特集:MEMS技術
新しい加速度センサーソリューションを提供

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新しい加速度センサーソリューションを提供

加速度センサーは、そのモーション検知機能によって、ユーザーの生活を向上する多くの付加価値を携帯端末に提供する。今日では、加速度センサーはゲーム機向けのモーション検知だけでなく、画面の縦横検知や、その他多くの機能に使われている。

さまざまな動作モードのすべてにおいて、システム機能の測定要求を満たすには、2つの重要な設計パラメータ、すなわち消費電力とノイズを十分に考慮することが必要となる。

携帯端末におけるバッテリ寿命の維持・拡大は大きな課題であり、各システムにおいて調和のとれた電力設計を最適に行うには多くの設計時間を費やすことになる。

ノイズは、誤検知なくユーザーおよび環境からのインプットを適切に識別することを目的とするシステムに影響する。これらのシステム要求に対するノイズ低減には、より高いサンプリング レート(オーバーサンプリング)、より長いサンプル時間、より高い出力データレート(ODR:Output Data Rate)など、消費電力の増加につながるパラメータの変更を必要とする。従来の加速度センサーメーカーのソリューションでは、消費電力とノイズが一義的に決められ、多目的用途に合わせた標準的な性能の製品が提供されてきた。また、製品のカスタム化によりシステム要求を満たす最適なソリューションを見出す方法も取られてきたが、高価で開発に時間が掛かる上、納品までにより長い時間を必要とされる。

消費電力とノイズのバランス設計に適したソリューション

様々な分野で構築してきたお客様との関係を通じて、カイオニクスのエンジニアは、消費電力とノイズの関係について、より深い洞察と制御をシステム設計者に提供する必要性と重要性を認識した。カイオニクスの 加速度センサー用の最新ASIC(Application Specific Integrated Circuit)に組み込まれた FlexSetオプティマイザーが、その解である。

オプティマイザーは、従来の標準的なプロセスや決まったパラメータ環境からの発展であり、設計者がそのシステムの要求に応じて消費電力とノイズの値を設定、調整することを可能にする。オプティマイザーのユーザーインターフェイスが電流消費およびノイズに影響する各種パラメータの設定結果を示すので、システム設計者はアプリケーションによって加速度センサーをカスタマイズすることができ、最適な消費電力とノイズ性能を実現することができる。

この強力な機能を組み込んだ FlexSet オプティマイザーは、設計ツールとエデュケーションツールの両側面を持つものとして開発された。本機能に関心を持つ、特にシステム設計者においては、ウェブを通じたインターフェイスによって、特定の切替え設定やパラメータ値をバランスよく設計する手助けとなる。

FlexSet オプティマイザーは、新製品 KX022(2x2mm パッケージ)(写真)およびKX023(3x3mm パッケージ)、1.8~3.6V、±2g/4g/8gの加速度センサーに組み込まれており、両製品ともすでに生産を開始している。

「KX022」の外観
(写真)「KX022」の外観

システム設計者にとっての FlexSet オプティマイザーのメリット

システム設計者は通常、低消費電力化と低ノイズ化を求めるが、それらは背反関係にあるものである。すなわち、インターフェイス回路により大きな処理能力を付与することによって、一定時間に多くのサンプル数を設定することができ、平均値の増加によって測定結果の精度を向上させることができる。

他方、より複雑なフィルタリング、測定精度を向上させるなどの手段があるが、ノイズに起因する誤差を除去する処理は、電流消費を増加させる。

それらを解決するソリューションがFlexSetオプティマイザーである。この ツールを使えば、プリセット値からの拡張設定として適切な設計パラメータの選択が行え、システムに求められる結果に対応する設定を決めることができる。(図表)

また、切り替えの選択やプルダウンメニューから、様々な設計オプションが用意されている。

FlexSet オプティマイザーは、その高精度なパラメータによって、システム設計者に独自の消費電力とノイズのトレードオフを設定することを可能にする
(図表)FlexSet オプティマイザーは、その高精度なパラメータによって、
システム設計者に独自の消費電力とノイズのトレードオフを設定することを可能にする

具体的なオプティマイザーの原理

制御レジスタ(CTRL1)によるコマンド設定RES=1では、測定は高周波サンプリングレートで連続的にピックアップされ平均化される。

平均化された測定値は、設定された出力データレートに従い、最終アプリケーションに伝達される。値が出力されると、この測定および平均化プロセスが次の出力の伝達時まで繰り返される。出力データレートを下げることでより多くの測定および平均化を実現でき、ノイズの少ない出力を得ることができる。RES=1モードでは、出力の頻度と平均化の量の調整が可能となる。一方、RES=0では、サンプリングは連続ではなく、サンプリングと出力間により多くの時間を設けることができ、その結果として平均電流の低減を実現できる。

次の選択は、プルダウンメニューからの出力データレートである。ここでは、指数関数的に増加する、0.78125Hzから1600Hzまでの値を選ぶことが可能である。

低いODRではASIC回路機能の一部をスリープさせることができる。短い時間に必要な測定数を完了させる場合、次に一連の測定を行うまで、回路のより多くの部分をスリープさせることができる。このASICのデューティ・サイクリングによって、スリープ時間に比例した電流消費を低減することが可能になる。

外部回路に出力するODR値は、50Hzおよび100Hzで設定されることが多く、この値では、Iddは、43µAから60µAに、または83µAから96µAになる。同時に3軸の5mgから10mgレベルのノイズ値は、平均化フィルター値 128(最高レベル)の導入選択により、1mg未満に低減することが可能である。その他のシステムパラメータ選択には、加速度モード、サンプル バッファー、帯域、電流種別、その他がある。

システム機能の簡単導入に貢献

加速度センサーに組み込まれた付加機能である FlexSetコンフィギュレータによって、システム設計者は、次期製品の開発やカスタム設計品を待つことなく、迅速な導入を行うことができる。その結果、単一の製品で広範囲のアプリケーションへの対応と最適化が可能になる。

コンフィギュレータは、統合アルゴリズムのプログラマビリティを強化しているので、システム設計者は、スクリーンの回転、タップ・ダブルタップTM、モーション ウェイクアップ機能などのその他のシステム機能を簡単に導入することが可能である。

これらの高度なアプリケーションアルゴリズムまたはデジタルエンジンの提供により、システム設計者は、加速度センサーのデータを取得してスクリーンを回転する必要があるかどうかを判断したり、または計数してスクリーンのどこがタップされたのか、デバイスが動いているのかの判断を加速度センサー自身に求めることができる。

そのため、システム設計者は加速度センサーに搭載されたこれらエンジンの閾値およびシステムが行うべき動作を決めるだけでよく、その後はエンジンが計算を行い、設定に応じた判断に基づく出力を提供するのである。

一方で、よりシンプルなアプリケーションにおいては、エンジンを無効化して消費電力の節減に注力することが可能である。

FlexSet オプティマイザーによって、システム設計者は電力節減の影響を評価して、各エンジンの個々のデータレートを決め、さらに大きな電力節減の可能性を探ることができる。

カイオニクスにコンタクトしていただくことで、システム設計者らは、FlexSetオプティマイザーによって提供される選択肢がいかに使い易く、柔軟性があり、有効なものであるかを、直接体験することができるだろう。

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