業界初!48Vから3.3Vに直接降圧可能なDC/DCコンバータIC技術を確立
自動車や産業機器の安定動作や高効率化、小型化、設計負荷軽減に貢献

2016年4月13日

<要旨>

ローム株式会社(本社:京都市)は、自動車や産業機器などで需要が高まっている48Vなどの高い入力電圧から、3.3Vや5V等の低電圧に直接降圧することができるDC/DCコンバータIC技術を確立しました。

本技術は、高耐圧MOSFETを内蔵し80V高耐圧を実現するとともに、独自のパルス制御技術によって業界最小のスイッチングオン時間となる20nsを達成。これにより、2MHzの固定スイッチング周波数を使用しながら、48Vから3.3Vに安定して降圧することができる電源システムを実現します。

降圧比を大幅に向上したことでセカンダリ電源IC等による中間変換が不要となるほか、電流モード制御による位相補償も簡単に実現し、各種アプリケーションの高効率化や小型化、設計負荷軽減に大きく貢献します。

今回の技術成果は、2016年4月20日(水)~22日(金)に千葉県・幕張メッセにて開催される「TECHNO-FRONTIER2016」に出展し、エンジニアによる技術プレゼンテーションも実施します。

今後は、本技術を用いた製品の2016年中のサンプル出荷を目指し開発を進めるとともに、アナログパワー技術を駆使した高効率・高性能な電源技術の開発を加速し、社会の省エネ化に貢献してまいります。

<背景>

近年、省エネ意識の高まりにより、あらゆる分野で電力変換ロスを低減するための取り組みが進み、自動車分野においては、従来の12Vの電源システムに比べて燃費改善効果が高く、安全性が考慮された48V電源システムを搭載したハイブリッド車に注目が集まっています。

しかしながら、一般的な車載用MCUや制御システムを駆動させるために必要な3.3Vや5Vに、48Vから直接降圧できる降圧比の高い電源ICは存在せず、12V等の中間電圧をつくり2段階で降圧する必要がありました。一方で、ラジオ帯域への影響を防ぐため、2MHz以上の高周波動作も求められています。

こうした"高入力、低出力、高周波動作"といった市場ニーズを実現するためには、スイッチングオン時間を短くする必要がありますが、従来の方法ではノイズの影響を受けやすく、スイッチングオン時間の極小化が困難でした。

業界最小スイッチングオン時間により高効率、小型化、設計負荷軽減に貢献

現在の構成(2chip構成)と新構成(1chip構成)

<特長>

パルス幅 従来品の1/6

1. 業界最小スイッチングオン時間の実現により、安定した電圧降圧が可能

今回、短時間でパルスを制御するローム独自の技術を活用することで、従来品比1/6となる業界最小のスイッチングオン時間20nsを達成しました。これにより、電源システムの48Vから各機能を駆動させるのに必要な3.3Vに安定して電圧を出力することができます。また、ラジオAM帯域である1.84MHz(MAX)の範囲外である2MHzに駆動周波数を固定しており、周波数の干渉の心配もありません。

部品点数が少なく位相補償が簡単

2. 電流モード制御により位相補償を簡単に実現

DC/DCコンバータのようなスイッチング電源は、フィードバック制御回路を持っており、異常発振を防止するために位相補償が必須です。電流モード制御は簡単に位相補償を設定できる一方、スイッチングオン時間が短くなり制御自体が難しくなるという課題があります。本ICは短いパルス幅で電流を制御できる電流モード制御を採用しているため、簡単に位相補償を実現することができ、セット設計負荷軽減に貢献します。2点の部品のみで幅広い入力電圧範囲において、安定動作を実現できます。

従来品の約4.6倍

3. 高い入力電圧範囲により、幅広いアプリケーションに対応

ローム製の高耐圧MOSFETを採用することで、従来品に比べて約4.6倍の12〜65Vに入力電圧範囲を拡大することに成功。これにより、車載から産業機器まで幅広いアプリケーションに対応することができます。

パッケージイメージ図:VQFN24SV4040

4. 放熱性の高い小型パッケージを採用

耐圧を上げることにより放熱が課題となり、小型化は難しいとされていました。しかしVQFN24SV4040は裏面放熱のため、 4.0 × 4.0 × 1.0mmのパッケージが採用でき、従来品と比べて54%の小型化を実現しています。

5. 各種保護機能を搭載し、安全性を確保

従来品同様、下記保護機能も搭載しており、安全にICを駆動させることができます。

  • AEC-Q100対応
  • 過電流保護機能
  • 低入力誤動作防止機能
  • 高入力誤動作防止機能
  • 出力過電圧保護機能
  • 温度保護機能
  • 負荷短絡保護機能

<用語説明>

*1) DC/DCコンバータ
電源ICの一種で直流(DC)から直流へ電圧を変換する。一般的に電圧を下げる降圧、電圧を上げる昇圧が存在する。

*2) パルス
一定の幅を持った矩形波のこと。パルスの幅を変えることで、電流や電圧を制御することができる。

*3) 位相補償
電源回路を安定して動作させ、出力電圧を一定に保つために必要な回路。

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