【掲載記事】ロームの最新センサ技術動向

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電波新聞ハイテクノロジー掲載 最新センサ技術動向

はじめに

センサ-技術の応用が生活の中の様々な場面に急速に拡がっている。環境や動きの情報を捉える高性能なセンサ技術の開発が進んだことに加え、 小型バッテリーで長時間動作可能な無線通信技術や信号処理技術、さらに多様な情報の蓄積・解析を可能にするクラウドコンピューティングの技術の普及が進んでいる。 それに伴い、さまざまな機器に搭載されるセンサの種類と数が増大し、センサが取得した情報を複数組み合わせて新たな意味づけをおこなうなど、 アプリケーション技術が大きく進歩している。こうした技術は、モバイル機器から自動車や産業機器へ、 また積極的な生体情報の取得とヘルスケアへの活用など急速な拡大が始まっている。
ここでは、ロームのセンサ製品開発の取り組みの中から、広く採用されているカイオニクスのモーションセンサのラインアップと、 ユニークな機能ながらIoTでの用途拡大が始まったカラーセンサについて紹介する。

モーションセンサと応用技術

・用途が拡大するMEMSモーションセンサ

加速度センサはスマートフォン等のモバイルデバイスに広く普及しており、近年では3軸ジャイロセンサや地磁気センサとあわせ、 6軸・9軸といったモーションセンサが使用されている。ゲームやアプリケーションのユーザーインタフェースとして、ジェスチャを検出したり、 GPSによる位置情報とモーションセンサの情報を組み合わせることで、ナビゲーションや移動のトラッキングなどが実現できる。 さらにBluetooth®などの近距離無線技術とCPUによる信号処理技術などが安価で、手軽に使用できるようになり、 様々なセンサの情報を活用し意味づけするセンサ・ネットワーク技術としての普及が進んでいる。
顕著な例は、ウェアラブルデバイスによる活動量のモニタリングである。モーションセンサが人の動きを検出し、 その情報解析から人が歩いたり、走ったり、あるいは寝ていることを判別し活動量を測定する。 センシング技術とアプリケーション技術の高度化により、たとえば脈拍から眠りの質、さらには病気などの予兆検知を目標にしたアプリケーションの開発が盛んである。 もうひとつは、産業機器などでのマシンヘルス・モニタリングである。未然に装置故障の予兆をセンサで捕らえ対策を講じたり、 生産システム全体を様々なセンサの情報を活用して管理するアイデアが実現されている。
こうしたアプリケーションへのモーションセンサの応用は、データの蓄積と、アルゴリズム開発のための解析作業が必要となる。 センサの選択には感度や特性といった性能指標だけではなく、こうしたアプリケーション開発に求められる使いやすさやサポートが重要である。

・Kionix(カイオニクス)の加速度センサと応用

ロームのグループ会社で、米ニューヨーク州イサカに本社を置くMEMSセンサのリーディングカンパニー Kionix(カイオニクス)社は、 独自のMEMS設計・製造技術により、民生用電子機器、産業、健康とフィットネス、および自動車への応用において、 業界をリードする性能と品質を提供している。
加速度センサの設計と性能に関する実証済みの専門知識に加え、タップ検出、画面の回転、ジェスチャ認識、 およびアクティビティ監視など組み込みアルゴリズムの付加価値を提供しており、特にモバイル市場を中心に広く採用されている。

・小型・高精度の3軸加速度センサ KX122-1037

写真1:Kionix 3軸加速度センサ KX122-1037 外観
写真1:Kionix 3軸加速度センサ
KX122-1037外観

KionixのKX122-1037は、2.0mm×2.0mm×0.9mmの薄型・小型パッケージで、高感度・高精度・低消費電力の3軸加速度センサを実現した(写真1)。
モーション検出アルゴリズムを搭載し、タップなどのジェスチャ検出や、自由落下、デバイスの姿勢などをセンサ内で検出できる。 また、マシンモニタリングなどの新しいアプリケーションに適用するため、KX122-1037は最大25.6kHzの高いデータレートで加速度の情報を出力することができる (High ODR機能)。例えばモータが回転しているときに発生する振動から故障の予兆を検出するには、広い周波数帯域で加速度の成分を分析する必要がある。 データ量の増大に対応するため、2kByteのFIFOも搭載した。KX122-1037はこうした用途にも対応する。
また、内蔵ステートマシンをベースにユーザが容易に機能を実現できるが、Kionixでは多様化するアプリケーションへの適用できるよう、 特にウェアラブル、ヘルスモニタリング、マシンヘルス・モニタリングなどのサポートを強化している。
さらに、業界最薄となる2.0mm×2.0mm×0.6mmのパッケージサイズを実現した KX112-1042を開発中である。薄型化を実現しながら、 モーション検出アルゴリズムを内蔵し、High ODRも対応する。市場の幅広いニーズに対応する加速度センサ・ラインアップを展開している。

・アプリケーションの可能性を広げるコンボセンサ・ラインアップ

複数のセンサを集積化したコンボセンサは、部品実装エリアが厳しく制限されたモバイルアプリケーションで、複数センサによる機能拡張の実現を容易にする。 Kionixはコンボセンサの製品ラインアップを拡張している。KXG03は3軸加速度センサと3軸ジャイロスコープを集積化し、 3.0mm×3.0mm×0.9mmの小型パッケージを実現した。またKMX62-1031は3軸加速度センサと3軸地磁気センサを集積化した6軸コンボセンサである。
KXG03は先進的な低消費電力アーキテクチャ、I2C/SPIデジタルインタフェース、外部センサを制御するための外部入力バスを備え、 さらに高度なバッファリング、パワーマネジメント、同期性を有している。消費電力とノイズ性能とのバランスを適正化し、 温度に対しても優れたバイアス安定性を確保している。
KMX62-1031は加速度センサと地磁気センサの6軸コンボセンサであり、自律航法などの機能を低消費電力で実現できる。
MEMS ジャイロスコープは、幅広い民生用電子機器や用途に急速に採用が拡がっているが、アプリケーションによって感度・精度・消費電力などの要求仕様は異なる。 Kionixは多様なアプリケーションの要求にも対応できるよう、製品開発とサポートの拡張を行っている。

カラーセンサの原理と応用

・カラーセンサとは

カラーセンサは、光の3原色の成分(赤・青・緑)それぞれの照度を測定するセンサである。 液晶ディスプレイなどで画像を表示する際、同じ画像でも周囲の光の照度や色温度によって見え方は異なる。 カラーセンサを用いて環境光を測定し、画像出力の輝度・色温度を周囲環境に合わせて調整することで、周囲の光の照度・色温度によらず、 常に適正で美しい色彩を表現できる。屋外など様々な環境化で使用されるスマートフォンやタブレットPCなどのモバイルデバイスに採用されている。

・ロームのカラーセンサ BH1745NUC

ロームのカラーセンサ BH1745NUCは高感度で広いダイナミックレンジを備え、環境光の照度と色温度を精度良く測定できる (写真2)。 I2Cインターフェースを通じデジタル出力を行うため、アナログ回路の設計が不要で簡単に使用できる。 感度は0.005lx(LSB)、動作電流130μA(typ.)を実現し、2.1mm×2.0mm×0.6mmの小型パッケージに実装した。
BH1745NUCは分光感度特性の優れたフィルタをIC上に形成することで、RGB各波長に対するセンサの低干渉化を実現した (図1)。
一般品と比べて高い分光感度特性によって、光源の種類によらない高い測定精度を実現する(図2)。

写真2:ローム カラーセンサBH1745NUC外観 写真2:ローム カラーセンサBH1745NUC外観

図1:BH1745NUC分光感度特性図1:BH1745NUC分光感度特性

図2:BH1745NUC 照度検知特性
図2:BH1745NUC 照度検知特性

・カラーセンサの応用が拡がる

照度・色温度を高精度で測定できるBH1745NUCの特長から、新たな応用が拡がりつつある。カメラへの応用では、周囲の環境光を測定して撮像の色調調整を行う。また、植物工場にもカラーセンサの採用が始まりつつある。植物の成長を促すためにLEDなどの光源が用いられるが、植物の生育により好適な波長に光源を調整するために使用できる。また、光の細かな色調の違いは人の目では判別し難いが、カラーセンサを活用することで数値化して管理することが可能になり、IoTでの応用展開はますます広がる可能性がある。

広がるセンサ・アプリケーションをサポートするロームグループ

写真3:センサ・近距離無線・マイコンのリファレンスデザイン例
写真3:センサ・近距離無線・マイコンの
リファレンスデザイン例

ロームグループでは、各種環境センサやモーションセンサで豊富なセンサ・ラインアップを誇っている。これらセンサを活用していただくため、開発サポートの充実を図っている。2014年12月には、センシングソリューション事業における設計・開発サポート機能を拡充するため、フィンランドソフトウェア開発センターを開設した。また、評価環境の提供にも注力している。 「Sensor Platform Evaluation Kit」は、各種センサの評価やアプリケーション開発を容易にする評価キットである。また、ウェアラブル・アプリケーション向けに複数のセンサを制御用マイコン、近距離無線通信と集積化したリファレンスデザインも提案している(写真3)。

評価環境やリファレンスデザインの提供を通じて、ロームグループは多様化・高度化するセンサ技術の付加価値の提供に貢献していく。

関連情報

■カイオニクス(Kionix)のホームページはこちら

■カラーセンサ「BH1745NUC」についての製品情報
   小型デジタルカラーセンサIC BH1745NUC

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