シリコンからのブレークスルー フルSiCパワーモジュール 次世代パワー半導体がつくる、次世代電気自動車
ロームは、本田技術研究所と共同で、SiC-SBD、SiC-MOSFETを搭載した1200V、230A(289kVA相当)クラスの次世代電気動力車向けハイパワー・インバータ・モジュールを開発しました(写真1)。
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自動車は、パワー半導体の時代へ
近年、急速に普及しているハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)など、パワーエレクトロニクスが必要とされる分野では、現在用いられているSi(シリコン)デバイスよりも電力変換時の損失が少なく、材料物性に優れたSiC(シリコン・カーバイド)*1デバイスの実用化が期待されています。今回、開発したモジュールは、ロームのSiCデバイス技術と本田技術研究所のハイパワーモジュール技術を融合させることによって実現したもので、世界初のフルSiCデバイスによるハイパワーモジュールとなっています。このハイパワーインバータモジュールの機能は、コンバータ回路(1相)とインバータ回路(3相)をワンパッケージに搭載しており小型化を実現しています。 |
![]() 写真1 フルSiCパワーモジュール |
シリコンの壁を越えた”SiC”の実力
SiCのインバータは、総損失低減を目的に使用すると、発熱量が小さくなるため、冷却機器の小型化や温度マネジメントの設計範囲の拡大に効果が期待できます。また、昇圧コンバータでは、従来に対して4倍の駆動周波数が高くできるため、周辺部品を小型化、軽量化でき、機器として大幅な出力容積・密度の向上を図ることができます。さらにSiCは高温安定性に優れているため、車載応用上フェイルセーフを考慮した設計が容易になります。ロームが開発したSiCデバイスは、チップサイズ5.14mm角のSBD(ショットキー・バリア・ダイオード)*2と同4.8×2.4mmのMOSFETで、素子単体特性ではSi-IBGT*3と比較してスイッチング損失を約1/7と大幅に低減しています(写真2)。 パワーモジュール性能も、スイッチング損失が従来のSiデバイスと比較して約1/4以下に低減しています(図1)。 |
![]() 写真2 SiC SBDウエハ(上)とSiC-MOSFETウエハ(下) |
図1 従来品とSiCパワーモジュールデバイスの性能比較(125℃)
これにより、オン抵抗を含めた電力交換時の総損失の低減が図られています。
また、スイッチング損失が低減した分、駆動周波数を上げることができるため、従来のSi-IGBTを使用した場合のPWM周波数20kHzに対し、4倍の80kHzの高周波化が図れることになります。
SiCデバイスのパワーモジュールのメリット

今後の展望
*1 SiC(シリコンカーバイト:炭化珪素)
バンドギャップがシリコンの約3倍で、絶縁破壊電界が約10倍、そして熱伝導率が約3倍という優れた物性値を持つ化合物半導体であり、これらの特性がパワーデバイス応用に適しています。
*2 SBD(ショットキーバリアダイオード)
金属と半導体を接触させることでショットキー接合が形成され、整流性(ダイオード特性)が得られることを利用したダイオード。少数キャリア蓄積効果が無く高速性に優れているという特徴を持ちます。
*3 IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)
電子だけでなく、正孔によっても電流が流れることにより低オン抵抗を実現しているパワートランジスタ。しかし、注入された正孔の蓄積時間のために高速での動作が不可能で、スイッチング損失が大きいという問題があります。
The Index of This Issue
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vol. 4 / 2009.01 |
Cover Story 1
電源供給なしで情報を保持する回路
不揮発性ロジック技術

Cover Story 2
シリコンからのブレークスルー
フルSiCパワーモジュール

Cover Story3
総合半導体メーカーがつくる
LED照明モジュール








