ロームが業界最小!
ハイビジョン対応、ビデオドライバIC「BH7606GU」を開発!
発表日:2008.09.26
ローム株式会社は、WL-CSP(ウエハレベルチップサイズパッケージ)の超小型化を実現した出力コンデンサレスのハイビジョン3出力ビデオドライバIC「BH7606GU」を開発しました。この新製品は既にサンプル出荷(サンプル価格:250円)を行っておりましたが、このほど月産50万個の体制で量産を開始しました。生産拠点は、前工程がローム・アポロデバイス株式会社(福岡県筑後市)、後工程がローム福岡株式会社(福岡県行橋市)となります。
昨今、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオ、携帯電話内蔵カメラ、携帯ゲーム機器などのポータブル映像機器の高機能化の流れの中で、高解像度のハイビジョン出力対応製品が急速に増えてきており、従来のポータブル機器向けのビデオドライバICと比較しても、更なる小型化・高密度化・および省電力化の要求が高まってきています。
今回開発した新製品「BH7606GU」は、ポータブル機器向けに開発したハイビジョン対応のビデオドライバICで、従来のSD帯域(6.75MHz:D1相当)対応の1出力ビデオドライバに対して、伝送可能周波数帯域を30MHzまで広げたY, PB, PRの3信号を出力する3つのビデオドライバ(広帯域D4相当)を内蔵しています。それに加えて、チップサイズとパッケージサイズがほぼ同じ大きさになるWL-CSP(ウエハレベルチップサイズパッケージ)を採用したため、パッケージサイズは2.26mm×2.26mm×1.0mmと超小型化を実現しました。これにより、従来実装スペースの制約からSD帯域のビデオドライバしか内蔵していなかったセットにも、容易にハイビジョン帯域のビデオドライバを内蔵することができます。
また、ビデオドライバの出力端子には直流電圧阻止用として、220μF〜1000μFの大容量出力コンデンサが必要になります。特にハイビジョン対応のビデオドライバでは、Y, PB, PRの3回路分の出力コンデンサが必要となり、これらを省略可能にすることが、機器の省スペース化への大きな課題となっていました。
ロームは、従来のSD帯域(6.75MHz:D1相当)対応ビデオドライバにおいては、セットの小型化に対応するため、チャージポンプをIC内に内蔵することにより大容量出力コンデンサを省略できる製品を開発してきました。ハイビジョン対応のビデオドライバでは、伝送可能周波数帯域を30MHzまで広がることや、Y, PB, PRの信号出力に3回路のビデオドライバが必要なことから、必然的にICの規模も大きくなります。またIC内蔵のチャージポンプ回路に求められる負電源のパワーもより大きなものが必要となり、ハイビジョン用途では超小型でチャージポンプを内蔵したコンデンサレスドライバICは難しいとされていました。
今回、新製品「BH7606GU」にてチャージポンプ回路にローム独自の最適化を行ない、チップサイズの拡大を最小限に抑えつつ、高効率でハイパワーの負電源発生回路を実現し、外付けの大容量出力コンデンサを不要にすることを可能としました。これにより外付コンデンサの実装スペースも含め、ハイビジョン対応のビデオドライバとして業界最小化が実現でき、セットの小型化に貢献もできます。
また、映像信号に混入している不要な高域ノイズを除去するためのLPF(Low Pass Filter) もY, PB, PR それぞれの信号に最適な特性に合わせたものを内蔵。さらに、動作停止時には回路電流を0μA(typ.) にできるスタンバイ回路を内蔵するなど、ポータブル機器の省電力化に貢献する機能も備えています。ロームでは、今後ともお客様のニーズに沿った製品開発を進めるとともに、さらなる製品シリーズの拡充に努めてまいります。
■ビデオドライバIC「BH7606GU」の主な特長
- WL-CSP(ウエハレベルチップサイズパッケージ)の採用により2.26mm×2.26mm×1.0mmの
超小型化を実現。
- 広帯域D4規格映像信号に対応
- Y/PB/PRに対応した3出力ビデオドライバ内蔵
- 従来のビデオドライバに必要であった220μF〜1000μFの大容量出力コンデンサが不要。
- ノイズ除去用LPF内蔵、スタンバイ機能内蔵
- 電源電圧2.85〜3.45Vの低電圧での動作が可能。
■用語説明
- D端子
映像機器におけるアナログ映像信号を伝送するための日本独自の接続端子規格。
従来はコンポーネント映像信号の「Y/PB/PR」で表記される3つのコンポーネント端子を用いて3本のケーブル接続の必要があった。これを1本のケーブルで接続できるように端子を1つにまとめたものをD端子という。コンポーネント映像信号以外に、走査線数・走査方式・アスペクト比の識別信号の伝送も可能となっている。映像信号規格ごとに端子の対応規格が細分化され、数値が大きいほど高解像度の映像信号に対応している。ただし端子の形状はすべて同一。
・D1端子 : 480i(525i), 720×480ドット、 インターレース。
アナログテレビ放送と同等の画質でVHS/S-VHSやDVDビデオソフトもこの画質である。
・D3端子 : 1080i(1125i)、1920×1080ドット、インターレース
ほとんどのハイビジョン放送で採用されている規格。
・D4端子 : 720p(750p), 1280×720ドット、プログレッシブ
規格においては、入力側映像の信号規格の種別としてD3端子の映像信号について互換保証されている。
なお、現在720pでのハイビジョン放送は行われていないが、多くのデジタルハイビジョンテレビはD4入力までの
対応となっている。
注) 数値は有効走査線数(総走査線数)
- ハイビジョン
NHKが商標権を有する、日本における高精細度テレビジョン放送(High Definition television /HDTV)の愛称。
HDTVは従来の標準放送(NTSC,PAL,SECAMなど)の概ね2倍程度の走査線を持ち、国際電気通信連合では
国際標準規格(2000年)で走査線数1125本(有効走査線数1080本,画面の縦横比(アスペクト比)16:9)のシステムと定義されている。
- SD(Standard Definition)
テレビ画面などの映像信号の解像度を示す表現の一つで、標準画質映像(Standard Definition video)の略称として使われる。SDに相対する用語はHDであり、こちらは高精細度画質映像(High Definition video)の略称となる。
- チャージポンプ回路
正電圧の電源から負電圧をIC内部で発生させ、IC内部回路を正負両電源で動作させるための回路。ICを正負両電源で動作させることにより、従来の単電源動作のICでは必要だった出力コンデンサを不要にすることができる。
- LPF(Low Pass Filter)
デジタル信号で構成された画像情報を一般のTV等で使用しているアナログ信号に変換するDAC(ディーエーコンバータ)の出力に残留している不要なノイズ成分を除去するために、LPFを使用する。