世界初※1、小型半導体素子『共鳴トンネルダイオード』を発振・検出に用いた
テラヘルツイメージングに成功

2013年3月25日

パイオニア株式会社(本社:川崎市、代表取締役 兼 社長執行役員:小谷進 以下「パイオニア」)とローム株式会社(本社:京都市、代表取締役社長:澤村諭 以下「ローム」)の研究グループは、テラヘルツ波の発振・検出に小型半導体素子『共鳴トンネルダイオード』を用いたテラヘルツイメージングに世界で初めて成功※1しました。

光と電波両方の特性を兼ね備えているテラヘルツ波は、物体内部の透過像の取得や分子相互作用の検出が可能なため、セキュリティ分野や分光分析分野などへの応用に大きな期待が寄せられています。しかし、室温で安定的かつ直接的にテラヘルツ波を発振・検出できる小型で安価な半導体デバイスがなかったため、システムの小型化と低コスト化が大きな課題となっていました。
これらの課題に対し、ロームは、2011年に1つのチップでテラヘルツ波の発振・検出が可能な小型素子である『共鳴トンネルダイオード』の開発に成功しました。(図・写真-1)
今回、パイオニアが光ディスクドライブ用ピックアップの開発で培ってきた光学技術・小型化技術と、ロームの半導体技術を組み合せ、テラヘルツ波を発振・検出可能な『共鳴トンネルダイオード』のイメージング分野への応用可能性を検証しました。具体的には、『共鳴トンネルダイオード』で発生したテラヘルツ波(0.3THz)をリレーレンズを介して集光できる「共鳴トンネルダイオードモジュール」を作製し(写真-2)、集光したテラヘルツ波に対して測定対象物を2次元走査(スキャン)させることで、肉眼では中身を見ることができない不透明樹脂ケース内に収納されたクリップやコインなどの透過画像を、X線を使うことなく取得することに成功しました。(図-3、写真-4)
今後は、さまざまなテラヘルツ応用分野に向けて研究開発を進展させ、小型で安価なテラヘルツイメージングシステムの実現につなげていく予定です。

この研究成果については、2013年3月27日(水)から神奈川工科大学(神奈川県厚木市下萩野1030)にて開催される「第60回応用物理学会春季学術講演会」において共同発表する予定です。
URL : https://www.jsap.or.jp/activities/annualmeetings/index.html

※1 2013年3月25日現在。テラヘルツ波の発振・検出の両方に共鳴トンネルダイオードを用いたテラヘルツイメージングとして。パイオニア、ローム調べ。

図・写真-1 共鳴トンネルダイオード素子
図・写真-1 共鳴トンネルダイオード素子
写真−2 レンズを装着した「共鳴トンネルダイオードモジュール」
写真−2 レンズを装着した「共鳴トンネルダイオードモジュール」
図−3 共鳴トンネルダイオード透過イメージング測定システム
図−3 共鳴トンネルダイオード透過イメージング測定システム
写真−4 不透明樹脂ケースの透過像
写真−4 不透明樹脂ケースの透過像

<用語解説>
テラヘルツ波
テラヘルツ波
光と電波の両方の特性を兼ね備えているテラヘルツ波(1テラヘルツは1012Hzに相当)は、布、紙、木、プラスチック、陶磁器を透過し、金属や水は透過しない特性を持つため、物体内部の透過像の取得や分子相互作用の検出が可能であり、セキュリティ分野や、分光分析分野(物質に入射した光が、物質に含まれる原子や分子の種類に特徴的な変化を示すことを利用した分析)などへの応用に大きな期待が寄せられています。

・共鳴トンネルダイオード
量子井戸の両側の障壁層が十分に薄い構造では、井戸中の電子はトンネル効果により障壁の外側に抜けることができます。一方の障壁から電子が入射した場合、もとの量子井戸に形成されていた量子準位に対応してもう一方の障壁を透過していく確率が、入射電子のエネルギーにより共鳴的に増大することを共鳴トンネル効果といいます。
この共鳴トンネル効果をダイオードとして利用したものを共鳴トンネルダイオードと言います。

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