ダイオードとは? ダイオードの歴史と原理
- 1. 真空管以前から…。
- 2. ゲルマニウムへ、そしてシリコンへ。
- 3. PN接合から生まれる整流効果。
- 4. いわば、ダイオードは「弁」。
- 5. 接合の構造にも、いろいろ。
- 6. 順方向特性と逆方向特性
ダイオード物語
ダイオードの簡単な歴史と原理などについて、常識的と思われることをさらっと触れておきました。気軽な感じで目を通してください。もちろん、もうよく知っている!という方はこの章をとばしてくださっても結構です。
1. 真空管以前から…。
二極真空管に整流特性、エジソン効果が発見されたのが1884年。そして、実にその8年前の1876年にはセレンの整流作用が発見されていました。このように、半導体の特性を利用して整流効果をだすダイオードの歴史は極めて古い…。でも、真空管よりも古いというのは、ちょっと意外な感じですね。
2. ゲルマニウムへ、そしてシリコンへ。
当初の原始的なダイオード ― セレン整流器や鉱石検波器は、黄鉄鉱や方鉛鉱など天然の亜酸化銅(多結晶半導体)を用いていました。その後、精練技術の進化とともに、ゲルマニウムやシリコンなど、感度のいいものが安定してつくれる単結晶半導体の時代に移ってきました。なお、ゲルマニウムは熱に弱いため、現在ではほとんどがシリコンになっています。
3. PN接合から生まれる整流効果。
ダイオードの素子はPN接合と呼ばれる構造を持っています。P形半導体からの端子をアノード、N形半導体からの端子をカソードといい、アノードからカソードの流れる電流のみを通して、その逆はほとんど通さないという働きがあります。この効果を整流作用といい、いいかえれば、交流を直流に変換する働きのことです。
4. いわば、ダイオードは「弁」。
ダイオードの働きを直感的に捉えるなら、それは「弁」、電流の「弁」です。電気の流れを水の流れにたとえてみると、アノードはいわば上流側、カソードは下流側。上流から下流へと水は流れますが、すなわち電流は流れますが、下流から上流には「弁」が閉じて流れない…。これがダイオードの整流原理です。
5. 接合の構造にも、いろいろ。
ダイオードの接合構造は現在、大別して、PN接合とショットキー形に分かれます。前者は半導体と半導体の接合で、さらに拡散接合形、メサ形に分けられます。後者は、半導体と金属との間で起こる効果を利用するもので、通常、ダイオードにおける"接合"という言葉では表現しませんが、ここでは、わかりやすくするために、このカテゴリーの中で分類しておきます。そして現在、小電力・高速性を実現するショットキー接合形が脚光を浴びていますが、ロームはこのショットキーバリア・ダイオードのシリーズ化にも積極的に取り組んでいます。
6. 順方向特性と逆方向特性
ダイオードにはアノードとカソードという2つの端子があります。アノードを (+)、カソードを (-) として、アノードからカソードに電流が流れるときの特性を順方向特性といい、VFやIFがこれにあたります。この逆に、アノードが (-) で、カソードに (+) が印加されたとき、ダイオードには電流は基本的に流れません。このときの特性を逆方向特性といい、VRやIRなどが逆方向特性です。