発表日:2010-05-10
半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、低損失・高耐圧で次世代のパワーデバイス材料として期待されている SiC(シリコンカーバイド:炭化珪素)を使用したショットキーバリアダイオード(SBD)「SCS110Aシリーズ」の量産を開始しました。 この「SCS110Aシリーズ」は、既に量産されている他社のSiC-SBDよりさらに順方向電圧や動作時抵抗などの特性を改善しており、 EV/HEVやエアコン向けなど電力変換を行うインバータ、コンバータ、PFC回路(力率補正回路)など向けをはじめ、幅広い応用が可能です。
この新製品は、2010年4月下旬から既に量産・出荷を開始しており、需要動向を見ながら順次生産を拡大してまいります。 生産拠点はウエハ製造はサイクリスタル社(ドイツ・エルランゲン市)、前工程がローム・アポロデバイス株式会社(福岡県)、 後工程がROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ)となっております。
近年、パワーエレクトロニクスの分野では、電力変換時に半導体デバイスで消費される損失が問題となっており、 エコロジーの観点からもさらなる低損失化を目指してシリコンよりも材料物性に優れたSiCによるパワーデバイスの研究開発が進んでいます。 こうした流れを先取りしてロームでは2004年にSiCを用いたMOSFETの試作に成功、SBDやこれらのデバイスを用いたパワーモジュールの試作に成功するなど、 業界に先駆けてSiCデバイス/モジュールの研究開発を進めてまいりました。SiCのSBDについては、2005年からエンジニアリングサンプルの出荷を開始し、 お客さまからのフィードバックを得ながら信頼性の向上と生産性の改善に努めてまいりました。 また、高品質SiCウエハの確保のため、ドイツ・サイクリスタル社を買収し、SiCデバイスの一貫生産体制の確立に取り組んできました。
今回量産を開始した「SCS110Aシリーズ」は、逆回復時間(trr)が15nsecと従来のシリコン製ファストリカバリダイオード (35nsec~50nsec)と比較して大幅に短縮、リカバリ時の損失を約3分の1に低減しました。 これにより、インバータ、コンバータ、PFC回路に採用した場合、損失の大幅な低減により発熱量が低減できます。 加えて、シリコン製のFRDと比較して、温度変化時の特性変化が極めて少ないため、ヒートシンクが小型化できるなど大きな効果が期待できます。 また、従来のSiC製SBDと比較しても、trrのさらなる改善やチップサイズを15%程度小型化、などの特長を有しています。
量産化にあたっては、ショットキーコンタクト障壁の均一性や、高温処理が不要な高抵抗のガードリング層形成といったSiCデバイスで課題とされる事項を解決し、 社内で一貫生産できる体制を確立しております。
また、既に量産されている従来のSiC SBDと比較して動作時抵抗を小さくするとともに順方向電圧の低電圧化(VF=1.5V(標準値)10A時)と温度特性の改善を実現、 従来以上の高効率を実現しました。
ロームでは、SiCデバイス事業を次世代半導体事業の中核技術の一つして位置付けており、SBDのさらなる高耐圧化、大電流化製品のラインアップの強化のほか、 MOSFETやSiCデバイスを搭載したIPM(インテリジェント・パワー・モジュール)などSiC関連製品のラインアップ拡充、量産化を進めてまいります。
■SiCショットキーバリアダイオード「SCS110Aシリーズ」の特長
- 逆回復電荷量(Qrr)が、極めて小さく、高速スイッチングが可能
- 安定した温度特性を実現
- 温度に依存しないtrr(逆回復時間)特性
■シリコンのファストリカバリダイオードとSiC SBDのスイッチング波形比較

■電気的特性
| 品名 |
VRM
(V) |
VR
(V) |
IO
(A) |
IFSM
(A) |
Tj
(℃) |
Tstg
(℃) |
VF
(V) |
IR
(μA) |
trr
(nsec) |
Conditions |
| typ. |
IF
(A) |
Max. |
VR
(V) |
typ. |
| SCS110Aシリーズ |
600 |
600 |
10 |
40 |
150 |
-55~
+150 |
1.5 |
10 |
2 |
600 |
15 |
IF=10A
VR=400V
di/dt=-350A/μsec |
■用語説明
- SiC(シリコンカーバイド:炭化珪素)
バンドギャップがシリコンの約3倍で、絶縁破壊電界が約10倍、熱伝導率が約3倍という優れた物性値を持つ化合物半導体であり、 これらの特性がパワーデバイス応用と高温動作に適している。
- ショットキーバリアダイオード
金属と半導体を接触させることでショットキー接合が形成され、整流性(ダイオード特性)が得られることを利用したダイオード。 少数キャリア蓄積効果が無く高速性に優れているという特徴を持つ
- ショットキー障壁
ショットキー接合が形成されたとき、金属と半導体の界面付近には電子に対する障壁が形成される。
これをショットキー障壁という。
- ガードリング
半導体素子周辺部が原因で起こる種々の影響を防ぐために素子周囲に設けられるリング状領域をいう。
- 逆回復時間(trr)
電圧が順方向から逆方向に変化した際、瞬間的に逆方向電流が流れる時間。
ロームがSiCデバイスの一貫生産体制を確立
低駆動電圧、高効率のSiCショットキーバリアダイオードの量産スタート!
半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、低損失・高耐圧で次世代のパワーデバイス材料として期待されている SiC(シリコンカーバイド:炭化珪素)を使用したショットキーバリアダイオード(SBD)「SCS110Aシリーズ」の量産を開始しました。 この「SCS110Aシリーズ」は、既に量産されている他社のSiC-SBDよりさらに順方向電圧や動作時抵抗などの特性を改善しており、 EV/HEVやエアコン向けなど電力変換を行うインバータ、コンバータ、PFC回路(力率補正回路)など向けをはじめ、幅広い応用が可能です。
この新製品は、2010年4月下旬から既に量産・出荷を開始しており、需要動向を見ながら順次生産を拡大してまいります。 生産拠点はウエハ製造はサイクリスタル社(ドイツ・エルランゲン市)、前工程がローム・アポロデバイス株式会社(福岡県)、 後工程がROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ)となっております。
近年、パワーエレクトロニクスの分野では、電力変換時に半導体デバイスで消費される損失が問題となっており、 エコロジーの観点からもさらなる低損失化を目指してシリコンよりも材料物性に優れたSiCによるパワーデバイスの研究開発が進んでいます。 こうした流れを先取りしてロームでは2004年にSiCを用いたMOSFETの試作に成功、SBDやこれらのデバイスを用いたパワーモジュールの試作に成功するなど、 業界に先駆けてSiCデバイス/モジュールの研究開発を進めてまいりました。SiCのSBDについては、2005年からエンジニアリングサンプルの出荷を開始し、 お客さまからのフィードバックを得ながら信頼性の向上と生産性の改善に努めてまいりました。 また、高品質SiCウエハの確保のため、ドイツ・サイクリスタル社を買収し、SiCデバイスの一貫生産体制の確立に取り組んできました。
今回量産を開始した「SCS110Aシリーズ」は、逆回復時間(trr)が15nsecと従来のシリコン製ファストリカバリダイオード (35nsec~50nsec)と比較して大幅に短縮、リカバリ時の損失を約3分の1に低減しました。 これにより、インバータ、コンバータ、PFC回路に採用した場合、損失の大幅な低減により発熱量が低減できます。 加えて、シリコン製のFRDと比較して、温度変化時の特性変化が極めて少ないため、ヒートシンクが小型化できるなど大きな効果が期待できます。 また、従来のSiC製SBDと比較しても、trrのさらなる改善やチップサイズを15%程度小型化、などの特長を有しています。
量産化にあたっては、ショットキーコンタクト障壁の均一性や、高温処理が不要な高抵抗のガードリング層形成といったSiCデバイスで課題とされる事項を解決し、 社内で一貫生産できる体制を確立しております。
また、既に量産されている従来のSiC SBDと比較して動作時抵抗を小さくするとともに順方向電圧の低電圧化(VF=1.5V(標準値)10A時)と温度特性の改善を実現、 従来以上の高効率を実現しました。
ロームでは、SiCデバイス事業を次世代半導体事業の中核技術の一つして位置付けており、SBDのさらなる高耐圧化、大電流化製品のラインアップの強化のほか、 MOSFETやSiCデバイスを搭載したIPM(インテリジェント・パワー・モジュール)などSiC関連製品のラインアップ拡充、量産化を進めてまいります。
■SiCショットキーバリアダイオード「SCS110Aシリーズ」の特長
■シリコンのファストリカバリダイオードとSiC SBDのスイッチング波形比較
■電気的特性
(V)
(V)
(A)
(A)
(℃)
(℃)
(V)
(μA)
(nsec)
(A)
(V)
+150
VR=400V
di/dt=-350A/μsec
■用語説明
バンドギャップがシリコンの約3倍で、絶縁破壊電界が約10倍、熱伝導率が約3倍という優れた物性値を持つ化合物半導体であり、 これらの特性がパワーデバイス応用と高温動作に適している。
金属と半導体を接触させることでショットキー接合が形成され、整流性(ダイオード特性)が得られることを利用したダイオード。 少数キャリア蓄積効果が無く高速性に優れているという特徴を持つ
ショットキー接合が形成されたとき、金属と半導体の界面付近には電子に対する障壁が形成される。
これをショットキー障壁という。
半導体素子周辺部が原因で起こる種々の影響を防ぐために素子周囲に設けられるリング状領域をいう。
電圧が順方向から逆方向に変化した際、瞬間的に逆方向電流が流れる時間。
Latest News