【掲載記事】ボディ、パワートレイン、情報形などあらゆる車載用途に新開発
AEC-Q100対応、低消費低飽和リニアレギュレータ:2シリーズ 全43機種

ボディ、パワートレイン、情報系などあらゆる車載用途に新開発 AEC-Q100対応、低消費低飽和リニアレギュレータ:2シリーズ 全43機種

ロームは先日、車載用として新規に開発したLDO(Low Dropout / 低飽和)タイプのリニアレギュレータ(以下LDO)、2シリーズ全43機種を発表した。これだけの機種、それも車載用のLDOを一気に投入したのは、カーエレクトロニクスの堅調な発展はもとより、先の大震災やタイの洪水では自動車業界は大きな影響を受けたことから、生産や購買の冗長性を整備する動きに貢献するためだという。

近年のLDOは、省電力要求に対応するためシャットダウンピンが追加されたり、小型化のために放熱特性がよい表面実装パッケージが使われたりと、必ずしもメーカー間で従来の三端子タイプのような互換性があるわけではない。それに対してロームは、高い汎用性に加え、出力電圧やパッケージなど豊富なバリエーションを持ちながら統一性をもったLDOの一大ファミリを構築することで、ユーザの利便性を高める展開を進めている。

車載用に特化し豊富なバリエーションをもつ「BD4xxMxシリーズ」と「BDxxC0Aシリーズ」

最初に、「BD4xxMxシリーズ」と「BDxxC0Aシリーズ」の全ラインアップを示すので、そのバリエーションをみていただきたい。

BD4xxMxシリーズは、BD4xxM2シリーズ8機種とBD4xxM5シリーズ8機種に分かれ、全16機種のファミリ。両方ともに45V耐圧で出力電圧は3.3Vと5Vの2種類、それぞれにシャットダウン付きとなしのバージョンが用意されている。違いは、BD4xxM2シリーズは出力電流が200mAでパッケージが2種類、BD4xxM5シリーズは500mAでパッケージが4種類となる。

● BD4xxM2シリーズ(45V耐圧200mA)
出力電圧 パッケージ シャット
ダウン
3.3V 5V
BD433M2WFP3-C BD450M2WFP3-C SOT223-4 あり
BD433M2WEFJ-C BD450M2WEFJ-C HTSOP-J8
BD433M2FP3-C BD450M2FP3-C SOT223-4 なし
BD433M2EFJ-C BD450M2EFJ-C HTSOP-J8
● BD4xxM5シリーズ(45V耐圧500mA)
出力電圧 パッケージ シャット
ダウン
3.3V 5V
BD433M5WFPJ-C BD450M5WFPJ-C TO252-J5 あり
BD433M5WFP2-C BD450M5WFP2-C TO263-5
BD433M5FP-C BD450M5FP-C TO252-3 なし
BD433M5FP2-C BD450M5FP2-C TO263-3
SOT223-4 HTSOP-J8 TO252-J5 TO252-3 TO263-3TO263-5
SOT223-4
6.53×7×1.8(H)mm
HTSOP-J8
4.9×6×1(H)mm
TO252-J5
6.6×10.1×2.38(H)mm
TO252-3
6.5×9.5×2.5(H)mm
TO263-3/TO263-5
10.16×15.1×4.7(H)mm

BDxxC0Aシリーズは、35V耐圧、出力電流1A、出力電圧は可変 / 3.3V / 5V / 8V / 9Vの5種類、シャットダウン付きとなし、そしてパッケージは5種類で、全27機種となっている。

● BDxxC0Aシリーズ(35V耐圧1A)
出力電圧 パッケージ シャットダウン
3.3V 5V 8V 9V 可変
BD33C0AWFP-C BD50C0AWFP-C BD80C0AWFP-C BD90C0AWFP-C BD00C0AWFP-C TO252-5 あり
BD33C0AFP-C BD50C0AFP-C BD80C0AFP-C BD90C0AFP-C --- TO252-3 なし
BD33C0AWHFP-C BD50C0AWHFP-C BD80C0AWHFP-C BD90C0AWHFP-C BD00C0AWHFP-C HRP5 あり
BD33C0AHFP-C BD50C0AHFP-C BD80C0AHFP-C BD90C0AHFP-C --- HRP5 なし
BD33C0AWFP2-C BD50C0AWFP2-C BD80C0AWFP2-C BD90C0AWFP2-C BD00C0AWFP2-C TO263-5 あり
BD33C0AFP2-C BD50C0AFP2-C BD80C0AFP2-C BD90C0AFP2-C --- TO263-3 なし
TO252-3TO252-5 HRP5 TO263-3TO263-5
TO252-3/TO252-5
6.5×9.5×2.5(H)mm
HRP5
9.395×10.54×2.005(H)mm
TO263-3/TO263-5
10.16×15.1×4.7(H)mm
基本性能に優れ、負荷全域にわたり消費電流を低く維持

両シリーズの仕様と特長を以下に示す。

車載用のLDOとして考えた場合、仕様面で最初にクリアしなければならないのは、耐圧(入力電圧)と動作温度範囲である。BD4xxMxシリーズは最大定格として45V、BDxxC0Aシリーズは35Vまで許容する。車載の場合は、バッテリからの電圧を直接接続するのであれば、定常で12V~14Vが入力となり、最大は一般に30V~40Vが求められる。両シリーズともに、対応可能な耐圧を備えている。

動作保証温度は、BD4xxMxシリーズがTjで-40ºC~+150ºC、BDxxC0AシリーズはTaで-40ºC~+125ºCと、条件が異なるがTjmax=150ºCなので、実質同等と考えることができる。この全温度範囲での出力精度はBD4xxMxが±2%、BDxxC0Aは±3%で、マイコンやDSPの電源としても十分な精度を確保している。

BD4xxMxシリーズは、出力電圧を3.3Vと5Vに絞り、ボディ系、パワートレイン系のマイコン用電源としての用途を想定している。BDxxC0Aシリーズは、可変タイプを始め8Vや9Vといった機構部品やディスプレイなどのカーインフォティメント系も意識した多彩なラインナップとなっている。

外付け部品は入力と出力のコンデンサのみで、出力はセラミックコンデンサだけで安定する。条件によって異なるが1μF~10μFの小さなチップコンデンサが使えるので省スペースである。もちろん、従来からよく使われている電解コンデンサやタンタルコンデンサなども使用できる。

BD4xxMxシリーズ BDxxC0Aシリーズ
  • AEC-Q100対応
  • 動作温度範囲(Tj):-40ºC~+150ºC(Tjmax=150ºC)
  • 動作電圧範囲:3V~42V(最大定格45V)
  • 消費電流(Typ):40μA(BD4xxM2)、38µA(BD4xxM5)
  • 出力電流:200mA(BD4xxM2)、500mA(BD4xxM5)
  • 出力電圧精度:±2%(全温度範囲)
  • 出力電圧:3.3V / 5V
  • シャットダウン機能付きバージョンあり
  • 過電流保護回路内蔵(ºCP)、過熱保護回路(TSD)
  • 出力コンデンサにセラミックコンデンサ使用可(10µF)
  • HTSOP-J8、SOT223-4パッケージ(BD4xxM2)
    TO252-3/J5、TO-263-3/5パッケージ(BD4xxM5)
  • AEC-Q100対応
  • 動作温度範囲(Ta):-40ºC~+125ºC(Tjmax=150ºC)
  • 動作電圧範囲:4V~26.5V(最大定格35V)
  • 消費電流(Typ):500μA
  • 出力電流:1A
  • 出力電圧精度:±1%(Ta=25ºC)、±3%(全温度範囲)
  • 出力電圧:可変 / 3.3V / 5V / 8V / 9V
  • シャットダウン機能付きバージョンあり
  • 過電流保護回路内蔵(ºCP)、過熱保護回路(TSD)
  • 出力コンデンサにセラミックコンデンサ使用可(1μF)
  • TO252-3/5、HRP5、TO263-3/5パッケージ

消費電流は両シリーズともに低く、箇条書きの値は無負荷時の規格だが、特にBD4xxMxは低い部類にはいる。そして、特筆すべきは、出力電流が増えても無負荷時の消費電流がほとんど増加しない特性で、これは両シリーズともにである。ほとんどのLDOは、出力電流の増加に対し消費電流が無負荷時の何十倍にもなり、効率への影響が無視できなくなる。シンプルで使いやすいLDOだが、損失と発熱による制限が常に課題となる点から、この消費電流特性は非常に大きな改善といえる。

BD4xxM5シリーズ
BD4xxM5シリーズ
(Iout=500mA / Icc=38µA)

BDxxC0Aシリーズ
BDxxC0Aシリーズ
(Iout=1A / Icc=0.5mA)

一般的なLDOの例
一般的なLDOの例
(Iout=500mA / Icc=0.2mA)

出力電流と消費電流の関係

グラフは、出力電流(横軸)をゼロ(無負荷)から最大値まで変化させた時の消費電流(縦軸)の変化を示している。グラフタイトルに記載の消費電流値(Icc)は無負荷時のTyp値で、多くのLDOの消費電流はこの条件で示されている(BDxxC0Aについては、可変タイプにて外付けの出力電圧設計抵抗に電流約75μAが加算されている)。一般的なLDOは、無負荷時の消費電流は十分小さいが出力電流の増加に対して大幅に増加する。これは一般的なLDOの基本特性である。対してBD4xxM5およびBDxxC0Aは、無負荷から全負荷までほとんど消費電流が変化しないように改善されている。負荷電流を供給する実際の動作時の損失低減に寄与することがわかる。

開発段階から車載用として設計、AEC-Q100にも対応

BD4xxMxとBDxxC0Aは、開発段階から車載用として設計されている。車載用という観点から、高い初期品質が要求され、温度条件を始め厳しい環境下での使用において十分な信頼性をもっていることが必要になる。さらには、安定かつ長期の供給も重要事項である。

車載用とするにあたり、ロームではマージンや冗長性を考慮した設計を採用し、生産工程と品質管理も車載用フローが用いられる。
また、自社による、プロセス開発とウェハ製造、そして組み立てから出荷までの一貫生産体制により、高品質高信頼性を作りこみ、すべてが自社の管理下のもと長期安定供給を確立している。加えて、お客様が製品を量産している間は、基本的にICを生産中止にしないポリシーをもつ。

BD4xxMxとBDxxC0Aに関しては、近年車載用ICの規格として実質的な業界標準になっているAEC-Q100に対応している。また、ロームは自動車産業向けの品質マネジメントシステムISO / TS16949も取得しており、車載対応のためのシステム構築もしっかりとしている。何よりも、すでに10年以上にわたり自動車産業に向けて、多種多様なICとディスクリート部品を供給している実績をもつ。

まとめ

BD4xxMxシリーズとBDxxC0Aシリーズは、高い汎用性と豊富なバリエーションにより、利便性と自動車産業向けとしての品質と信頼性を備え、長期安定供給が可能な車載用LDOである。

車載用をうたうには、非常に厳しい自動車産業界の要求に対応する必要があり、実際にはいくつもの課題をクリアするために、社をあげての取り組みが必須となる。ロームの布陣は前述の通りであるが、何よりも長きにわたる実績がそれを証明している。

ロームでは引き続きシリーズの拡張を計画しており、汎用性の高いLDOである点からも、ユーザーの利便性がさらに高まることが期待できる。

関連資料

※各シリーズのデータシートや設計情報は表の機種名のリンクをご利用ください。

BD4xxMxシリーズ/BDxxC0Aシリーズ ニュースリリース
BD4xxMxシリーズ/BDxxC0Aシリーズ 新製品速報