点を全面的に活用するまでには至っていなかった。
今回新たに研究開発するSiC-BNCTでは、ローム株式会社の最先端半導体技術であるSiC (シリコンカーバイト) を活用し、他施設が研究開発に取り組んでいるBNCTと比較して 大幅に小型されたものを目指す。
大幅な小型化と安定した中性子コントロールにより、中性子線の多門照射 (世界初) が可能となるため、治療対象を体表面から25cm程度まで拡大できる。また、がん細胞にのみ集積するホウ素薬剤の開発を併せて行い、更に安全な治療を目指す。

新たに開発するSiC-BNCTの中性子線照射装置イメージ図

新たに開発するSiC-BNCTの中性子線照射装置イメージ図
(1) 中性子照射装置の実証機開発

福島SiC応用技研株式会社が震災復興助成制度 (津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金) を利用して実施している。
また、この研究開発の推進にあたっては、ローム株式会社から最新のSiC半導体技術 (トレンチゲート型SiC-MOSFET)の提供を受けると共にBNCT治療機器の開発についても支援を受ける。
なお、本研究開発は、国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究成果展開事業 (スーパークラスタプログラム) にもSiC半導体のパワー回路実装技術に関し支援をいただいている。

(2) SiC-BNCTによるがん治療の特長
  • 今回の研究開発では、特に肝胆膵 (肝臓、胆のう/胆管、すい臓) を対象としたBNCT治療の実用化を目指す。
  • 治療による痛みや熱さはなく、原則1回の照射で完了する。
  • ホウ素化合物の反応を利用してがん細胞を破壊するため、正常細胞とがん細胞の混在するがんにも効果を発揮する。
  • 特に有効ながんは、進行がんの40%が適応となり、悪性黒色腫、脳腫瘍、頭頸がん、中皮腫、膵臓がん、腹膜転移等に有効である。

3. ローム記念BNCT研究センター (仮称) の概要

建物の概要
施設名称
ローム記念BNCT研究センター (仮称)
階層
地上2階 地下2階
延べ床面積
3,700m2程度の見込み

SiC加速器中性子源・試作機

SiC加速器中性子源・試作機
  • 世界初のSiC直列共振静電加速方式を採用した大強度小型
    加速器中性子源の試作機
  • 平成28年9月下旬、開発計画どおりの中性子発生を確認 (実証段階に進む見通しを得た。)
  • 加速管部分の長さ:約45cm

SiC加速器中性子源・BNCT用実機

SiC加速器中性子源・BNCT用実機
  • SiC直列共振静電加速方式を採用した大強度小型加速器
    中性子源のBNCT向け実機
  • 平成29年夏頃の中性子出力試験を目指し、現在開発作業を進めている
この件に関するお問い合わせはこちら