固体水素源型燃料電池システム これまでのポータブル電源の課題を 解消する画期的エネルギーソリューション

研究開発体制

経緯・役割 共同研究 半導体メーカーのローム株式会社、アクアフェアリー株式会社、京都大学は、固体水素源燃料電池を共同開発しました。
2010年秋に京都大学で開催された産官学連携の為の「京都大学アドバンスドエレクトロニクスシンポジウム(AES)」をきっかけとして、両社で情報交換をスタート、今回の開発に至ったものです。
今後もロームが長年培った回路設計技術、アプリケーション技術と、アクアフェアリーの燃料電池技術を組み合わせて様々な用途に適した燃料電池開発を進めていきます。また、開発にあたっては京都大学平尾教授のご指導をいただき、今後は次世代の水素発生剤や資源利用システムについて共同研究を進めていきます。

アクアフェアリー

会社概要
会社名 アクアフェアリー株式会社
会社所在地 京都市西京区御陵大原1-39 京大桂ベンチャープラザ南館2115号室
設立年月日 2006年6月30日
代表者名 代表取締役社長 相沢 幹雄
資本金 1億円 (2013年6月現在)
従業員数 10名 (2013年6月現在)
事業内容 燃料電池の企画・開発・製造・販売

石坂CTOにインタビュー

アクアフェアリーってどんな会社?

2006年に創業した小型燃料電池開発ベンチャー企業です。
水素発生剤と薄型発電セルを組み合わせて、持ち運べる燃料電池を目指し、開発してきました。
10人足らずの少人数ですが、情熱と工夫で様々な難関を克服してきました。

開発に至る燃料電池への思い?

「水素をその場で作る」という発想で、これまでの燃料電池システムが大きく革新しました。
それは、小型で軽量な「持ち運べる燃料電池」が出来上がったのです。
この小型の燃料電池ができるとわかったときにきっと人々のために貢献できる製品が作れると確信を持ちました。

開発の経緯と開発中苦労されたこと?

水素発生技術は、いくつもの材料を試して、ようやく現在の「水素化カルシウム」にたどり着きました。
その過程では、材料の欠点を克服するべきか、または、新しい材料の探索を行うべきか、いつも心の葛藤がつきまといました。
これまでの開発活動を振りかえると多くの失敗を繰り返したことで、理想の材料のイメージが固まり、ゴールを発見できたと思っています。

これから燃料電池への展望?

小型で軽量な燃料電池は、様々な可能性を秘めていると考えています。
この技術を世界中で知ってもらうことで、これまでにない「新しい使い方」が生まれると信じています。
小型電子機器のための電源として、どこへでも持って行けるポータブル電源として、また長期間保管できる燃料を武器に非常用の備蓄電源として提供していきたいと考えています。

京都大学

京都大学 平尾先生 京都大学 平尾一之先生 御略歴 昭和49年、京都大学工学部工業化学科卒業。同大学大学院工学研究科博士課程修了後、京都大学工学部助教授を経て、平成10年より現職。工学博士。科学技術振興事業団ERATO平尾誘起構造プロジェクト総括責任者(平成6年から5年間)、同事業団ICORPフォトンクラフトプロジェクトリーダー(平成12年から5年間)、NEDOナノガラス技術プロジェクトリーダー(平成13年から5年間)、NEDO「三次元光デバイス高効率製造技術プロジェクト」総括責任者およびNEDO特別講座「光集積ラボラトリー」の総括責任者(平成18年から5年間)を務めた。現在 京都環境ナノクラスター副研究統括および研究代表者(平成20年から5年間)、京都市イノベーションセンター長、京都大学ナノテクノロジーハブ拠点ユニット長、ナノファイバー学会副会長を兼任。
「定置型非常用バッテリー用水素燃料電池向け水素発生材料の開発」

京都大学 工学研究科
平尾 一之, 永嶋 浩二

現在、世界では推定年間5000億Nm3以上の水素が製造されている。このうち97%は化石燃料を燃焼させることにより製造され、残りは水の電気分解等により製造されている。製造された水素は、アンモニアやメタノール等の化学合成や、石油精製等の分野で広く使用されている。

また、水素は燃焼しても二酸化炭素や有害なガスを発生しない等の特徴を有していることから、近年、クリーンなエネルギー源として活用する検討が進められている。しかしながら、エネルギー源としての水素は、その製造コストが高価で、実用化に向けての取り組みが必要である。

東日本大震災以降、再生可能エネルギーが注目されているが、自然エネルギー(太陽光、風力、地熱)は、気象変化に依存し、安定性を確保することが非常に難しい。従って、これらを補完すべき安定な発電技術の開発が必要である。燃料電池による発電は重要なエネルギー創出技術として、現在、世界的に注目されている。

従来の水素型燃料電池は、水素ボンベを用いるものや水素吸蔵合金を用いるものが挙げられる。しかしながら、これらの方式では高耐圧の容器が必要であり、さらに水素吸蔵合金を用いる方式では、高価な貴金属または合金が必須となり、装置の小型化、コスト削減が非常に困難であった。

この水素燃料源をその場で発生できる材料に置き換えることができれば、低コストの携帯型非常バッテリー用水素燃料電池の開発が可能となる。

これまで京都大学平尾研究室は、ローム株式会社、アクアフェアリー株式会社と共同により、水を水素源として、携帯型水素燃料電池の水素発生剤としてのカルシウムハイドライドを用いて研究を行ってきた。さらに、それと並行して低価格で販売可能な定置型水素燃料電池も開発している。その水素発生剤として、水酸化カルシウム-アルミニウム系材料と水との化学反応を用い、安定かつ長寿命で水素を発生する技術の開発を行っている。ちなみに、当水素発生材料1kgに対して水素発生量は約1300Lであり、300W級燃料電池を5.5時間駆動可能な値に相当する。

又、この利点は反応後の使用済み燃料をごみ焼却炉等の排熱高温還元処理で、繰り返し使用できる循環使用が可能になる点である。

<参考> 平成17年度 独立行政法人工業所有権情報・研修館作成 特許流通支援チャート 水素製造技術

アクアフェアリー社製燃料電池

図. アクアフェアリー社製燃料電池