不揮発性ロジック技術 電源供給なしで情報を保持する回路 起動時の処理時間をゼロ化 待機時の消費電力をゼロ化
ロームは、世界で初めて、LSI内部のレジスタ*1と呼ばれるデータの記憶領域に不揮発性のロジック回路を組み込んだLSIの開発に成功しました。これは、世界で初めてFeRAM (Ferroelectric Random Access Memory : 強誘電体*2メモリ) の量産化を開始したロームが、この技術をさらに発展させて、電源の供給が無くてもLSI内部の演算処理の状況を保持できる「不揮発性ロジック技術」として完成させたものです。
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機器の高機能化に立ちはだかる壁
一般に、機器の高性能化が進むなかで、高速化を実現するために大きな電力を消費するようになってきています。そこで、次のような観点から省電力化を実現することを検討しました。例えば、パソコンで対話型の入力処理(考えながら文書を入力する場合など)を行う場合、他に何も処理を行っていなければCPUは稼動していないに等しいのではないでしょうか。このとき、CPUの電源を遮断することができれば、劇的に省エネ効果のあるシステムが実現できるのではないかと考えました。
LSIのデータ保持にはレジスタへの電流供給が不可欠
レジスタの不揮発化で問題解決
従来の低消費電力化技術を克服
従来からの低消費電力化技術としては、「クロックゲーティング」と呼ばれる演算処理を行っていない時に回路のクロックを停止する方法や、「パワーゲーティング」と呼ばれる演算処理を行っていない回路の電源を遮断する方法などが挙げられます。しかし、クロックゲーティングでは、回路内のリーク電流は止めることができないため、リーク電流が増大する傾向のある微細プロセスでは効果が少なくなるという課題があります。また、パワーゲーティングでは、電源を遮断することで大部分のリーク電流を止めることができますが、レジスタの電源は切れないため、少なからずリーク電流が消費されてしまうという課題があります。これらに対して不揮発性ロジック技術では、レジスタも含めて回路の電源を遮断できるため、演算処理を行っていない回路の消費電力(待機電力)を完全にゼロにすることができます。
ゲーム機のCCPUの消費電力を70%削減
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この不揮発性ロジック技術を実際に応用(例えば、ゲーム機のCPUを置き換えると仮定)した場合、ゲームの起動中であっても、頻繁に発生するCPUの待機時間の消費電力がゼロとなるため、CPUの消費電力を約70%削減できることが確認できました。(図1) また、CPUの動作時でも、情報の書き込み/読み出しを行うブロック以外は電源を遮断するなどの設計変更を行えば、CPUの消費電力の85%以上を削減することが可能と考えています。さらに、このブロック内部をレジスタ・演算回路レベルで細かく電源のオン・オフを管理すれば、CPUの消費電力の95%以上を削減させることも期待できます。(図2) |
![]() 図1 不揮発性CPUの動作例 |
図2 基本的なCPU処理のブロック図(左)と不揮発性CPUの電力制御(右)
例えばそれは、テレビ感覚でパソコンを使用できる技術
*1 レジスタ
ディジタル処理(ロジック)回路において、演算途中のデータや演算処理状況を一時的に保持したり、動作状態を保持するのに用いられる記憶領域のことをレジスタといいます。一般的に、ロジック回路内に分散して配置されています。
*2 強誘電体
誘電体の一種で、電界を加えることで情報を変化させられる物質です。電気分極の状態を利用するため、低電圧で高速に変化させることができる特徴があります。
*3 揮発性、不揮発性
演算処理の途中結果データなどを記録するための回路や素子の性能を表す言葉で、電源を切るとデータが消えてしまう記憶回路や素子は揮発性、電源を切ってもデータを残すことができる記憶回路や素子は不揮発性といいます。
The Index of This Issue
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vol. 4 / 2009.01 |
Cover Story 1
電源供給なしで情報を保持する回路
不揮発性ロジック技術

Cover Story 2
シリコンからのブレークスルー
フルSiCパワーモジュール

Cover Story3
総合半導体メーカーがつくる
LED照明モジュール










