あらゆる感熱紙で長寿命を実現
耐摩耗性を大幅に向上したサーマルプリントヘッドを開発

2017年2月3日

半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、従来と比較して約3倍の耐摩耗性を実現して耐久性を向上するとともにスクラッチ破損*1)や電解腐食の発生を防ぐ高耐久保護膜サーマルプリントヘッド「KD2003-DF20A」を開発、1月からサンプル出荷 (サンプル価格:3,000円/個) を開始しました。
量産につきましては、2011年3月から当面月産10万個体制で、ROHM Electronics Dalian Co., Ltd. (中国・大連) で行う予定です。

ミニプリンタ市場は、POSシステムやEFT*2)、CAT*3)などの世界的な普及に伴って成長を続けており、それに伴ってサーマルプリントヘッド市場の需要も年々高まってきています。
こうしたミニプリンタに使用される感熱紙については、メンテナンスコストの削減ニーズに合わせて低価格化が進む傾向にあり、一部の感熱紙については表面の状態が悪く、異常摩耗、スクラッチ破損、電解腐食の発生を誘発してサーマルプリントヘッドの寿命低下を招くものがあります。
こうした状況に対応するためヘッドの保護膜材料を硬い物質に変更するなどの対策がとられていますが、保護膜の強度を上げるためには保護膜の組成や発熱部分の形状デザインに課題があり、従来製品では、一部の低品質感熱紙を使用した場合には走行距離が10km程度で、プリンタの使用頻度にもよりますが、数ヶ月程度で使用できなくなるケースがありました。
ロームではこうした状況に対応して保護膜材料中の硬質物質の構成改善やヘッド構造の改善に取り組んできました。
今回開発したサーマルプリントヘッドは保護膜材料の構成物質とその組成を最適化することで、大幅に耐摩耗性を向上、従来品の約3倍の耐久性を実現 (150km保証 (従来品は50km) ) しました。また、保護膜の熱伝導性を高くできたことにより印字効率も従来と比較して15%改善、印字品質の向上も併せて実現しました。
さらに、プリントヘッドの形状を従来品と全く同じとすることでプリンタの設計変更を不要にし、また補修用としても使っていただける仕様となっています。

ロームはこれまで蓄積してきた半導体技術、厚膜/薄膜成膜技術を駆使し、POS端末、各種ラベルプリンタなど幅広い市場に対応して、高速印字、高画質などそれぞれの市場のニーズに対応した製品シリーズを取り揃え、お客様からの高い評価をいただいています。
今回の新製品はこうした幅広い技術の総合力を活かして開発したもので、お客様へのシステムのメンテナンスフリー化、印字品質の改善に貢献できます。

■ サーマルプリントヘッド「KD2003-DF20A」の主な特長

  1. 高耐摩耗性 (走行距離150km保証)
  2. 高スクラッチ耐性
  3. 印字効率15%アップ
  4. 高腐食耐性

■ 保護膜摩耗量の比較

耐磨耗性評価 (実印字走行試験)

<用語説明>

*1) スクラッチ破損
異物噛み込みによるサーマルプリントヘッドの破損。
プラテンとサーマルプリントヘッドの間に異物が噛みこむことで、サーマルプリントヘッド表面に損傷 (キズ) が発生することがあり、損傷が大きい場合、発熱体抵抗値に影響を及ぼし、印字において白スジ等の不具合を発生させることがある。
*2) EFT (Electronic Funds Transfer Systemの略)
電子的口座決済。
エレクトロニクスシステムによって預金口座間の資金移動や決済を処理するシステム。
CD (キャッシュ・ディスペンサー=現金引き出し機)、ATM (オートマチック・テラー・マシーン=自動預け払い機) などを通じての決済や、ファームバンキング、ホームバンキング、あるいは磁気テープによる自動引き落としVISAエレクトロンカードのように買い物した際にオンライン・リアルタイムで即時決済される場合などがすべてEFTシステムに包含される。
*3) CAT (Credit Authorization Terminalの略)
キャット (CAT) 端末とは、Credit Authorization Terminalの略でクレジットカードの信用照会端末機のこと。
カード会社とCAT端末を設置した加盟店とが通信回線によるオンラインで結ばれ、盗難紛失や有効期限切れカードのチェック、利用限度額のチェックなど信用状況をリアルタイムでチェックするCATシステム用の端末。